第21話 短夜の逢瀬(短夜)

空が夜のベールに包まれると地上から星々へ光の橋が架かる。


橋の輝きは昼の日光を吸収して保たれるから、月まで届く長さは短夜の間だけ。


「今年もきました」


タキシードの男性が帽子を外して丁寧にお辞儀をすると「待ちくたびれたわ」と月の精。


空が再び白むまで恋人達は束の間の逢瀬に微睡んでいる。

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