黒き翼は天を遮り最愛を隠す

緋織

序章1 とある少女の死と異界の烏

バイトからの帰り道、出来るだけ速く、しかし慎重に。死んだら元も子もないですからね。まぁ、こんな真夜中にバイトしていた私が言うと説得力は無いでしょうか。

真っ暗な空を少し見上げると憂鬱になりますね。いっそのことバイト場に住みたいです。

そんな労働でおかしくなった頭で馬鹿げたことを考える私は将来社畜になるのでしょう。


「…カァー……!」

「あれ?珍しいですね。こんな時間に烏とは「カァー!」あれ?どうしたんで…す…」

ププッー ブオオォォンン


嫌な予感がして私は振り向きました。そして、見ました。私にトラックが突っ込んできます。あ…これはミスりましたね。死んでは元も子もないですが…逃げられそうになし。潔く轢かれますか。そういえば、異世界転生は基本トラック事故からが多いらしいですね。私もあわよくば異世界に転生してみたいですね。私は現実逃避していたらやはり命を落としました。

倒れた私。トラックは走り去っていきます。

…私は朝までこのままですかそうですか…。

ふと、バサッバサッと羽音がしました。

「カァー……」先程の烏のようです。

その子は私を見つめます。少し顔を上げれば

烏…のような、少し違うような、不思議な鳥がいました。暗い中では気づきませんでしたが足が3本あったんです。しかもかなり大きいみたいですね。目は…あれ?視界がぼやけて…見えません…。ここまでですか…あ……そういえば…

「あなたは…私…に…警…告…してくれ…たの…で…すか?」

答えるはずない、だけど、その烏は鳴いた。


「カァー…」「…ありがとうございます…」


私の意識はそこで途切れた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る