第43話 穂村

KP  穂村は、落ちる太陽より目を話すことなくふと呟く


穂村 「…ああ、やっと聞こえなくなった」


KP  そして、あなた達へと振り返ることだろう


穂村 「…さて、やはり君たちが立ちはだかるか。予想外というか予想通りという

   か」


遠縁 「穂村さん。どうしてこんなことを」


穂村 「…ふぅ」


穂村 「…君たちは知っているかな。”焔の民”という存在を」


遠縁 「ええ、知ってます…まぁ自分、最近思い出して知りましたね」


穂村 「…そうか、なら話は早い…あの日、我々焔の民の村は滅ぼされた。かろうじ

   て族長の息子であった俺は、弟を連れて逃げることができた…そんな惨劇が、

   あの日の惨劇が。目に焼き付いている」


穂村 「…あの日から、毎晩あの悪夢にうなされる。誰かが”復讐を果たせ”と耳元で

   囁く」


穂村 「…もうそろそろ、飽き飽きしてたんだ。だから…その言葉通り”復讐”を果た

   してやろうと思った。ただそれだけさ」


杉谷 「…ただ、それだけ…?……そのそれだけのためにどれだけの犠牲者が出てい

   るのかわかっているんですか…」


遠縁 「復讐?・・弟?・・もしかして?」


穂村 「…それがどうした。我々一族は滅びたんだ。過去の罪滅ぼしとでも思えよ」


遠縁 「…穂村さん。もしかしてあなた、あの時の?」


穂村 「………そうか、生きていたのか…ははは。面白い。まさか君がそっち側にい

   るとは」


遠縁 「・・・そうですね 穂村さんの事情はどうであれ 自分はこっちですね あ

   なたがやろうとしてることを止めなければならない・・彼女のためにも」


遠縁 「だけど、穂村さん。ありがとうございます あなたが助けてくれたおかげで

   今も生きてます あなたのおかげで まぁ この何日間は悲惨な出来事でした

   が 幸せに生きてられてます」


杉谷 命の恩人的な人だったのか


遠縁 そうですね、だからこれは言わないとなぁと


杉谷 なるほど


穂村 「…気にすることはない。アレは…そうするべきだと思ったからしただけだ」


遠縁 「けど あの大丈夫って言葉は心温まりましたよ?」


穂村 「…そうか…だが、たとえ君がそちらにつくとしても私は自分の意志を突き通

   す。やめることはしない」


遠縁 「そうですか・・まぁ仕方ないですね・・ただこっちも全力で止めにいきま

   す」


穂村 「…勘違いするなよ。私は世界を滅ぼそうとしているのではない」


遠縁 「?違うんです?」


穂村 「ただ流れに乗って生きるだけの有象無象を無に還す、それが目的だ。君たち

   は優秀だ。そんな有象無象ではないだろう」


穂村 「君たちを殺すつもりなどない、ただ世界の在り方を改変するだけだ。だか

   ら、黙ってそこで見ていろ」


遠縁 「…この下…街にいる人は死ぬんですよね?」


穂村 「ああ」


遠縁 「ならダメですね。自分の…彼女、結婚前提に考えてる子も下にいるので」


遠縁 「さらにいえば自分は教師なので生徒見捨てるって選択肢はないですし」


穂村 「…そうか。それはめでたいことだな…だが、どうする?まさか勝てるとでも

   思っているのか?」


遠縁 「まぁ どうなのかわからないですけど 勝てないかもですが 自分達はそれ

   でも抵抗しますよ。ね?」


彼はそういうと他の3人にチラ見をする


皇  「これでも医者だからね、黙って人が死んでいくのを見ている訳にはいかない

   のよ」


杉谷 「ええ……もうこれ以上……失われていくのは嫌なんです」


穂村 「…そうか、それは残念だ」


穂村 「だが、現実を見ろ。もはや原初の炎の降臨は目前だ。後2分もすれば地上を

   焼き払うだろう。お前もわかっているだろう?アレを退散させるには2分以上

   必要だ。つまり、もう不可能なんだ」


遠縁 「穂村さん、今の言葉 あの社長や所長と同じですよ」


穂村 「それがどうした。最早そんなことなどどうだっていい。やるべきことを果た

   すのみだ」


遠縁 「んじゃ、こっちがやるべきことを果たしましょうか」


穂村 「どうするつもりだ?神の退散は2分は必ず必要だ。どうすることもできな

   い」


杉谷 「どうすることもできない…そんな結論を出すには早いんじゃないですかね」


杉谷 「研究者っていうのは過去に出ていた結論に自問自答をし、そして最大限の可

   能性を考え出すんだ。その繰り返しが科学となるんだよ。つまりは、結論づけ

   るのはまだ早いということさ…」


杉谷 「…僕にとってはこの町の人も守ることも大事だし、そして…朱里も助け

   る……可能性が残される限り、僕はあきらめないよ……」


杉谷 「…朱里……聞こえるかい…?」


KP  答えませんね


杉谷 「……この子に一体何をしたんですか?」


穂村 「それは深山の専売特許だ。知らないさ…だが、使えるものは使わなければ計

   画は実行できない。悪趣味だが、仕方ない」


杉谷 「その子をどうするつもりなんですか……」


穂村 「何もしないさ。ただ、君たちが掛かってくるというのなら…彼女に任せるが

   ね」


杉谷 「そんなことはさせない……あの子は戦うことなんて、きっと望んでいない」


杉谷 「たとえ、この身が亡くなろうと、自分が自分じゃなくなろうとも!……あの

   子だけは守って見せる……そう、決めたんですよ」


穂村 「…まあ、そんなことができるとは思えないがな。18番、あいつらが少しで

   も動いたら切り殺せ」


杉谷 「18番じゃない!!朱里だ!!!」


朱里 「はい」


杉谷 「……朱里…」


KP  では、そうだね


朱里 「ごめんなさい。お父さん。でも、やるときは一瞬で終わらせてあげるから。

   安心してね」


杉谷 「……朱里、ごめんな。父さん、朱里のこと、全然知らなかった…朱里が元か

   ら戦闘人形…グラディウスだったことも……何もかも……だけどな。お前は姿

   形が変わっても、僕の大事な一人娘、朱里だ」


杉谷 「今助けてやる…そして…一緒に帰ろう、朱里…」


朱里 「…」


穂村 「…綺麗事だな。もう不可能だというのに」


杉谷 「…もちろん、僕一人じゃできないですよ……でも、みんながいるから……」


杉谷 「皆さん…力を貸してください」


遠縁 「元々貸す感じなので、大丈夫ですよ」


皇  「もちろんだよ!」


KP  何かしたいことがあれば


遠縁 KP、あの場に何があるかわかります?


KP  そうですね…目星どうぞ


《遠縁 CCB<=40 【目星】 (1D100<=40) > 5 > 決定的成功/スペシャル》


KP  …うーん…温存かなぁ…


KP  屋上にあるのは、備え付けられた消火器やメンテナンス用の工具箱、そして

   巨大なパラボラアンテナだ。だが、特にこれと言って原初の炎を止める手段は

   見つからない


皇  「先生、コマンド遮断装置で娘さん解放できない?」


遠縁 「んー、まだじゃないか?」


杉谷 「…というと?」


遠縁 「あれ、別の命令されたら実行するんじゃないか?」


杉谷 「別の命令…まだほかに朱里が何か役割を担っている可能性があると…?」


遠縁 「まぁ何かしたら攻撃しろから普通の攻撃しろって別のになったら関係ないと

   おもう」


遠縁 「Aのコマンド打ち消してもあとからBのコマンド打ち込まらたら関係ないっ

   てことだね」


杉谷 「…そうか……」


皇  「使えば24時間人形への命令を完全に遮断するから、今使っても問題無いと

   思うけど」


杉谷 「例えば今朱里に使ったとして戦闘するというコマンドに対して遮断したとし

   ても自爆しろというコマンドが後から来たらそのコマンド自体は遮断すること

   ができない…ということなのか…?」


遠縁 「自分はそう思う」


皇  「…なるほど」


穂村 「…だから言っただろう。もう無理なんだ。大人しく見届けろ」


皇  「無理かどうかはやってみないと分からないでしょ!」


穂村 「はっ、無理なものは無理だ。いずれこの地は火の海となる」


穂村 「君たちを殺すわけじゃないんだ。大人しくしていろ」


遠縁 「なにか…なにかないか?」


穂村 「ほら、もう空が赤い。もう無理なのだよ」


KP  ……さて


KP  空が赤く染まっていく。どんどんと紅を帯びていく。太陽の放つ熱波が、あ

   なた達を襲う事だろう。HP-1d3


《皇  1d3 (1D3) > 3》


《遠縁 1d3 (1D3) > 2》


《杉谷 1d3 (1D3) > 2》


[ 皇  ] HP : 9 → 6


[ 遠縁 ] HP : 10 → 8


[ 杉谷 ] HP : 11 → 9


KP  暑さが、増していく。それはもはや暑さというより熱さだ。ついに、かの神

   がこの地に舞い降りる。それを実感するだろう


KP  …全員聞き耳どうぞ


《皇  CCB<=45 【聞き耳】 (1D100<=45) > 99 > 致命的失敗》


《遠縁 CCB<=40 【聞き耳】 (1D100<=40) > 38 > 成功》


《杉谷 CCB<=55 【聞き耳】(1D100<=55) > 68 > 失敗》


KP  では、自動成功。ファンブルも特にありません


KP  突如あなた達はおぞましい気配をその身体で感じ取る。おぞましい気配、そ

   れはあなた達へと近づいてくる


遠縁 「・・・」


KP  正気度喪失0/1どうぞ


《皇  CCB<=59 【SAN値チェック】 (1D100<=59) > 63 > 失敗》


《遠縁 CCB<=36 【SAN値チェック】 (1D100<=36) > 93 > 失敗》


《杉谷 CCB<=7 (1D100<=7) > 67 > 失敗》[ 遠縁 ] SAN : 36 → 35


[ 皇  ] SAN : 59 → 58


[ 杉谷 ] SAN : 7 → 6


KP  あの原初の炎だろうか。いや、違うだろう。ぞわぞわと、全身に鳥肌が立つ

   感覚、筋肉がどんどんと膠着していく感覚を覚える


KP  おぞましく、醜悪で。まるで”這い寄る”かのような狂気と混沌の気配


KP  そして、声が響いた


???『……やあ』


KP  全員正気度喪失1/1d3どうぞ


《皇  CCB<=58 【SAN値チェック】 (1D100<=58) > 34 > 成功》


《遠縁 CCB<=35 【SAN値チェック】 (1D100<=35) > 14 > 成功》


《杉谷 CCB<=6 【SAN値チェック】(1D100<=6) > 96 > 致命的失敗》


《杉谷 1d3 (1D3) > 2》


[ 皇  ] SAN : 58 → 57


[ 遠縁 ] SAN : 35 → 34


[ 杉谷 ] SAN : 6 → 4

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る