第4話 線香花火

「友霞」



椎名あゆみ。25歳とショッピングしている日の事だった。



「ねえねえ、友霞、彼氏と別れたって?」

「あー、うん」

「じゃあさ、合コンしない?」

「えっ!?合コン!?…ゴメン…パス!」


「えーー、良いじゃん!別に飲み会みたいなもんだし。まあ、相手探しの人もいるだろうけど、軽い気持ちでどう?」



「…良い…辞めとく…」

「えーー、行こうよ!」



私達は色々話す中、行く事となり――――




合コン当日―――




みんなが盛り上がる中、正直、気分が乗らないため何処か冷めてる私。


笑顔見せて楽しんでます感出すも、一人の男の人がそれに気付いたのか私に声を掛けてくる。



「ねえ、気になってたんだけど、君冷めてる感じじゃない?つまらない?」


「…えっ?…あ…いや…ちょっと…色々と事情あって…」


「事情?そうなんだ。まあ、気にはなるけど詳しい事は触れないでおこうかな?」



私達は、話をしていた。




そして、お開きとなり――――




「ねえ、今度、二人で出かけようよ」

「えっ?」

「これ、俺の連絡先。都合のいい日、教えて」




私は一先ず連絡先を受け取り別れた。




その日の帰り――――




「…花…火…」



私は、ある店の花火に目が止まる。




そして。しばらく眺めては店を後に帰り始めるのだった。




すると―――――




「ねえ」



誰かが私に声を掛けてくる。


気付かずそのまま去り始めた、その直後――――




「ねえ」



グイッ


私の腕を誰かが掴む。




振り返る私。




スッ


「えっ…!?…花…火…?」



目の前には、袋に入った花火のセット。



スッと花火セットが視界から消える、




「えっ!?」

「花火しません?」




そこには一人の男の子。




「あの…」

「すっげー、見つめてたから」

「別にそんな見つめてなんか…」

「…4回目の再会を人は何て言うんだろう?」

「知りません!」



「ねえ、あんたいくつ?」

「えっ?25…あっ…」

「えっ!?25なの?それなのに…花火って……」


「い、いけない!?第一、花火見たり、花火するのに年齢制限一切ないでしょう!?良い大人が恥ずかしくないのか?って言いたいわけ?」


「いや、別にそんなつもりはねーけど…」

「そういうあなたはいくつなの?」

「俺?19」

「そう…19……えっ!?19ぅっ!?」

「何か問題でも?」


「良い年して、25歳の私と花火して面白いわけ?彼女の1人や2人いるでしょう?」


「良い年って…25歳のあんたよりマシだと思うけど?」



ムカッ


生意気な口答え。


腹が立つ。



「…なっ!」


「ちなみに彼女はいないし。つーか、2人も彼女いらなくね?1人で十分っしょ?」


「それは…そんな事よりも、こんな事する暇あったら、彼女見付けたら?それじゃ!」




グイッと引き止められた。



「まあまあ、良いじゃん!カッカしちゃうとシワ増えるよ?」




ムカッ



「あなたって人は、一言多くない?」




グイッと私の手を掴み連れ出す。



「ちょ、ちょっと何?は、離し…」


「ねえ、あんた名前は。何?ちなみに俺は祐哉。瑞梨 祐哉。19歳。ねえ、名前教えてよ!つーか、名前言わないと不利じゃね?」


「えっ?」


「あんただけが知ってさ、俺が知らねーのって合コンじゃありえないっしょ?」


「あなたって…良くペラペラと話すわね?」


「そりゃ人間だから話すっしょ?」



私達は名前を教え合う。




「綾瀬ちゃんってモテるっしょ?」

「えっ?」

「いや…美人系だし、男、放ってなさそう」


「じゃあ、どうしてフラれるの!?今まで付き合ってき

た人とは、いつも別れ告げられた。フラれたんだよ?二人だけど…」


「付き合うと長く付き合えるタイプだ。それって凄くね?」



「えっ…?」

「だってさ普通目移りして次っていくもんでしょ?」

「えっ!?あなたってそういう人!?」


「いや、そういうわけじゃ…だってさ人間合う合わないとかあるわけだし長続きするタイプと短期タイプ。やっぱり合うと長く付き合えるわけじゃん!」



「まあ…」

「ねえ、ねえ、年下とかってどう?」

「…疲れそう」

「えっ?」

「特にあなたみたいな人」



「えっ?それって俺…速攻フラレた?」

「マジ告だったの?」

「いや別に、ただ言ってみた」

「あっそ!」




私達は花火をしながら話を色々していた。







年下だけど


ムカつく奴だけど



時々



憎めない奴だと―――――




花火の導火線があるように


恋の花火の導火線も


火が灯る


ゆっくり ゆっくりと……





「ありがとう」

「えっ?」

「…いや…花火…」

「あー…別に暇だったし」

「そう」



「…あっ!そうだ!連絡先、教えて!」

「えっ…?」

「駄目?」


「いや…余りにも突然だったし…ていうか…25歳のオバサンに手を出しても面白味もないでしょう?辞めた方が…同年代が良いに決まって…」





ニコッ

微笑む瑞梨君。



ドキン



「前に違う意味で気になるって言ったの覚えてる?あんたが、また、花火したくなったら、そん時は相手してやるよ」


「えっ…!?」


「だから連絡先教えて♪」



「………………」



「……はいはい、分かりました。紙と書くもの貸して」

「えっ?あ、うん…」



私は渡す。




そして――――





「はい」



ペンとメモ紙が戻ってきた。


「そこに俺の連絡先が書いてある。あんたに任せるよ」

「えっ!?」

「連絡してくるなり、気軽にして来てくれ!」

「瑞梨…君…」


「その…瑞梨君って辞めてくんねーかな?祐哉で良いって」


「あ、うん…」

「それじゃ。あっ!送ろうか?」

「えっ!?あー、平気」

「そう?それなら俺はこれで」

「あっ…うん…」





私達は別れた。





花火は恋に似てるというけど


本当に


そうなのでしょうか?




――――でも――――




もし本当に


花火が恋に


似てるというなら


この恋に


始まりはあるのでしょうか?










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