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ぷー ぷー ぷー ぷー
エアウェイブにのるだけのって、雪はポッキーを口に入れたまま寝落ちしてしまった。
「かわいいかよ」
寝顔を写メして部屋にお連れする。
「みんな、雪が大好きだ」
ノラ子にかまってもらって、ママやリンさんにチヤホヤされて、お汁粉お代わりして、雪はきょうもしあわせな顔でムニャムニャしている。
みんな、雪が大好きだ。
雪がテイクオフの練習をするから、おばちゃんはよろこんでキッズのウェットスーツをオーダーしていた。
リンさんは浜辺においたじぶんのロングボードのノーズに、雪をのせてくれた。
ノラ子は暴力的な雪のなでまわす攻撃に耐えてくれた。
そしてにいちゃんは、雪のためにワイメアの波にのることを決めた。
すごく誇らしい。
オレの弟はさすが、みんなに愛されている。にいちゃんはだれかに好きになってもらったことなんか、一度だってないとゆうのに。
好きになったことだってなかったのに。
お袋がいなくなって、親父もいなくなって、
『ことしの紅白歌合戦。テーマはLove & Peace!』
「は、」
ラブもピースもこの世にあるかよ。
そんなものは必要ない、て、避けていて、そのじつ、きっとすごくほしかった。
大切とか、好きだとか、愛してるだとか、どうやっても手に入らないその存在を認めるのがこわかった。
雪の夜におきざりにされたチビはいともさんたんにそれをオレの手に握らせた。
「にいちゃんも雪が、大好きだ」
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