第4話 立場と役目と名前とくちづけ

 夏も近づく庭園は日差しが強いが、木陰にいればすずしい風が吹き抜けていく。

 丹精込めて手入れされた花々は鮮やかに咲き誇り、その向こうにたたずむ男女の姿をより美しく見せる。

 男性――ロンシンは薄い青の長衣とゆったりとした濃紺のズボンという軽装だが、銀色に光るボタンや長い髪をまとめる髪紐の緋色が華やかさを演出している。

 今日も今日とて陛下は完璧である。

 一方女性の方は薄桃色の昼用のドレスを身にまとい、白銀の髪はおくれ毛ひとつなくきれいに編みこまれて結い上げられている。ドレスにもたっぷり用いられている白いレースは手袋や日傘、髪飾りにも用いられ、彼女の華奢な体躯を繊細に縁取っている。顔立ちもそれにふさわしくやさしげな美貌で、アイスブルーの目がロンシンの指さす方を見るたびにきらきら光っていた。

 ジラッド王国第一王女リリシャ。

 ロンシンの隣に居ても見劣りすることのない、完璧な姫君。

 少し離れたところを歩く彼らの会話は聞き取れないが、たのしげな様子で会話をしながらゆっくり庭園を進んでいく。

「あのふたり、昔から仲がいいんですよ」

 隣から話しかけられ、サリーユは視線をふたりから自分の隣に立つ人物に移した。

 麦色の髪を短く刈り、腰に帯剣した彼はリリシャの護衛騎士だ。ハシバミ色の目を細めて、ロンシンたちのことを見つめている。

「そうなんですね」

 昨日の謁見の時点で、旧知の仲であることはわかっていた。リリシャは「おひさしぶりです」とあいさつしていたし、ロンシンも砕けた態度でそれに応じていた。

 月燐花とジラッドの関係性は深く、交流も密にある。友好国の王子王女であるふたりが幼少時から親しくしていたとしても不思議はない。

 少しだけ、胸がざわつくだけで。

 庭園を案内するロンシンの横顔はおだやかで、くつろいでいるように見える。リリシャ王女の訪問を「気が重い」と言っていたのに。

 そんな風に思ってしまった自分に嫌気がさして、ふるりと首を振った。

 リリシャは今のところロンシンの結婚相手として非の打ち所がない。ふたりが仲を深めることに、反対する理由なんてない。

「リエルグさまは、ずっとリリシャ殿下の護衛騎士でらっしゃるんですか?」

 隣の青年の名を呼べば、彼はひとなつこい笑みを浮かべた。

「父がリリシャ殿下のお父上――ノードン陛下の護衛騎士で、ぼく自身は四年前にやっと殿下の護衛騎士に任じていただけたんです」

 つまり護衛騎士であり、幼なじみ、ということなのだろう。

「殿下は自由奔放なところがおありだから、そういうところをわかってくださる方のところへ嫁げるといいな、と心配してたんですけど、昔なじみのロンシン殿下なら安心です」

 ちょっとさびしいですけど、と照れたように笑う彼に向かって、尖った声が飛んできた。

「嫁ぐ、だなんて、気が早いですわ」

 サリーユとリエルグは、今まで黙って同じ木陰に控えていたひとりを振り返った。

 彼女はリリシャについて来た侍女で、名はミルテ。年はサリーユよりひとつ下で、まだすこし幼い顔立ちをしている。

「陛下も何をお考えなのでしょう。関係を深めるなら帝国とのほうが利もあるでしょうに」

 彼女の言う「陛下」はロンシンのことではなく、ジラッド国王ノードンのことだ。

 苦々しい表情を隠そうともしない彼女は、サリーユが人間ではあるものの月燐花の人間であることを失念しているのだろうか。それとも、わかったうえでのあえての発言なのか。

 ちらり、と彼女の胸にかかる円環のペンダントを一瞥し、サリーユは黙って視線をロンシンたちへと戻した。

 円環のペンダントはエリム教の熱心な信者である証だ。エリム教は魔族と魔法を「悪」とするが、魔術については許容している。ジラッドでは信仰の自由が保障されているのでエリム教信者も他国よりは少ないものの存在している。

 それは理解しているが、月燐花に同行する侍女に加える必要はあったのだろうか。

「ミルテは最近入った侍女なのですが、ラーニ王妃殿下の遠縁なのです。失礼をご容赦ください」

 こそり、とリエルグに耳打ちされ、なるほど、と得心がいく。

 リリシャと兄でジラッドの王太子の母である人は、すでに故人だ。ノードンが即位してしばらくの後に病を得てこの世を去っている。ラーニはその後に嫁いできた王妃で、出身はアールノア帝国の公爵家だ。第二王子と第三王子の母親でもある。

 彼女自身は熱心なエリム教信者ではないが、縁者を取り立てる傾向があると聞く。

 今のところリリシャたちとラーニ王妃が表立って対立しているという話は聞かないが、波風を立てるのが得策ではないということはよくわかる。ミルテを重用している、と見せなくてならない、ということか。

「ねえ、サリーユさん」

 ミルテにはこちらから関わらないようにした方が平穏を保てそうだ、と思ったとたん、あちらから呼びかけられた。

「……なんでしょう」

 無視するわけにもいかない。向き直って返事をすれば、彼女は目をすがめてこちらの顔をまじまじと眺めてきた。

「あなたの目、とってもきれいな紫色だけれど、帝国に縁者でもいらっしゃるの?」

 紫色の目――それも紫水晶のように透き通った紫色の目はアールノア帝国の皇族の特徴だ。高位貴族にも紫色の目の者は多い。ミルテの目もわずかに紫色を帯びた青をしている。

「……縁者、と呼べるものはもうこの世におりませんので」

 ロンシンに出会った夜に、サリーユと家族の縁は切れた。そうとだけ告げて話を切り上げる。

「……ふぅん」

 納得していない風だったが、ミルテもサリーユがそれ以上話をする気がないと悟ったのか引いてくれた。

 リリシャが連れて来たのは、彼ら――リエルグとミルテ、あとふたりの侍女と、五名の侍従と十名の兵士だけだ。

 今もすぐそばに控えているのはリエルグとミルテ、それからサリーユのみ。兵士は庭園の周囲を警戒しているはずだが、非公式とはいえ一国の王女の訪問の供にしては数が少なすぎる。

 これは、もしかして――とサリーユが考えこもうとした時だった。

「とっても素敵なお庭でしたわ。ご案内、感謝いたします」

 鈴を転がすような声に顔を上げれば、庭園散策を終えたらしいロンシンとリリシャが戻ってきたところだった。

「昔、西の池でボート遊びをしたときにはずいぶんとはしゃいでいたよね。私はこの後外せない面会があるから行けないけれど、行きたいならサリュに案内を頼むといいよ」

「もう! ロンシンさまったら、わたくしをいくつだと思ってらっしゃるの」

 にこりと笑ったロンシンにリリシャがむくれてみせる。

「ロンシンさま」と彼女が口にした響きに、はっと胸を突かれた気がした。

 この国に、彼を「陛下」と呼ばぬ者はいない。少なくとも、これまでサリーユの周りにはいなかった。

 敬称をつけているとはいえ、彼を「陛下」という肩書抜きで呼ぶ人を初めて見た。

 もし、彼女がロンシンと結婚したら、ふたりきりの場では「ロンシン」と彼を呼び捨てにするのかもしれない。

 それは、サリーユには決してかなわない呼び方だ。

 サリーユが彼の妻にはなれない以上、どこまでいっても「陛下」の臣下なのだから、それは当然のこと。当然のことなのに、いまさらこんなに胸が痛むとは思わなかった。

『君は覚悟を決めておいた方がいいですよ』

 ユーイエの言葉を思い出す。

 彼が言っていたのは、こういうことだろうか。

 サリーユには、まだ、ロンシンをあきらめる覚悟が足らない、と。

「ねえ、サリーユ」

「はい、リリシャ殿下」

 リリシャに語りかけられ、サリーユはまばたきひとつの後に返事した。こういうときには切り替えが得意な自分の性質に助けられる。

「ロンシンさまにはああ言ったけれど、この後、ボート遊びに連れていって下さらない?」

 すすっと隣にやって来た彼女は、こっそりと耳打ちしてくる。

 サリーユと同い年のはずだが、いたずらっぽい笑みを浮かべた顔はとてもかわいらしい。

「はい、もちろん」

 自然と自分の表情がゆるむのを感じながらうなずく。

 そう。リリシャはかわいらしい人なのだ。

 サリーユにも礼を失した言動はしないし、かといって距離をとりすぎるでもない。品よく整った美貌に浮かぶ天真爛漫な表情は見る人の目を惹きつける。

 嫉妬するのがばかばかしくなるくらいに、魅力的な女性。

 自分に彼女に勝っている点なんて見つからないのに、ロンシンと彼女が並んでいると胸がざわつくなんて、身の程知らずもいいところだ。

「サリュがそんな風に笑うなんて珍しいね。何を言ったの、リリィ」

 リリシャを愛称で呼ぶロンシンにまた胸が痛む。

「あら、わたくしとサリーユだけの秘密です」

 ね、と笑いかけられ、とっさに「はい」とうなずく。

 ぴくり、とロンシンの浮かべる笑みが強ばった気がするが、改めてじっと観察してみてもこれといっていつもとの違いは見受けられない。気のせいだったのだろう。

「では、ロンシンさま、御前、失礼いたしますわ」

 にこりと笑ったリリシャが軽く膝を折ると、ロンシンの手をとって指先に親愛のくちづけを落とす。

 指先への軽いくちづけなど、ただのあいさつだ。わかっている。魔族たちはあまり行わないが、実家にいた頃には珍しいものではなかった。

 それでも、ぎゅ、と胸が締めつけられる感覚を、サリーユは息を殺してやりすごした。

「お仕事、がんばってくださいね。ではまた晩餐の席で」

 さ、行きましょうサリーユ、と甘えるように手を引かれ、サリーユはロンシンに向かって頭を下げた。

「失礼いたします、陛下」

 人前で彼を励ますことも、指先へくちづけて親愛を示すことも、サリーユの立場ではできない。サリーユはロンシンの臣下――それも直属ですらない――に過ぎない。

 いずれロンシンがサリーユに求めたものは、それにふさわしい立場の姫君のものになる。

 だいじょうぶ、わかっている。

 自分に言い聞かせながら、サリーユはその場を後にした。

***

「陛下、いますぐその顔やめてください」

 ユーイエに言われ、机に頬杖をついていたロンシンは「別にいいだろ」とぼやく。

「おまえしか見てないじゃないか」

「いや、さっきの大使、めちゃくちゃおびえてたじゃないですか」

 つい今しがた退室していった某国大使の引きつった笑みを思い出す。

 あれはおびえていたのか、といまさらながらに合点がいった。

 自分があからさまに不機嫌な表情を浮かべている自覚はあったが、別に彼に不満があったわけではないのだが。悪いことをした。

 ふ、と息をこぼすと、頬を両手でもみほぐす。

「どうしたんですか、まったく。またリリシャ殿下が何かやらかしたんですか?」

 代々魔王に仕える家系であるユーイエもリリシャのことは幼いころから知っている。

 決めつける口調に、ついつい苦笑した。

「いや、リリィもさすがにもう大人なんだから」

 幼いころにはボート遊び中に池の中の魚を獲ると言い出して池に飛び込んだり、夜の国立図書館に潜り込んで蔵書を片っ端から取り出して巨大ドミノをつくったり、絵本で見た巨大なゼリーが作りたいからと城の噴水を止めて果実水と寒天を投入しようとしたり、とにかく来訪のたびにひと騒動起こしてきたのだ。

 疑いたくなる気持ちはわかるが、今回はそういった方向にやらかしたわけではない。

「じゃあ、どうしたっていうんです」

 問われ、先ほどの庭園での出来事を思い出し、ロンシンはまたむすっとする。

「……リリィ、サリュのこと気に入ったんだって。連れて帰ってもいいかって聞かれたんだよ」

 それだけ、と答えると、ユーイエがため息をこぼす。

「それだけ、って言うなら、表情取り繕ってくださいよ」

 ふん、と鼻を鳴らす。

 リリシャは昔から互いのことを知っている幼なじみだ。そういう意味では気安い相手だが、それは決して恋愛感情ではない、お互いに。

『ねえ、ロンシンさま』

 庭園を歩きながら、ひかえめな笑みを浮かべたリリシャがそう切り出した時、ひどく嫌な予感がした。昔から彼女がそんな笑みを浮かべているときはろくなことを言いださないのだ。

『わたくし、サリーユさまのこと、気に入りました。側付きの侍女として連れ帰ってもよろしいでしょうか』

 案の定、ろくでもないことを言いだす。

『信頼のおける侍女がちょうど欲しかったのです。彼女、教養深くて、所作もどこに出しても恥ずかしくない――どころか、わたくしもお手本にしたいくらい。少しまじめすぎるところも、信頼に値しますし』

『だめだよ』

 笑みを浮かべたまま即答したロンシンに、遠目にこちらを見ているサリーユや自分の護衛たちに見えない角度でリリシャは唇を尖らせた。

『あら、どうしてですか? 聞けば、普段はユーイエさまの下で文官仕事をなさっているとか。でも、わたくしの側仕えであればお給金は今以上に出せますし、いい縁談だって――』

『あの子は私と結婚する予定だから、だめ』

 はっきりと言えば、リリシャは目を丸くした。

『まあ! サリーユさまはそんなことおっしゃってませんでしたわ』

『……まだ了承はもらってないけど、その予定だよ』

『あらあら、ロンシンさまの片想いですの?』

 あわれむような目を向けられ、むっとするがぐっとこらえる。人の目がある場所でリリシャと言い争うような姿を見せるわけにはいかない。

 彼女はジラッドからの客人。周囲には友好的な関係であると常に見せつけなくてはならない。

『片想いじゃないよ。でも、彼女は自分より条件のいい相手がいるって言い張るんだ』

 口調だけはすねるようなものになってしまった。

 ロンシンは彼女しか考えられないのに、とちらりと窺い見た想い人が隣に立つリリシャの護衛騎士に何事か耳打ちされている姿にあやうく舌打ちをもらすところだった。

『……君のところの護衛騎士、ちょっとサリュに慣れ慣れすぎない?』

『……リエルグは誰に対しても距離が近すぎるんですの』

 苦いものがにじむリリシャの口ぶりに、珍しいな、と視線をやれば笑みを形どったリリシャの目の奥にいらだちが浮かんでいる。

 突拍子もない行動は多いけれど、演じるとなれば自分以上に自分の役目――「お姫さま」を演じることのうまい彼女にしては本当に珍しい。

 彼女の視線をたどって、つまりはそういうことか、とうなずく。

『お互い、むずかしいね』

『ふふ、わたくしはいざとなったら押し倒してでも手に入れますので』

 昔から存外野蛮で思い切りのいい姫である。

『……それ、女性がやっても犯罪だからね?』

 いちおう忠告はしておくが、彼女はいざやると決めたら躊躇なく実行するだろう。

『ところで、ロンシンさま』

『……まだ何かあるの?』

 先ほどよりさらにいい笑みを浮かべたリリシャにうんざりと訊ね返す。

『ここから先が今回の本題ですのよ』

 心底たのしそうにそう告げた彼女が笑顔で語った内容は内容で、たいそう頭を抱えたくなる案件だったのだが――。

「やっぱりやらかしてるじゃないですか! まったく、あの姫君は……来るたびに面倒くさいですね」

 一通りのやりとりを語って聞かせると、ユーイエがあからさまに顔をしかめた。

「ほんとにね」

 ため息をこぼすと、頬杖をつく。

「まあ、でも――」

 彼女の「本題」などよりロンシンにとって大切なのは――。

「サリュがリリィに引き抜きの話をされても揺らがないように、おまえのところの部署は早急に勤務体制の見直しをするように」

「陛下、動揺しすぎですよ」

 もっと自分が愛されてることに自信持ってください、とユーイエがあきれ顔をするが――。

「少しのことで不安になるのが恋愛ってものだろ」

 手に入れるまで――否、手に入れてからだって、きっと不安は消えたりしない。

 サリーユをどこかに閉じ込めて自分しか目に映せないようにしても、それでも、きっとだめなのだ。

 でも、その不安もいとしい、なんて。

「ああ、ほんと、自分でもどうかしてると思うよ」

 つぶやきつつもロンシンは自分の頬が自然とゆるんでいくのを感じていた。

***

 寝る前に、今日一日のできごとを振り返り、気になったことがあったらそのことについて考えてみる。

 ずっと続けているサリーユの習慣だ。

 昔から、順序立てて考えることは不得意ではなかった。

 手の中にある情報を、ひとつひとつあるべき場所に収めていく。

 今回は足りない部分が多すぎるけれど、そう言った場合は想定すべき事態から――今回は「最悪」から逆算して足りない部分を想像する。矛盾が生じれば、その可能性を除外して、別の可能性を検討する。

 脳内で組み上がった全体図を眺め、サリーユは大きく深呼吸した。

 これは、「最悪」の想定で組み上がった絵。でも、可能性は否定しきれなかった構図。

 で、あるなら、それが実現しないように動かなくてはなるまい。

 じっと黙考していたサリーユは立ち上がると、一度着替えた寝間着からクローゼットをあさって着慣れた文官服を取り出し、身にまとう。祖母から教え込まれた「貴族女性の心得」的には部屋の外へ出るならば髪も上げてまとめたほうがいいが、もう夜も更けているし、何ごともなければ誰にも会わずに帰ってくる。

 めんどうくさいな、という気分がぬぐえず、いつものロンシンのようにゆるく編んで背中に流すだけにする。

 そっとドアを開き、廊下を確認する。

 もう少し進んだ先にあるリリシャ一行の滞在する部屋の並びには廊下にも護衛が立っているが、ここには迎賓館担当の衛兵がたまに見回りに来る以外、人通りはない。

 ただでさえ警備の厳重な王城の一画にあり、迎賓館自体も周囲を衛兵が守っているのだ。本来であれば何も心配するようなことはないのだが――。

 ドレスと合わせるヒール付きの靴とは違い、文官服と合わせる靴はかかとも低く、やわらかいため足音も殺しやすい。迎賓館の地図と衛兵の配置、見回りのルートを脳裏に思い浮かべてから、サリーユはいちど外に出ることにした。

 杞憂ならいいのだが、と思いつつ、どうしても気は急いてしまう。

 お茶会を開いたりするサロンから外に向かって開くガラス戸を抜け、ちょうど通りかかった見張りの衛兵を庭木の陰に隠れてやり過ごす。

 見つかってもいいと言えばいいのだが、ただの「心配事」のためだけの深夜の徘徊をうまく説明する自信がない。

 こちらには気づかず去っていった衛兵の後姿を見送り、この先のルートを脳内で再度確認してからかがめていた腰を上げ――。

「何してるの、サリュ」

 背後からつんっ、とおさげ髪を引かれ、あやうく悲鳴をもらすところだった。反射で魔法を発動させそうになるのを、目をつむり、まぶたにぐっと力をこめて押しとどめる。

 深呼吸をしてから、振り返る。もちろん、声だけで相手はわかっていたのだが。

「陛下こそ、こんな時間に何をなさっているん――」

 腰に手を当ててこちらを見下ろしてきているロンシンに問い返そうとして、サリーユはふと思いついたことに口をつぐんだ。

 これは、あれではなかろうか。いや、サリーユの紳士的な陛下がそんなことをするとは思いがたいが、状況的にはあれとしか思えない。

「もしや、よば――もが」

「待って、サリュ」

 勢いよく口をふさがれ、言葉を封じられた。

「今、想像したこと、絶対にないから。いい? ぜったいに、ない。だから、即刻その考えを捨て去って」

 じゃないと私が泣く、とやけに圧の強い笑顔で言い聞かせられた。

「あぁ、でも、君が想像したこと、君とならやぶさかじゃないよ」

 ちらり、と色っぽい目でうかがい見られ、サリーユは降参した。

「陛下も夜のお散歩でらっしゃいますね。わたくしもです」

 ロンシンがしようとしていたのは「よ」から始まって「い」で終わる行為ではなく、「お散歩」だ。さすがに誰もが寝静まったような時間にするのは非常識だとは思うが、そうでなくてはサリーユが困ったことになる。

「良い晩ですね」

 月は見えず暗いが、その分空は晴れ渡った空にまたたく星がよく見える。吹き抜けていく風は少し冷たいが、頭をすっきりさせてくれる。

 取り繕うようにそう言ったサリーユに、ロンシンは軽く苦笑を浮かべた。

「で、実際のところ、サリュは何をしてるの」

「ですから、夜のお散歩です」

 少なくとも、何ごともなければ、「お散歩」で終わる。

「……リリシャさまのご様子をうかがいに」

 サリーユの続けた言葉に、ロンシンがすっと表情を消した。

「どうして? リリィが何か君に言った?」

「いいえ」

 彼の反応に、自分の想像があながち間違っていなかったことを悟る。

 サリーユの想定した「最悪」は、リリシャの暗殺だ。

 友好国への非公式の訪問とはいえ、リリシャの供はあまりに少ない。加えて、ミルテを筆頭に供の人選にも偏りを感じる。簡潔に言えば、現王妃であるラーニ派の者が多く加わっている。庭遊びのあと、リエルグに確認したので確かである。

 少ない供、それも確執がないとは言いがたい義理の母の息がかかった者ばかりでの他国訪問。何かを起こすのにこれ以上都合のいい機会はなかなかない。

 本来ならば警備がいちばん手薄になるはずの道中が好機だが、今回は月燐花内の行き帰りはロンシンが護衛団を手配したため人目が多い。逆に迎賓館内の警備のほうがリリシャの部屋周りは身内で固められるため都合がいいだろう。

 あとは、どうやってか、騒動の責任を月燐花に押し付けられれば完璧だ。

 それならばやはり急がなくては、と「お散歩」を続行しようとしたサリーユの手をロンシンが引き止めた。

「だめだよ、サリュ。君は部屋に戻りなさい」

「どうしてです」

「どうして、って、あぶないからだよ。君に万一何かあったら困る」

 眉を下げるロンシンにサリーユは首を横に振った。

「承服いたしかねます」

「いたしかねますって」

 心底困った、と言わんばかりに首をかしげ、彼は目を伏せる。

「サリュからしたら、リリシャは厄介な客人でしかないだろう」

 放っておいたっていいじゃないか、と言い出しそうな雰囲気にサリーユは目を見開いた。

 今度こそ抑えきれず、目の色がじわりと変わるのを感じる。じりじりと祖母の遺品とロンシンから預けられているブレスレットが熱を帯びる。

「冗談おっしゃらないでください、陛下」

 声は、押し殺した感情にかすかに震えた。

「もし、ご冗談ではなくて本気でおっしゃったのでしたら、それは、わたくしへの侮辱です」

 ぎっと睨みつければ、魔法は効いていないだろうにロンシンが気圧されたように動きを止める。

 厄介な客人。確かにそうだ。彼女の訪問のせいで仕事は倍増したし、気持ちだって平静とは言いがたかった。

「わたくしは、リリシャ殿下が好きです。おかわいらしい方だと思います。――すこし、妬ましいくらい」

 すばらしい方だと思うからこそ、ロンシンにお似合いだとも感じてしまう。自分には手が届かない彼に平然と触れる彼女がうらやましくてたまらない。

 でも。それでも、だ。

「でも、それとこれとは話が別です。好きであっても、きらいであっても――そんな感情とは関係なく、ここで! 陛下のお膝元で! 余計なことをされるわけにはいかないのです」

 呆然としているロンシンの手を振り払う。

「陛下の臣下として、応接役を承った者として、リリシャ殿下に何かあったなら、それはわたくしの落ち度なのですから」

 だから、行くのです。そう言い放つと、サリーユはロンシンを置き去りにしてリリシャの部屋へ向かって走った。

 背後から、ロンシンが追ってくる気配はない。

 またやってしまった、と思わなくもなかったけれど、どうしても譲れなかった。

 ただ座って守られているのが自分の役目だというのならば、もどかしいかもしれないが、そうしよう。でも、サリーユはそんな立場ではないし、与えられた役目がちゃんとある。

 はずみそうになる息を整え、身をかがめつつ、たどり着いたリリシャの部屋を庭木の陰からうかがい見る。

 リリシャに与えられたのは迎賓館の二番目に広い部屋で――いちばん広い部屋を使用できるのは他国の国主のみだ――部屋の外にもお茶会ができるような広い庭が付属している。そこの警護はリリシャの供である兵士の役目であるはずなのだが、どうしてだか――悪い予感通り――兵士の姿がない。

 昨晩はロンシン主催の歓迎の宴が夜遅くまであったし、初日ということでリリシャの部屋へ月燐花側の使用人の出入りも多かった。明日は月燐花の領主たちが非公式とはいえリリシャを囲む宴を企画しており不確定要素が多い。さらに、ロンシンとリリシャの昼の仲睦まじい姿を見れば、夜に彼の訪れがないとも言い切れない。

 と、なると、襲撃はこれ以上ふたりの仲が深まる前に――と今夜あたり実行に移されるのでは、という当たってほしくもない予想は当たったようだ。

「リリシャさま」

 安否を確認すべき最優先人物の名を呼びながら、室内へ飛び込み――サリーユは足を止めた。室内は暗かったが、ランプがひとつだけ灯っていたため何も見えないほどではないし、昔から夜目は利くほうだった。すばやく視線を走らせ、現状把握に努める。

 自分の右手の壁際に、探していた人物――幸いなことにけがひとつなさそうだ――がおり、彼女の前には剣を抜いたリエルグが主人を守るように立ちふさがっている。彼に対峙するように、剣を抜いた兵士が六名。どの顔もリリシャの供としてついて来た者として記憶している。室内はすでに乱闘があったことを示すように乱れており、侍従と残りの兵士が血を流して倒れている。

 サリーユの入ってきた庭側のガラス戸の対面、出入り口に続く扉の前には青ざめた顔を険しくゆがませ短剣をかまえたミルテが立っている。残りのふたりの侍女は部屋の隅で身を寄せ合って震えていた。

 わかっていたことだが、半数以上がラーニ王妃側として実際に動いた、ということか。

 すでにリリシャを守れるのがリエルグだけ、とは状況が悪い。

「まあ、サリーユさま」

 こんなときなのにリリシャはあせる様子もなく、ぱちくりと大きなまたたきをした。

「まさかあなたがいらっしゃるなんて、思いませんでした」

 部屋中の視線――大半が殺気に満ち満ちている――を一身に浴びながら、サリーユは腰を落として礼をした。

「夜分、このようなところから失礼いたします、殿下。いらぬ気づかいであればよいと思ったのですが、無駄にならなかったようでようございました」

 こちらも動じることのない態度で応じれば、リリシャはくすりと笑う。

「ええ。すこし困っているのですけれど……ここにいらっしゃった、ということは、状況を打開する手をお持ちでらっしゃる?」

 彼女の言葉に、兵士たちが目配せをする。六人のうちふたりがサリーユに向き直った。文官服に身を包んだサリーユに何ができると思っているわけではなく、この場から逃げられて救援を呼ばれては厄介だと判断したのだろう。

こちらに向けられた剣の切っ先がぎらぎらとランプの灯りで光る。

 リリシャの問いかけにどう答えるべきか、躊躇する。この状況を一変させる方法が、ないわけではない。でも、うまくいくのか。うまくいったとして、ここにいるのは魔族ではなく人間ばかり――彼らにどういう目で見られるのか。

『こちらを見るな、おぞましい』

 かつて兄に投げつけられた言葉を、母や弟妹から向けられた怯えの目を、父の苦々し気な表情を思い出す。

 彼らにとってサリーユは「災い」でしかなくて――。

「使いなさい。君ならできるよ」

 固まっていたサリーユの両肩に、ぽん、と背後から手が置かれた。

「陛下」

 振り返れば、先ほど置き去りにしてきてしまったロンシンが微笑を浮かべて立っている。

「魔法、ユーイエに相談して練習してたでしょ?」

 陛下には秘密にしてください、とお願いしておいたのに。

「失敗しても私がいるから」

 そう背中を押され、サリーユは突然の「魔王」の出現に浮足立っている兵士たちに向き直る。

 大きく深呼吸をひとつ。そっと目を伏せ、呼吸といっしょに周囲の魔力を取り込み、もとから自分の中にある魔力とまとめ、お腹のあたりから全身を包むように、最後に目へ凝らせていくイメージで動かしていく。左腕のブレスレット――特にロンシンからもらったもの――が熱くなる。

 もう一度息を深く吸い、吐き出しながらまぶたを上げる。じわり、と自分の目の色が変わっていくのが感じられた。

「ひっ」

 おびえたように息を呑んだ兵士が、そのまま彫像のように固まる。

「このっ」

 あわてたように剣を振り下ろそうとした兵士も――。

「くそっ、なんでこんな」

 目的を果たそうと、リリシャへ向きなおろうとした兵士も――。

 サリーユが順繰りに視線を走らせれば、そのまま動きを止める。

「これは、いったい……」

 目の前で微動だにしなくなった兵士たちの姿にリエルグが目を丸くして、サリーユの目を見て首をかしげる。

「サリーユさまがなさったのですか?」

「……はい。わたくし、『魔族返り』なのです」

 黄金色の目で見つめても、リエルグは動きを止めない。そのことに内心ほっと胸をなでおろす。

 ここ半年、サリーユはずっとユーイエに付き合ってもらって魔法の制御を学んでいた。その結果、動きを止める対象を選べるようになったし、魔法の解除のタイミングも自分で決められるようになった。成功率は今のところまだそれほど高くないのだが。

「魔法、初めて見ました。ぼく、魔術は防御系しか使えないので正直助かりました」

 はー、と、深く息をつき、リエルグが全身から力を抜く。それからてきぱきと床に倒れてうめいている――どうやら死者はいないらしい――人々の確認を始めた。

 特に蔑みも忌避もない彼の態度に、サリーユはぱちぱちと目をしばたたかせた。

 それが魔法とは違うけれど魔術が一般的なジラッドの民の感覚ゆえなのか、彼自身の性格ゆえなのか、それはわからなかったけれど、自分の魔法が当たり前のように人間にも受け入れられることもある、というのは新鮮だった。

「あ、もう少ししたらユーイエがうちの兵士と医者連れてくるから、そのまま転がしておいていいよ」

「いやー、助かります」

 そんなことを言い交すロンシンとリエルグを見ながら、あっさりと片付いた事態に胸をなでおろす。

 もちろん、ロンシンが来てくれた時点で事態が問題なく収束することなどわかっていたのだけれども――ちらり、と自分の手首に巻かれた紫色の魔晶が美しいブレスレットを見下ろす。

 さきほど、魔法を使ったときに感じた。ロンシンはブレスレットを「お守り」と言っていたけれど、かけられていたいくつかの魔術は、どれもサリーユの魔術を補助するものだった。

 もし、サリーユが魔法を使わなくてはならない事態に陥った際に、魔法を暴走させたり、失敗したりしないように。練習の成果が発揮できるように。

「……ありがとうございます、陛下」

 過保護だとは思うけれど、サリーユの行動を制限するのではなく見守ってもらえること、うれしくないわけではない。

「え、何か言った?」

 ぽそりとつぶやいた言葉が聞き取れなかったらしく――いや、聞き取れていてもう一度聞きたがっている可能性もあるが――ロンシンが問い返してきた。

 改めて言うとなると少し恥ずかしい。ぷいっと顔を背け「ですから」ともう一度「ありがとう」を告げようとしたのだが。

「化け物め!」

 部屋の向こう、扉の前のミルテが叫んだ。意識の外にいた彼女にはサリーユの魔法はかかっていない。そのまま短剣をかまえ、サリーユに向かって真っすぐに駆け寄ってくる。

 魔法をかけて動きを止めて、と思ったのだが、ミルテ自身肉体強化の魔術を使用しているのか、矢のように一直線にこちらへ飛んでくる。

 間に合わない。

 ぎゅっと目をつむって衝撃にたえようとしたサリーユだったが。

「私の大切な人にひどいことを言わないで」

 不機嫌そうなロンシンの声に目をひらけば、ミルテの身体が宙に浮いていた。正確に言うならば、彼女の握っている短剣をロンシンが魔法で宙に浮かせているらしい。ミルテがそれを手放さないため、宙づりになっている、というのが正しい。

「人間のくせに、魔族と同じように魔法を使うだなんて気味が悪い! 呪われてる!」

「いい加減にして」

 なおもわめくミルテに、ロンシンが怒りを押し殺した声を発する。それと同時にミルテの短剣が、剣先からくしゃくしゃと紙のように丸まっていく。

「きゃ」

 思わず、といった風に手を離したミルテが床に落ちて悲鳴を上げる。そんな彼女の傍らにカラン、と音を立ててただの金属の球になった短剣が落ちた。

「こんなおぞましいものと仲良くしようなんて、どうかしてる」

 ロンシンとサリーユを睨みつけながら叫ぶミルテに、リリシャがため息まじりの声をかけた。

「おやめなさい、ミルテ」

 食い殺しそうな目で――実際暗殺計画に加わっていたわけだが――リリシャを見たミルテだったが。

「あなたが今刺し殺そうとした人は、アールノア帝国皇帝陛下の縁者ですよ」

「は」

 リリシャの言葉に、色を戻したサリーユの目を改めて見つめ、口を開いたまま固まる。一方のサリーユも喉の奥に湧きあがった苦い思いを飲み下した。

「なんだ。知ってたの?」

 ロンシンとリリシャはすずしい顔つきで言葉を交わす。

「昨日サリーユさまを紹介されてから調べたんです。別にロンシンさまだって隠すような工作はなさってなかったじゃありませんか」

 侍女に引き抜こうと思っていたのですから身辺調査は当然です、と初めて聞くことまでぺろっと語ってくれる。

「サリーユさまのおばあさまは、前皇帝陛下の妹君。つまり現皇帝陛下はサリーユさまのお父さまとは従兄弟関係、つまりサリーユさまは現皇帝陛下の……従兄弟姪いとこめいということになりますかしら」

 首をかしげるとリリシャはサリーユに確認をとるように視線を向けてくる。事実のため、サリーユはしぶしぶうなずいた。

 シュアラン家自体はアールノア帝国辺境――月燐花との境に領地を持つただの一貴族だ。ただ、祖父が内乱鎮圧の戦いで功績をあげ、その褒賞のようにシュアラン家のもともとの領地に接する豊かな土地を持参金に祖母は祖父に降嫁した。夫婦仲は悪くなかったと聞いているが、祖父はファルモス王国との小競り合いに出陣して壮年のうちに命を落とした。父が幼いころは、祖母が兄――当時はまだ皇太子だった前皇帝――に頼んで領地経営を代行する管理者を派遣してもらっていたとも聞く。

 そういった事情から、身体も弱く、積極的に前に出る人ではなかったが、祖母のシュアラン家における発言権は強かった。

 彼女の庇護と、祖母から受け継いだ――兄は受け継がなかった――アールノア帝国皇族の特徴を示す紫色の目があったから、おそらくサリーユは生き延びた。

「うそ、うそでしょう? なんで、そんな、こんなところに」

 動揺して瞳を揺らすミルテにサリーユは首を横に振る。

「血のつながりは確かにありますけれど、祖母も降嫁したのですから、今のわたくしは帝室とは何の関係もありません。それに、ここへ、陛下とともに月燐花へ来ることを決めたときに、元の身分も捨て去ったのですから」

 だから、あなたが殺そうとしたのはただのサリーユですよ、と告げる。彼女の動揺っぷりが憐れすぎたため少しは落ち着いてもらおうと思ったのだが、呆けたようにぶつぶつと「なんで」を繰り返すミルテには聞こえていないようだったし――。

「ただのサリュだろうと、サリュはサリュなんだから、殺そうとするなんて許せるわけないでしょ」

 思い切り顔をしかめたロンシンになじられた。

「いい? サリュ」

 ぐいっと抱き上げられ、顔をのぞき込まれる。

「私は君の聡いところも、誰かのために走って行けるところも、私のためにがんばってくれるところも、ぜんぶ好きだよ。でもね、君に何かあったら私は世界だって滅ぼすんだから、そのこと、よくよく覚えておいてね」

「……はい」

 とんでもない脅しをかけられ、それが「世界の半分」発言と同様冗談ではないのだとなんとなく理解できてしまい、神妙にうなずくことしかできなかった。

 よしよし、と頭をなでられる。

 一文官の安否で世界が滅ぶなどあってはならないことだが、本気になったロンシンを止められるものなどいない。平和のためには、とりあえず自分の身の安全も重々考慮しなくては、とサリーユがため息をつきながら心に留めたところで、どやどやと大人数の足音が近づいてきた。

「あっ、みなさーん。ご無事ですかー?」

 兵士と医師を連れ登場したユーイエが、ロンシンと抱き上げられたサリーユの姿を認めて生温かい目になる。

「何してるんですか、あなたたち」

 あわてて腕の中から降りようとするサリーユと逃すまいとするロンシンの攻防にあからさまに白い目を向け、ピッと部屋の外を指さした。

「陛下は事後処理の邪魔なので、とりあえず退室しといてください」

「わかった」

「陛下、わたくしはここで事情説明などを――」

 サリーユを抱き上げたまま喜々として部屋を出ようとするので、サリーユは上司に救いを求める視線を送ったのだが。

「まあ、ボクも陛下の邪魔がしたいわけではないので」

 なんだかわからないことを言われ、助けてもらえなかった。

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