梅ちゃん
1
*
シモダ最低だろ!
助けろ梅ちゃん!
不覚ながらオレは、胸の内でガッコの先生に助けを求めていた。
いやいやだって、シモダに送り込んだのは先生なんだからさっ、そこは責任とってくれよ! ついて早々拉致られるとかきいてない!
スマホをつかもうとしてまた、大きくワゴンが跳ねた。
*
「未成年者略取」
「あ?」
「なに他人さまの子、連れまわしてんだよ」
向ヶ丘工業高校生徒指導室。
ぜっさん喫煙指導中。
目の前には小学生のガキ…
「オレはおまえをロリコン変態に育てた覚えはねぇんだよ」
…じゃなくて、指導部 梅ちゃん。
小学生みたいな顔でオレを睨み上げてくるけどなんの迫力もない。
「口悪りぃなぁ、梅ちゃんは。かわいくねぇよ?」
「オレはかわいいんじゃない! かっこいいんだ!」
「はいはい」
オレっ子だけど梅ちゃんは女の子だ。素直にかわいい。すげぇかわいいけどジェンダーフリーで、かわいいっつうとすごく怒るのがまたかわいい。
「うるさい! そんなことゆうと生徒用トイレ使うぞ!」
「それは勘弁」
ジェンダーフリーだから男子便所に平気で乗り込む(逆に女子用はそわそわしちまうらしい)。
さすがに生徒用は使わないように校長から指令がでてるらしいけどこうしてたまに脅してくる。
「ユキちゃん、かわいそうだ。きょうはオレんちでねんねしような」
「あい!」
雪は雪でちゃっかり梅ちゃんのお膝にのってご機嫌だ。算数プリントに電車のイラストを描き散らかしている。
「ちょ、まってよ、他人さまじゃねぇよ。オレのチビだ、オレが拾ったんだ」
「ひろっ、…おまえ…他人さまの子を気安く拾うなよっ!」
「だってオレの部屋にいたんだもんよ、オレのもんだろ。大丈夫、ゆくゆくはオレの嫁になっかr」
「あ、やっぱお前むりだわ」
「ちょっ、」
そう、雪はある雪の日に、オレの部屋に落ちていたのだ。
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