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「なんとも、できないのよ」
ユリさんはあっさりいってのけるけど、このままだとあのカレシくんは海に転落しちまいそうだ。
「だってほら、」
「え、」
『トンビに注意! エサはもたずに、なげてあたえてください』
欄干に注意書の貼り紙、でてるし…
まわりの乗客はこわくて見守るばかり。スタッフたちもニヤニヤ、様子を見ている。
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やがて餌がなくなると襲撃はおさまりジョナサンたちは思い想いに散ると船に並走しはじめたが、かわいそうに、カレシくんは惨めにもあちこち引っ掻き傷をつくり、カノジョさんには呆れられいた。
「きゃぁぁぁぁぁあ♬ じょなー! じょなー! じょなー!」
雪はジョナサンの勇姿に夢中だ。
エサをやりたいのに、じぶんが食っちまったえびせんのふくろを必死にふっている。
「あらぁ、ユキちゃん、じぶんで食べちゃったのね! 天くん、買ってきてあげて?」
「いやけど、ジョナサン、危ないんじゃ、」
「たあしー! じょなー! じょなー!」
そんな泣きそうな顔されたら、にいちゃんは、エサを買いにいくしかなかった。
パパを探しながら船室まわりを一周して、
「パパ、どこだよ、まさか海に落ちたとか?」
エサを買いに船室に入ろうとして、
足をとめた。
「見てたか」
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