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「ヤベェ…」
「うぁぁぁぁぁあ!」
「どんどん食べてね!」
オレんちにきてからポッキーとコンビニ飯しか(そのまえも似たようなもんだろうけど)見たことがない雪は、目を爛々と輝かせている。
「おすし」
「おうい!」
なんと、メインは樽みたいなわっぱのちらし寿司と、とうふのすまし汁。
「おさかな」
「おああな!」
デデン! て、食卓を牛耳るのは、外は真っ赤でなかは白身のデッカい魚だ。煮たやつ。真ん丸のデカい目がひょうきんだ。肉厚で甘辛くてめちゃくちゃうまい。魚なのに鶏肉みたいだ。
「んん〜!」
「お い し い、」
「お い … い!」
うおぉかわいいなゆきぃ! とりあえず写メらないとなっ!
パシャー パシャー
「これは、なまこ」
「ぶぶぅ…」
すごい凶悪な姿のそれに雪がめちゃくちゃ警戒してる。
パシャー パシャー
(お巡りさんの差し入れらしいなまこはパパだけが酒を飲みながら食った。パパは食事のあいだ終始無言で酒、料理、雪とユリさんを写メる、を繰り返していた。ワルイオトコの子煩悩な未来が見えた)
「これは、餃子、」
「ギュオーザ!」
「あ、これ、餃子なんすね、」
「パパがきのうがんばって包んだの」
「ぶっふ、」
思わずむせる。
どおりで、むだにデカいしヒダがない。なんか知らない料理かと思った。
ユリさんは、雪が食べ物を手づかみで口に入れるのは愉快そうに見守っていた。
パパが見かねてスプーンで『あ〜ん』をしてみるけど、
「おいしそうに食べてくれてうれしいな!」
て、その、あ〜ん、はユリさんの口に入っていた。
「はい、ユキちゃん、あ〜ん、」
「ああぁあ」
「ユキちゃん、なんでも食べてえらい!」
「ゆちちゃん、えあい!」
「雪、野菜も食わねぇと」
「ぶぶぅっ!」
「あ! こらゆき食いもん投げんな!」
「ユキちゃん、お腹いっぱいなんじゃない? そろそろ、デザートにしましょう!」
「あい! あい! ゆちちゃん、えあい!」
パシャー パシャー
甘やかされて甘いもん食って、口の周りべたべたで雪はご満悦だ。ご満悦なまま、ケーキを口に入れて寝落ちしやがった。
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