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 *


 ……で、


 そうして、避難先に梅ちゃんが紹介してくれたのがシモダな訳だけど、


 『静岡までは追ってこないだろうし、』


 バッチリ追われてんじゃん!


 『馴染みのゲストハウスで住み込みバイト探してるから、』


 さっそくゲストハウスまで辿り着けないじゃん、これ!


 『波乗り覚えればタバコもやめられるだろ』


 波乗りどころじゃねぇよ!

 梅ちゃーーーんっ!


 胸のうちで叫ぶけどとうぜんながら助けはない。


 ヤバいな、

 どうやって逃げるか。


 小さなオンボロワゴンはガンガン田舎道をとばしてゆく。


 ガタガタの道を、岩山をくり抜いただけのトンネルを、時速百キロはでてんだろってはやさで突っ走る。まるでジェットコースターだ。


 「きゃぁぁぁぁぁああ♪」


 気狂いみたいなスピードにオレのチビは上機嫌だ。遠慮なくオレの腿を踏みつけながらお尻ふりふりはしゃいでいる。


 おいおい、おまえをさらいにきたかやつかもしれないんだぞ!


 「あんた、親に頼まれた?」

 「…、」

 「まさか、こいつのオヤジ、とか?」

 「…、」


 飛び降りるにはスピードがありすぎる。

 到着を待つか。


 それにしてもこの男、あ、も、う、もしゃべりやしねぇ。

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