第15話 私の中で輝いていた花火

それから、数カ月が過ぎ――――冬



「友霞」

「祐哉…?どうしたの?」



自分のマンションの建物の前に帰ると、駐車場で祐哉に呼び止められた。



「あんたにとって…俺は…今、どれ位の想いがあるわけ?」


「えっ?」


「ずっと…いつだろうって……あんたにとって…俺が…大きい花火になる時ねーのかな?」


「祐哉、ないわけじゃないよ」

「だったら!今の想い教えろよ!」

「それは…ごめん…何か急過ぎて……」



「………………」



「…俺こそごめん…だけど…いつまでも線香花火は繋げられねーと思う…」


「…祐哉…?」




「…火が消える前に花火に火をつけて繋いで欲しいと思ったけど……正直……もう限界かもしんねー…」




ズキン…

胸の奥が痛む。




「待つって言ったけど……これ以上、今の関係は続けらんねーから…それじゃ…」


「待って!!」






だけど……



祐哉は足を止めることなく



そのまま私の前を去り



車に乗り込むと帰って行った




「祐哉ぁっ!!」





線香花火のように


あっけなく終わってしまう


繋いで 繋いで


明るい光を点していく花火




大空に大きく広がる


大輪の花火




手に持てない


置型の噴出花火





そして――――





くるくる回って


調子良いと何処へ行くか


全く予測出来ない


ねずみ花火




空に飛んで行く


ロケット花火




私の中で 彼は


どんな花火が


輝いていたのだろう……?







「…祐哉…」



私は涙がこぼれ落ちる。




「…ゴメン…」





私は祐哉を傷つけてしまった……





当たり前のように


過ごしていた時間が


居心地良くて


友達のまま過ごしていたのが


この結果だ……




どんな時でも


傍にいてくれた祐哉




私は彼に応えられてたのかな……?




あなたは


いつも私の隣で


色々な花火になって


私を楽しませてくれて


元気づけてくれていたのに………





✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕✕




「…友霞…」





本当はこんなつもりはなかった


だけど俺は不安に押し潰されていた



このままで良いのか?


彼女は俺の事を好きになってくれるのか?



何度も何度も自問自答していた





俺達に別れるって言い方は違う関係だけど


距離をおいてみる


俺の中でそれに辿り着く



別に嫌いになったわけじゃないから


お互いの時間が必要な気がしたから……











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