贖罪の蜂

√x

第1話

場所は小学校。僕はいじめられている。僕の友達は虫だけだ。そんな中でも、僕は蜂が好きだ。一回、助けてもらったことがある。下校中、

「うわ!」

同級生に会っただけで悲鳴があがって逃げられる。僕が何をしたんだ?すると

「おい」

「なんですか?」

「気持ち悪いんだよ。お前。消えろ」


ドンッ


「え?」

下校中の信号前だった。車が突っ込んでくる直前に押されて、轢かれ

「おい、お前危ないぞ!」

轢かれはしなかった。直前で止まってもらえた。それはただ単に止まったんじゃない。車の前を蜂がかすめたんだ。それもあって止まったと思う。さらに、

「うわあああ!」

押してきた奴が蜂をみて逃げていったんだ。まったく、蜂がいったい何をしたんだと思うが今回は助かった。すると、不思議なことに蜂が僕の前で静止した。しばらくすると消えてった。そんなことがあったから僕は蜂が好きだ。これから僕はリンチ紛いみたいなことをされるだろう。場所は校舎裏、脅されてここに来たのと、虫探しだ。

「よお、虫野郎」

サッカーチームに入ってる金藤くんだ。それに取り巻きが二人。金藤くんが取り巻きに指示をだした。

「おい、捕まえろ」

そして僕は両腕を固定されている。


ボゴッ


腹を殴られた。息ができない。どうしてこんなことをするんだろう。憎しみや苦しみ以上に疑問が強かった。その瞬間蜂が現れた。取り巻きがビビりだした。

「おい、気にせず止めてろ」

すると、そう言った金藤くんに蜂が止まった。

「何だ?」

そして、

「がっ…」

蜂が金藤くんを刺した。

「うああああ!」

取り巻きたちは逃げてった。僕は最高の気分だった。それはもう言葉では表現できない心地よさだった。

「ありがとう」

空中を無作為に飛ぶ蜂に言った。こんなんだから、いじめられるのだろうか?なら、別にいじめられてもいい。苦しみから逃れることよりも自分が自分であることの方がいい。…一つ気になるのがさっきから金藤くんが微動もしないことだ。僕は彼に近づいて、首筋に手をおいて脈をはかった。…死んでる。

アナフィラキシーショック?って奴をおこしたのかな。まあ、彼の存在は僕にとってどうでもいいことだ。死のうがね。すると、あり得ないことに空中をふらふらしていた蜂が僕の目の前で止まった。ペットみたいに。僕が数歩進めば、蜂も進んだ。僕を助けてくれた上にこんなこともしてくれるなんて、どう感謝したらいいかわからないよ。さあ、一緒に散歩に出よう。僕は草が生い茂った校舎裏から歩きだした。


風が吹いた。ここ最近は酷暑が続き、嬉しい風だ。…また吹いた。蝉の音が鳴り響き続ける。この道を歩く僕についてくる蜂。

「おい」

また絡まれた。

「虫、殴られろ」

いつも理不尽なことが僕を待っている。でも

「うわ!、なんだ、振り回すな!…危ねえ!」

蜂がそいつの周りを飛び回った。やっぱり僕を助けてくれている。殴ろうとしてきたやつは逃げてった。


「お前がやったんだろ!」

そう言ったのは金藤の父だった。そう思われてもしょうがないが決めつけるのはどうかと思うが。

「蜂が彼を刺しました」

「なんでお前は刺されなかった!答えろ」

「知りません」

僕も不思議だ。するとまた蜂が現れた。金藤の父はまったく気にする様子はない。しかし

「あがっ」

蜂にその人は刺された。また、脈をはかる。…死んでる。この蜂の毒性、強すぎないか?そして、蜂はそのまま行ってしまった。


ある日のニュース「小学生が男性一人と小学生を殺害」。僕はよく聞かれるんだ。なんでこんなことをしたんだって。したもなにも、蜂が勝手にやったんだ。そう言うと、君が刃物で人を刺したんだろう、と言われる。するとまた、蜂が現れた。すると、刃物をしまいなさいと言われる。僕にはよくわからないよ。


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