第1話 私の家
19○○年の3月。私は産まれた。一人娘の私は何一つ不自由なく、ある程度の裕福ではあった。田舎暮らしではあるが、一軒家に住み、父は大手の会社に務めるサラリーマン。母は専業主婦。
父は無口ではあったが、人一倍行動力があり、家族ですらその行動力はびっくりするほど。
母はよく喋るが、1人で行動するのは苦手で怖がりな所があった。だけど母はいつも父に強気だ。そんな母に父はいつも弱気だ。
平凡などこにでもある、絵にかいた様な家族だ。
私は自分の家が大好きだった。
文句なんて何一つ無かった。
父は仕事で毎日帰宅が遅くなっても、愚痴一つこぼさず、母は毎日私を笑わせてくれた。
不定休だったが、父の休みの日は決まって家族でお出かけをした。母はペーパードライバーだったので父の休みの日は必ず買い物をして、外食。あるいは、県をまたいでの旅行。とにかく絶対1回は出かける家だった。
小学生だった私は自慢の家族だった。
そして私も天真爛漫に育った。父と母が笑ってくれるのが嬉しくて、夜な夜な父がビールを飲む横で笑かそうと必死で起きていた。
母はそんな私に寝なさい。と怒るのではなく、いつも笑って私と一緒に父を笑かしていた。
そして、疲れて幸せそうにリビングで眠る私を父は起こさない様に優しく抱き上げて寝室まで運んでくれる。それが小学生になっても続いた。
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