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 *


 「ユキちゃん、これ着てみて!」

 「このラッシュもかわいいなぁ、」

 「あ、海に入るまでスケートボードはどうかしらパパ!」


 ユリさんは雪の着せ替えに夢中だ。


 脱・神奈川。

 ユリさんはサーフブランドの服を着せたくてこの店を選んだらしい。


 買うの、パジャマじゃなかったっけ…(付け足すと、パジャマは帰りに西松屋でしっかり買った)


 パーカーにパンツ、スウェットにスイムウェア、ニットキャップまで…


 着替えるたびに鏡のまえで雪はポーズを決めている。


 「パパ、ねぇ、夏物買ったらまたあわなくなるかしら。…そっか、そうよね、」

 ユリさんは無言のパパと会話してるし、


 パシャー パシャー


 パパはひたすら雪に向けてスマートフォンのシャッターをきっている。


 「かわいいな、雪。オレも写メほし、」

 「じゃまだあっちにいってろ」


 そしてにいちゃんはパパに弾きだされた。


 カイトは真剣にサーフボードを見てるし、


 「チッ、」

 オレは大人しく、じぶんの服を選ぶことにした。


 だれに見せるわけでもねぇし、なんでもいいんだけどな、あ、いや、雪とおそろにしよ。


 雪が試着しているブランドを見て服を探る。


 けどなんだかオンナものしかない。必死に探していると、


 「いらっしゃい」

 「うわっ!」

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