3. 『魔王』の正体

3. 『魔王』の正体




 そして夜。部屋は2つあるので何か間違いが起きることはない。それにしてもほとんど咲夜さんの言っていることが理解できないのだが……。オレはあまりゲームをやって来なかったからなぁ……。


 と、こんな不可解な状況でゲームをやって来なかった後悔をしているオレ。そんな時だった。部屋がノックされ扉の外から呼ばれる。


「霧ヶ谷君。作戦会議室に集まって。召集よ。空白の魔導書は持ってきてね」


 作戦会議室?あーリビングのことか。空白の魔導書はノートの事だろうな……。


 それにしても……いきなりなんだってんだ?


「分かった……」


 そう答えてから1分も経たないうちにオレは、持ち物から空白の魔導書を持ち、リビングへと到着した。そこにはもうすでに咲夜さんが席についていた。


「やっと来たわね。遅いわよ」


 すぐ来たけどね。まあそれは置いといて。一体なんの話をするんだろうか。


「それじゃあ話を始めるわ。まず、このギルドにいる人達には全員ここに集まってもらったわ。さて、まず何から話したものかしらね?」


 オレしかいませんけど。他にいますか?すると、咲夜さんはオレの方を見てこう言った。


「霧ヶ谷君。何か聞きたいことはない?何でも教えるわよ同志だから」


 聞きたいことがありすぎて頭がバグりますよ。まず咲夜さんの中での世界観を聞いておくべきだな。理解しないと。


「あの……まず『魔王』って何?」


「魔王は魔王でしょ。」


「……そっすね」


「私はもう9年は戦い続けているわ。魔王は恐ろしい存在……。私たちの時を奪うなんて許せない!でも安心して。必ず倒すわ!」


 うおぉ……めっちゃ熱く語ってくれてる。なんか悪いことした気分だ。というより……本当にこの人は何者なんだ?謎すぎる。だが、それ以上に気になることがひとつある。


「ところでその格好は?」


「これ?これは装備よ。いつ敵が現れるかわからないからね。いつでも戦えるようにしているの。魔力の因果律を上げ……」


 また熱く語ってるけど、ただの寝巻きに黒いローブのようなものを羽織ってるだけにしか見えないんだけど……。いや、ローブじゃないのか?マントみたいなものかな。


「あの、それより質問いいですか?」


「えぇ。なんでも聞いてちょうだい」


「魔王ってどんな奴なんだ?」


「そうねぇ……。私が初めて戦った時は、まだ6歳の小さな女の子だった時。でもとても強くて私も苦戦させられたわ。それから何度も戦うことになって今に至るわ」


 ん?6歳の時?9年は戦い続けている?……もしかして『魔王』って……あることが思い浮かんだので一応聞いてみることにした。


「あの咲夜さん?もしかして『魔王』とはあと3年は戦いますかね?」


「そうね。長い戦いになるけど、お互い協力し合いましょう。あなたがいれば百人力よ」


 ……やっぱりか。予想通りだった。つまり『魔王』って学校生活の事じゃねぇかよ!確かに時間を奪うと言えばそうなんだが……。オレたち学生の戦いっちゃ戦いか……うん。咲夜さんは間違ってないな。オレはそう自分にいい聞かせるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る