2. 大天使スカーレット=ナイト

2. 大天使スカーレット=ナイト




 オレは賃貸の二重契約と言うトラブルに巻き込まれてしまったが、なぜか隣の席のクール系美少女の柊 咲夜さんと同居をすることになった。


 正直、なんでこんな災難が起きるんだよとか思っていたけど、よく考えたらラッキーだ。こんな形とは言え一目惚れした相手と一緒に住めるなんて……。


 ただひとつだけ問題……というよりまだ理解できないのがあるとすれば、それは――


「ねぇ霧ヶ谷君。このギルドの決まりごとを決めておきましょう。とりあえず家事は各々でいいかしら?」


「ああ。うん。」


 そう。これが最大の謎であり、疑問である。なぜ彼女はゲームの世界のような会話をオレにしてくるのか。しかも少し嬉しそうだし。


 確かにオレは彼女のことが好きだ。


 まあ、彼女がどんな趣味を持っていたとしても否定するつもりはないが、それにしてもいきなり過ぎやしないか?


「なんですか?私の顔なんか見て……」


「いや!なんでもないよ!」


「私たちは基本はソロ。でもたまにパーティーとして攻略をする。その時は二人以上で行動する。これでどうでしょうか?」


「えっと……それでお願いします……」


 まったく意味が分からんけど。とりあえず話をあわせておいたほうが良さそうだな。


「それにしても……こんなに早くに同志に出逢うなんて。大天使スカーレット=ナイト様もきっと喜んでくれるわね」


 ……えっ?今なんて言った?大天使スカーレット=ナイトってなに?そんなこと聞いたことも見たこともないぞ?


「どうかしましたか?まさか……知らないんですか!?もしかしてあなた魔王軍のスパイ!?」


 なんだそれ!?なんでそうなるんだ!?訳がわからん!! このままだとまずいな。なんとかして話題を変えないと……。


 だが、そんなことを考えているうちに、目の前の少女はさらにヒートアップしていた。


「くっ……仕方ありません。こうなったら私が直々に教えて差し上げます!!」


 すると彼女は急に立ち上がってオレの方へ詰め寄ってきた。顔が近いよ咲夜さん……でもめちゃくちゃ可愛い。しかも甘い良い匂いがする。


 そのあとオレは咲夜さんに大天使スカーレット=ナイトの伝説を長々と語り聞かされた。そしてようやく落ち着いた頃にはすでに日が落ちていたのだった。

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