第3話 3度目の再会。偶然?必然?

「祐哉、今度さ、ちょっと付き合ってよ」



俺の親友・枚田浩史(ひらたこうじ)が言ってきた。


俺の名前は、瑞梨 祐哉(みずきり ゆうや)。19歳。




「ああ、別に良いけど」

「それよりさ、お前、あきらとは付き合ってんの?」


「いや。出掛けたりするけど別に付き合ってねーし。ただの友達」


「ふーん…」


「まあ、向こうは知らないけど」

「あー…」






ある日の仕事帰り―――――




「はあぁ〜…飲み過ぎたかも……」




私は溜め息を吐き街中をフラつきながら帰る。



「じゃあな!祐哉!」

「おう!またな!」




ドン

誰かとぶつかる私。




「ったーー」

「大丈夫ですか?」

「…いいえ…」

「えっ!?何処か痛…」

「あ、いいえ。そうじゃなくて…すみません」



フラつく体を支え立ち上がる。



「あの…本当に大丈…夫…」

「平気…」




私は去り始める。



「ちょ、ちょっと待っ……」



グイッ

私の手を掴む男の子。



「その体じゃ無理だろ?」

「あなたに心配される必要ないし。それじゃ」




私は帰り始める。




その途中――――





ピューー




パン




花火の音がする。



ロケット花火の音だ。


視線を向けると家族連れがしている花火に目が止まる






「…花…火…」




私はしばらく眺めていた。




そして――――




「さ、帰ろうか」

「そうだな」



家族は帰って行く。



私も帰ろうとした、その時―――




「花火」




ビクッ



「好きなの?」



振り返ると一人の男の子。

まさかと思ったが、さっきぶつかった男の子だ。

疑問に思いつつも問いただすのは辞めた。



「あんた…前にも見てたでしょう?」

「えっ…?」

「俺たちが花火している時、見てたの知ってる」

「…そう…」

「…何処か淋しい表情していたけど何かあったの?」

「…それは…」



「ごめん…俺には関係ないか…」

「分かっているなら聞かないでよ!」

「でも…気になるのが…俺の本音」



「………………」



目をそらす私。




「…すっごい酔ってるみたいだし、かなり嫌な事でもあったんじゃ?」


「放っておいて!」




グイッ

去ろうとする私の手を掴む。



ドキッ



「好きとか嫌いとか抜きにあんたの事、違う意味で気になんの」




ドキン…



「…何言…初対面のあなたに何が分かるって言うの!?」


「あんたは初対面でも俺の中では3度目の再会。偶然というべきか…必然というべきか……」



「…えっ?」




スッ

私の前にハンカチを差し出す。 




「…この…ハンカチ…」 

「あんたが夏祭りの日に落としたハンカチ…違う?」



「……………」



「…確かに、あの人混みの中だし、どんだけの人が落とし物したかは分かんねーけど俺の中で、これがあんたの物だと確信したのは、どういうわけか分かんねーけど」




ハンカチを受け取る私。





「…ありがとう…でもこれはあなたが処分して!」


「えっ…!?」



私は男の子に渡す。




「夏祭りの花火大会の夜まで付き合っていた彼から貰ったプレンゼントなんだ……思い出の品なんて必要ないから燃やすなりして下さい」

 


そう言うと走り去った。




「…プレンゼント…か…」






線香花火のように


ゆっくり


ゆっくりと……


導火線から


取っ手の握る所まで


近付く


花火が終わり


下に落下するまで


その期間


次の恋の


導火線には


付きますか?

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