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 「おはようございます、小野さん、平井さん、パパさん」

 「はよっす」


 漁業道路から現れた青年ふたりも、オレたちを認めて楽しそうに駆けてくる。


 漁業道路のふたり…浅黒い長身爽やかイケメンくんと小麦色に日焼けした凶悪な目つきの半グレくんは、大人たちに頭を下げるとやっぱり知り合いの顔をしてオレの肩を叩いてきた。


 「きょうから? タカシくん」

 「え〜と、」

 「え、おばちゃん、なんでキッズのボードなの?」

 「あらぁ、ユキちゃん用だら」

 「あ、波乗りすんの、弟くんのほうなんだ?」

 イケメンくんが愉快そうに、屈んで雪の肩を抱く。

 「あい♪」

 雪、めちゃくちゃ得意げだ。


 パシャー パシャー


 パパはなにも聞こえないみたいにそのふたりを写メしている。


 「なんだ、おまえじゃないんだ。なに、おまえ、保護者?」

 半グレくんのうさんくさそうな視線が痛い。

 「え〜と…」


 「ユキちゃん、きょうはレンタルのウェットスーツね」

 「あい!」

 「ユキちゃんがのんならオレぁきょう有給つかわねぇとな」

 「ぼくが教えるよ」

 「あい♪」

 「え〜と、」




 「ヤンく〜ん!」

 「パパ〜、ユキちゃ〜ん!」

 「あ、ユリさん、…と、」

 「リンちゃん!」

 「リン、さん」

 ついでにユリさんと、となりにお目々ぱっちりのワンレン女子(なんだ、イケメンくんの彼女?)まで、県道から降る道を降りてくる。


 「ユリちゃん、」

 ユリさんを認めてやっと、パパが腰を上げる。

 「波乗りするのはユキちゃんだそうだ」

 「あら!」

 「あい!」


 にわかに、オノロアサーフにひとか集まりはじめていた。


 こんなにぎやかな朝は、生まれてはじめてだった。

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