第8話 各家の対応

「ヴェイル家からは私とヴァイスで出よう、馬鹿弟子の腕も確かめておかねばな。それに育成顧問として出ないわけにはいくまい」


「わかりました御祖父様。であれば王家にはそのように返答いたします。それよりも気になるのはこの一文です。騎士団長の摸擬戦相手の人選についてなぜこのような書き方を?」


 ヴェイル公爵家内の一室。対面で話をするのは先代と当代の公爵。先代ローグ・ヴェイルと当代ヴァイス・ヴェイル公爵。


「それについては気にすることはない、ヴァイス。おおよその検討はついているがな」


「そうなのですか?私には見当がつきません。何か知っているのですか?御祖父様」


「ふっ、なに、当日になればわかる。今は気にする必要はない」


「わかりました。であれば当日を楽しみしておきましょう。それにしても、騎士団長の彼の相手が務まる人物がいるのでしょうか?」


「さぁな…………(王家はを本気で中枢に介入させるつもりなのだろう。でなければ書簡に人選など記す必要が全くないからな。まったく姫もも大変だな)」


「それよりも注意すべきことはわかっているな?ヴァイス。これで王家の敵対派閥に動きがあるはずだ」


「心得ております、我らは剣。王家として国と民の平穏を守る盾でもあります。すでに情報収集に当たらせています。また副団長であるティグル伯爵家にも書簡を送っており、現在返答待ちです」


「ならばよし。当日の修練場内はまかせよ。外に関しては任せる」


「わかりました」


 ティグル伯爵家の執務室にて


「王家からとヴェイル公爵家からの書簡か。これは……」


「ふふっ、いつもの公開演習の通達ですね。ですが少しいつものとは違うようですよ?貴方」


「まぁ、完全に実力だけで団長になった、しかもデュランダルに選ばれているんだ、無理もないんじゃないか?むしろ選ばれた相手が大変だよ?メラ」


「確かにその通りですわね、ラグリス。王家は一体何を考えていらっしゃるのでしょうか?」


「私にもわからないが陛下の事だ、そう大変なことにならない筈だ。当日を楽しみにしよう」


「えぇ、そうですわね」


「メラ、ティグル家からは主人である私とメラで出席するよう返答を出しておいてくれるか?」


「ラグリスがそう言うと思って既に返答書を書いておりますよ。もう一通はヴェイル公爵家からでしたがどの様な内容で?」


「当日の警備についてだ。騎士団でも対応することになるだろう(さて、王家反対側の貴族は一体何をしてくるのか?警戒しておくことに越したことは無い……か)」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る