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けっきょく、服飾科総出(ても、定時課程には十人しかいないんだけど)で雪の服をつくってくれちまったのだった。
いわないけど、いえないけど、しょうじき、ヤバい。
ショッキングピンクのパジャマ…なんか眠らんねぇだろがっ。
ゴジラの尻尾がついた部屋着やら、ウサギの耳がついたビーニーやら、こいつら着れないもんばっかつくりやがって…
「ユキちゃん、こっち向いてー」
「ユキちゃん、ポーズ決めてー
やーん、かわいいー」
「あい♬」
「「「きゃぁぁぁぁぁあ(ハート)」」」
パシャー パシャー
それなのに…雪も着せ替え人形になるのもまんざらじゃないらしく、ねぇちゃんたちの黄色い声をあびてあざといポーズを決めている。
オレのかわいい雪が…いや、ゴジラ尻尾の雪もかわいいけど…
つか、こいつ何気にタラシだな。親父の影が見えるわ、やっぱ血が繋がってんのかな。
ダウンやらリュックやらこいつらの手に負えないものは、担任 千葉ちゃんが、オレのタバコ指導中に東京まででて揃えてきた。
「千葉先生、オレのは?」
「なんでオレが天の服、買わなきゃなんねぇんだ?」
「……、」
*
結局、オレが雪に与えたのは、雪がおいてかれた夜に必要になったパンツ(ファミリーマート)だけだった。
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