悩める少年少女の答え

著者に関してのメタな言及をするのは差し控える。

青春の挫折と新しい世界への転換、死を考えたことがある人間には、死への行為と失敗は再帰可能な自分を再発見できることだとも考える。

私自身がそうであるため、経験論的な態度で読み、この感想文を綴っているが。この物語における、結末部の主人公の二つの懐疑は人生における不動のトピックである。

「他人を救う、自分を救う」ということが意図してなされた行動である場合、この結末はありえない。「死」とは肯定するものでも否定するものでもなく、生きる個人の死ぬまでの解釈対象であるからだ。

死の失敗に妥当性を持たせていることが、「それでも生きていく」「これでよかったのだろうか」というカタルシスを導いているのであり、もし主人公がそれを指摘した場合でも完遂できたか、そうであったかはわからない。

しかし、消極的態度で死に臨み、結果として助かったならば、それは新しい生きなおすことを肯定できる機会でもある。主人公がどう生きるか、この選択の妥当性は主人公やその作者にしかわからない。

若さ溢れるスマートな「迷い」を描く短編で良かった。また書いてほしいです。

このレビューの作品

サナギ