第15話 月から生まれる子(なみなみ)
「飲まないの?」
男の盃になみなみ注がれた酒。
表面にはぷかりと満月が浮かぶ。
「月を飲み干すのが気掛かりでね」
「気取ってんの?」
笑い合い酒を一飲み。
翌日月が消えた。
『月は君にプレゼントしたよ』
残されたメモ。
娼婦だった私の腹には新たな命。
どんな子が生まれるのか。
愛おしげに腹を撫でた。
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