序章2 若き神獣の悲しき出会いと願い
……つまんない。何もかもがつまらない。
だから…逃げた。
ボクを崇める奴らから。
ボクを忌避する奴らから。
世界の狭間。ボクと最高神以外は通れない。
…本当は最高神しか通れないはずだけど例外はあるものなんだよ。うん。
ボク最高神倒せるけど関係ないヨ。きっと。
はぁ…どこに行こうかな?ぶっちゃけ、家出だしね、これ。
あ…『あそこにしよう。』
ボクは少し羽ばたいてその世界に入った。
少し魔法で誤魔化して普通の烏としてその世界を堪能した。まぁ…この世界、あんまり烏に良いイメージ無いみたいだけど。
それと、少し驚いたのはこの世界には魔法が無いかわりに科学?っていうのが発展している…らしい。詳しくはわからない。
だけど、知らない世界は楽しくて、他の烏が昼には帰る中、ボクは夜も飛んでいた。
そして、見た。見てしまった。
ボクが今いるにほんという国にはよく見る。普通の黒髪黒目の委員長的なタイプ?の少女だ。だけど…妙に惹かれた。だから、彼女に気づいてほしくて鳴いた。彼女は反応して足を止めっちゃった。その後ろからは大きな鉄の走る箱。この世界では〘トラック〙というらしい。ボクは咄嗟に力の限り声を上げる。
「カァー!」だけど…ボクは魔力の使えない彼女にはボクの声はカラスの声でしか届かなかった。少しして、彼女は振り返った。なのに、彼女はすぐに諦めた顔をした。
ププッー ブオオォォンン
そして、轢かれた。トラックは走り去った。
……っ!
ボクは急いで彼女の元へ羽ばたく。
だけど…《この世界の理》では治すのは駄目だ。どうしよう…。
そんなボクに、彼女は声をかけてきた。
「あなたは…私…に…警…告…してくれ…たの…で…すか?」
気づいてくれていた!嬉しくなる。だけど…同時に、悲しくもなった。ボクは、落ち込み気味になりながら返事する。
「カァー…」「…ありがとうございます…」
ボクにお礼を言って、彼女の身体は力尽きた。…イヤだ…イヤだ…!死を覆すのは禁忌だ。神が転生させるのはセーフだが、それ以外がやると神に罰せられる。らしい。
だけど…嫌。ボクはこの娘の傍に居たい。
だから…禁忌を犯した。蘇らせるのは駄目。なら…ボクの世界に転生させる。
ボクに楯突くなら神でも獣でも消してやる。
だから…お願い。次はボクと共にいて。
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