第4話 タイムトラベラー

「私、タイムトラベラーなのよねー」

私、最近インスタにはまっててねーみたいなノリで篠崎さんは話し始めた。

ちなみに、わたしたちは公園から駅の方にある居酒屋にいた。

篠崎さんの服装は午前中に見かけたスーツ姿に戻っていた。

普通の人は信じないような篠崎さんの言葉を信じてしまったのは、篠崎さんの服装が原因だった。さっきまでシンデレラみたいなドレスを着ていたのに。

それは一瞬の出来事であった。

篠崎さんが何か書かれた単語帳をリングからちぎり、破り捨てた、すると途端に篠崎さんは光に包まれてあっという間にスーツ姿に戻っていた。


「東雲さん、あなた素直ね。」

わたしがあっけにとられていると、

「東雲さん、わたしが言ったことをそのまま受け止めてる。素直な証拠よ。」

「篠崎さん、」

「カナメでいいわよ。」

「じゃあ私もメイでいいです。」

「カナメさん、どうしてそんなことがわかるんですか?」

「これも私の能力の一つよ。ちなみにさっき見せたのも私の能力。」

そして、

「時間や空間を自由に行き来できる能力、これが私の本質よ。」

「ほんしつ、、、」

ええ、

「あなたは理解しきれていないけど、じきにわかるわ。」

ていうか、篠崎さん会社にいる時とキャラ違い過ぎませんか、会社にいるときはあんなにそっけなかったのに、急に饒舌にしゃべりだすし。

「あら失礼ね。」

「!?」

口に出してないのに考えてることをあてられた!?

「ギャップ萌えってあるでしょ?あれと同じよ。」

わかったような、わからないような。

「あら、メイちゃんて意外と、」

「意外と?」

「やめときましょう。ちょっとからかいたくなったけど、メイちゃん単純だから本気で怒りそうだし。」

「喧嘩売ってるなら、買いますよ。」

「こらこら、そんな怖い顔しない。」

かわいい顔が台無しよ。

篠崎さんからそういわれると、皮肉ととらえたほうが自然だからますます腹が立った。

「わたしがカナメさんの秘密ばらしたらどうなるんですか?」

「試してみる?あんまりお勧めしないけど?」

わたしはわざと大きな声でこう言った。

「えー、篠崎カナメさんてタイムトラベラーなんだー知らなかったー。」


わたしは家に向かって歩いていた。

お酒を飲んだわけでもないのに、足元がフラフラだし、定時後、すぐに帰ったのに、数時間いつもより時間が進むのが遅く感じた。

今日、新しく異動してきた篠崎さん、1時間で帰ってしまった。

そういえば、帰りにコンビニに立ち読みしようとしたあたりから記憶がない。

わたしはなぜだかわからないが、篠崎さんに怒りの感情を抱いたまま、眠りについたのだった。

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