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……で、
そうして、避難先に梅ちゃんが紹介してくれたのがシモダな訳だけど、
『静岡までは追ってこないだろうし、』
バッチリ追われてんじゃん!
『馴染みのゲストハウスで住み込みバイト探してるから、』
さっそくゲストハウスまで辿り着けないじゃん、これ!
『波乗り覚えればタバコもやめられるだろ』
波乗りどころじゃねぇよ!
梅ちゃーーーんっ!
胸のうちで叫ぶけどとうぜんながら助けはない。
ヤバいな、
どうやって逃げるか。
小さなオンボロワゴンはガンガン田舎道をとばしてゆく。
ガタガタの道を、岩山をくり抜いただけのトンネルを、時速百キロはでてんだろってはやさで突っ走る。まるでジェットコースターだ。
「きゃぁぁぁぁぁああ♪」
気狂いみたいなスピードにオレのチビは上機嫌だ。遠慮なくオレの腿を踏みつけながらお尻ふりふりはしゃいでいる。
おいおい、おまえをさらいにきたかやつかもしれないんだぞ!
「あんた、親に頼まれた?」
「…、」
「まさか、こいつのオヤジ、とか?」
「…、」
飛び降りるにはスピードがありすぎる。
到着を待つか。
それにしてもこの男、あ、も、う、もしゃべりやしねぇ。
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