お買い物
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「うあぁ〜♪」
「うぉぁぁぁぁあっ」
ヴィンテージブルーのオンボロワーゲンバスが田舎の片側一車線道路をぶっ飛ばす。
山道を駆け果樹園を抜ける。対向車をかわし自転車のじぃちゃんばぁちゃんを追い越す
「ちょ、パパっ!」
ヤバいすげぇこわい。
舗装の剥げた田舎道をガコンガコンガコンとび跳ねながら爆走する。
下田に降り立ったあの日に経験したあの、尋常ならざる危険運転だ。
後部ベンチシートのオレと雪も合わせてバウンドする。
山を巻く先の見えないカーブをトップスピードで抜ける。
そのたびカーブの外側に身体が傾く。
「あ、あ、あ〜♪」
「ぁぁあっパパ、あのっ、」
「ユキちゃん、チャイルドシートが必要だったかしら」
ユリさんが助手席でバウンドしながら楽しそうだ。
「ぎゃぁぁあっ!」
おもむろに右手ガソリンスタンドからヨタヨタ軽トラックが時速二十キロで割り込んでくる。右左確認などこの世に存在しないみたいなスムーズさだ。
ガッコン ガァァァァァア
衝突一枚手前でパパがブレーキを踏み大きくハンドルをきる。
歩道にのりあげて軽トラの前にでる。
「大丈夫よ、パパは、」
ユリさんがめちゃくちゃ得意げだ。
「吉佐美地区で一番の安全運転で、知られてるの」
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