第20話 恋する夏(入道雲)
夏が氷姫に恋をした。
「暑いから嫌よ」
夏は体中から湿気混じりの熱気を放出させた。
上空に伸びる入道雲、叩きつける雨。
冷めた手を伸ばす。
「これならいいですか?」
「これが夕立の成り立ち」
「嘘」
「本当だよ」
私の手を握る父の手は熱い。
「そろそろ冷ますよ」
空に迫る入道雲。
軒先で母が微笑んだ。
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