2

 ドンッ


 ザァァアッ


 波に巻かれる。

 すごいパワーで引っ張られる。ボードがとばされてリーシュで繋いだ足から引きずられる。

 頭を庇った腕に思いきりボードがあたる。


 衝撃をやり過ごして目をあける。


 明るい方へ、

 陽の刺す方へ、

 リーシュをたどる。


 あぁ、


 冬の陽が刺して、波の残骸が、きらきらと海のなかで発泡する。


 きらきら、


 すげぇや…


 知らない世界だ。

 あたりまえだ、海で泳ぐのがはじめてなんだ。


 ゆらゆら、ひかりの柱がきらきらの泡のなかで揺蕩う。


 あぁ、


 リーシュをたぐり、


 ブワッ


 と、ひかりが溢れて、


 「ぷぁっ!」


 やっと海面に顔をだす。


 と、


 「たあし〜っ!」


 波に呑まれたダサいオレに、雪が羨望の眼差しで浜から手をふっていた。


 くらくらしながら手をふりかえして、


 「ぶっ!」


 第二陣の波がオレの背中に直撃した。


 「きゃぁぁぁああ♬ ばかたあしぃぃぃぃい♬」


 雪が楽しそうで、オレはなによりだったんだけど、

 「そうやってバカは溺れるんだ」

 あとでパパに叩かれた。

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