第5話 入隊

皇  「深山…?」


遠縁 「杉谷講師 知り合いですか?」


彼は少し警戒している様子だ。


深山 「ああ、いかにも。にしてもだ…。なぜおまえたちはここにいる?どういう関

   係だ?」


杉谷 「か、彼らは僕の友人なんです。非難させようと進んでいたら偶然この現場に

   連れてきてしまったのです」


深山 「偶然…ねぇ。まあいい。どうせ穂村の差し金だろう」


遠縁  「・・・あのあなたは?だれでしょうか?」


皇  「その服装を見る限りアカネちゃんと同じとこの人ですよね。いろいろ説明お

   願いできますか?」


杉谷 「僕からもお願いします…」


深山 「ああ、わかってる。君達にはその権利がある。それに…まさかマリオネット

   が庇うなんてな。もしかしたら君たちは良い隊員になるかもしれない」


深山 「…ついてきなさい。まずは本社に行くとしよう」


KP  そうして、あなた達は深山のあとをついていくことでしょう


深山 「うちは宇宙人を撃滅するための組織だ。この町にはそいつと同じように私が

   作ったマリオネット…つまりは戦闘用の人形が多くいる。今は出払ってるもの

   が多いがな」


深山 「本来ならここに入る人間にはそれ相応の金銭を払ってもらっているが、お前

   たち2人は例外だ、安心してくれていい」


深山 「…さて。おい、穂村、入るぞ」


KP  特殊戦闘班、指令室と書かれた部屋に入れば、中央奥の椅子に一人の男性が

   座っている。彼は机の上に山積みとなっている資料に目を通している。


穂村 「ああ、所長。見ての通り忙しいので手短にお願いします」


深山 「何が忙しいだ。なぜ24番を廃棄しなかった?」


穂村 「はぁ…そんな人の形したもの、どこに捨てればいいと?そもそも暴走したの

   は貴方の腕の問題でしょう?」


深山 「…ったく、このバカが。それで?どうするんだ、余計な人間が2人も増えた

   が?生憎こっちには口留めの金なんてほとんどないぞ。どうするつもりだ?こ  

   こで首でも切り落とすつもりか?」


穂村 「また物騒な。いいですよ、初めからそちらの医者には入隊してもらう予定で

   したから。一人増えたところで変わりません」


深山 「…はぁ。好きにしろ」


皇  「ちょっと待って、私自分の診療所あるんだけど」


遠縁 「こちらもだ 自分は教師なのだが」


杉谷 「・・・」


穂村 「そうか。だが生憎こちらも君たちを帰すわけには行かないんだ」


穂村 「ああ、所長は帰ってもらって結構ですよ」


深山 「…ッチ。生意気な小僧が」


KP  そうして深山は部屋を去っていくでしょう


遠縁はふとアカネの方を見る。彼女はまっすぐ前を向いており、こちらの方には気づいていない様子だ。


穂村 「うちは日給100万だ。君たちの生活は安寧を約束されるだろう」


遠縁 「ひゃ、100万・・」


穂村 「ちなみに拒否権はない。断るなら…そうだな。そこの《ジャンク》を今ここ

   で解体しようか」


皇  「私診療所があるんだけども…」


穂村 「そうか。それなら試しで入隊してくれ。10日くらいか。それでいいだろう?

   こちらも人手が足りないんだ」


遠縁 「わかりました 入隊しますよ ええ」


皇  「試し、うーん、まぁいいよ」


穂村  「それでは、ようこそAELDAへ。君達用の制服も用意しておこう」


遠縁 「・・赤色以外あります?」


穂村 「ない」


遠縁 「そうですか」


杉谷 「君なら似合うと思うよ遠縁さん」


遠縁 「え?似合うんですか?あの赤」


皇  「晴彦先生も似合うんじゃない?」


杉谷 「僕は赤い服よりかは作業着の方が落ち着くんだけどね、ははは」


遠縁 「自分も同じく作業着か白衣が落ち着くよ。後輩くんは・・んー似合わない感

   じだな」


皇  「えー!」


穂村 「着用するかは自由だ。着たくないならそれでいい。だが、宇宙人の攻撃で即

   死しても文句は言うなよ。これは防弾防腐防刃加工のされた鎧のようなもの

   だ。つけなきゃすぐに死んでおしまいだ」


遠縁 「・・高性能ですね」


皇  「うへー、やばそう」


杉谷 「本当にどういう技術力なんだ…」


穂村 「さて…君たちは3人と1体で1チームだ。軽く説明もしておこう」


遠縁 「1体…」


遠縁はアカネの呼び方に違和感を感じ眉を顰める。そんな彼を気にせず穂村は話を進める


穂村 「そいつはコードネーム《ジャンク》。24番目に作られた戦闘人形《マリオ

   ネット》だ。だが、深山曰く失敗作のようだ。機械的な返答が多く、人間性が

   ないとのこと。暴走も確認され、本来なら処分予定だったが…まあこの通り

   だ。奴はこれを”瓦礫多(がらくた)”と呼ぶが、俺はそうは思わない。特に戦闘

   面はそれなりに高い数値を持っているからな」


穂村 : 「ああ、ちなみにだが、それは人間じゃない。宇宙人に殺された死体を再利用

   して作っている人形だ。道徳や倫理を問われたところで、宇宙人の被害が抑え

   られてるのはそいつらのお陰だ。あきらめてくれ」


杉谷 「死体を…再利用…?」


皇  「何?つまりもともと生きてる人間だったってこと?」


穂村 「そうなんじゃないか?」


穂村 「ああ、詳しくは知らないが」


遠縁 「・・・死体を?」


遠縁はしばらく考え込む…もしかすると…と自分の中である程度予測が立つだろう。


穂村 「まあ、どうやって作ってるのかは俺も知らん。だが、忘れるな。こいつらの

   お陰でいま世界は平穏を維持しているんだ。今出払っているマリオネット達も

   この町の為に戦っている。それを無駄にするようなことはしないでくれ」


遠縁 「わかりました」


杉谷 「だいたいは把握しました。私たちはこの子と一緒にあの宇宙人と呼ばれるあ

   の化け物と戦えばいいということですね。戦闘は主にこの子が行って、あの子

   をサポートするのが私たちの役割だと」


穂村 「ああ、そうだ」


遠縁 「やり方とかは現場の考えでいいんでしょうか?」


穂村 「皇、君が破損を直す。遠縁、君が指示を出す。そして杉谷、君は暴走した際

   にそれを止める。良い役割分担じゃないか」


遠縁 「・・そうですか」


皇  「まるで道具ね。人間だったっていうのに…」


杉谷 「後ほどマリオネットの作成方法についての資料などがあれば見てもよろしい

   ですか?エンジニアと言っても実際にどのようにつくられたか、そこを見ない

   と最大のパフォーマンスは発揮できませんので」


穂村 「ダメだ。というか資料はおそらく存在しない。お前が深山の脳内に入れるな

   ら別だがな。つまりはあきらめろ。割り切れ」


杉谷 「そうですか…」


穂村 「さて、これで話は以上だ。私は仕事に戻るから、君たちは好きにしていい。

   宿泊用の施設もあるからな。泊っていくといい。明日の8時、ここに集合だ。

   わかったな」


遠縁 「わかりました」


皇  「了解」


遠縁 「彼女はこれからどうなりますか?」


遠縁さんはそういうとアカネの方を見つめる。どうやら相当心配しているようだった。


穂村 「ああ、心配しなくても生理行動は自力で行う。食事などは特にしないがな」


遠縁 「そ そうですか」


穂村 「それと…朱里…だったか。私は知らないが、先ほどこのビルに運ばれてきた

   少女の事なら7階にいるはずだ。詳しくは薬井に聞け」


杉谷 「…そうですか…それだけ聞ければ大丈夫です。ありがとうございます」


穂村 : 「それじゃあ」


KP  そうして、あなた方は指令室から追い出されることでしょう。現在は12時ご

   ろ。さて、どうしますか?


皇  一回診療所に戻ります


KP  はい、では皇さんは診療所に行くという事で別行動になります


KP  では、お二人が廊下に出ると、アカネがあなた達に話しかけてくる


遠縁 「ん?」


アカネ「No.24《ジャンク》のアカネです。今日からよろしくお願いします」


杉谷 「うん、よろしくね。アカネちゃん」


遠縁 「アカネ?」


アカネ「はい、登録された名前はアカネです」


KP  まあ、皇さんから聞いていたという事でいいですよ


遠縁 「緋宮って名前聞き覚えは?」


アカネ「すみません、その情報へのアクセス権限がありません」


遠縁 「なるほど?」


遠縁 「そういえば あの化魚の攻撃から庇ってくれてありがとうね?」


アカネ「わかりません。申し訳ございません」


遠縁 「ん?わかりません?どういうこと?」


アカネ「そのようなプログラムは搭載されていません」


遠縁 「搭載されてないの?」


アカネ「はい」


遠縁 「なるほど?」


杉谷 「おそらくマリオネットには宇宙人から人を守るのがそもそもの指令というプ

   ログラムが入っているのだろう。だからこそ感謝されるといったようなことも

   ないからわからないのではないのかな?」


遠縁 「いや 庇う機能がないって」


杉谷 「ふーむそうか…プログラムを見てない僕からも憶測でしか言えることがない

   からな…とりあえず、彼女のことをより知るためにも情報をこの子と親睦を深

   めながら集めたほうがいいんじゃないか?」


遠縁 「そうだね うん そうですね 講師」


遠縁 「えっと アカネちゃん さっきは庇ってくれてありがとう これからよろし

   くね」


アカネ「はい、よろしくお願いします」


遠縁さんは優しく微笑む。しかし、アカネの表情は何も変わらなかった。

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