最終話 私がフィナーレをヤル

 最も身分の高いものの首が転がっている。会場内の貴族たちは驚愕する。誰であろうと関係ない、このままここにいるとアリシアにヤられるということに、皆が認識したのだった。


 そして、会場内の所々から、それは誰なのか、どういった人物なのか、女性だったのか、それとも男性だったのか、誰のものか分からない断末魔の悲鳴、絶叫と怒号が響き渡る。逃げ出そうと皆、必死になるが、首が飛んでいく。自分が助かろうと押しのけては突き飛ばし、逃げるも首が飛ぶ、大勢の貴族たちの首がとんでいく。楽しそうに追いかけていくアリシアはまるで鎌の代わりに包丁をもった死神だった。首のない胴体がそこら中に転がっている。まさに地獄絵図だった。


 フルボックはこの地獄をただ呆然と座り込みながら見ていた。頭をかかえて髪をかきむしる、もう、やめてくれ、やめてくれえええええ!!


 アリシアに対して魔法で応戦しようとしたものがいたが、その宮廷魔術師の息子のコロッサスは既に殺され首が転がっている。


 サンドバックだけは包丁ではなく、殴打の連続で見るも無残な肉塊にされてしまった。


 会場内の出口に何十人もの人間が駆け寄ったが、その扉は開かなかった。魔法で吹き飛ばそうとしても、びくともしない。そして、その後ろにはニヤーとした化け物がスパッ。


 テーブルの下に隠れて逃げようとしても、精神が壊れ、イカレテしまったものでさえも、スパッ、逃さない。


「うあわあああああああああああああああああああああ!!」


 すべてが血の海と化した。


「あはは」


 化け物が笑っている。


「さてと、そろそろフィナーレといきましょうか。極上の石つぶてを国民いえ、この国全てにふらせてヤりましょう」


「な、なにをするつもりだ、これ以上、なにをするつもりなんだあああああ!!」


 フルボックは自我が残っていることを後悔する、狂ってしまえば、良かったと、


「見てくださいよ。これ、国中に隕石が落ちてますよ? ああははははははは、街も人も、すべてが、潰されされちゃってますよ。あは、すごいことヤっちゃった」


 フルボックは見た。会場の外は既に巨大な隕石で埋め尽くされていた。自分の視界から見える全てに巨大な石がまるで墓標のように埋まっていた。まだまだ、隕石は振り続く。国を蹂躙していく。この国は今日をもって消えるのだ。


 それをみて高らかに笑う。


 リマンという化け物がいた。


 フルボックは後悔した。


 自分はとんでもない虎の穴、猫の穴をつついたのだ。


 触れてはいけないものに。


 ★★★


 誰もいなくなった会場に一人アリシアはスキップしながら歩いていく。

 アリシアは会場の真ん中、その真上にあるシャンデリアに目をヤる。


 そこには、縛り首にされたように首を縄でつられたフルボックがぶらんぶらんと足を震わせていた。


「みんな、みんな、ヤっちゃいましたね。皆さん、わたしに起こるはずだった断罪イベントを味わった気分はどうでしたか? 楽しかったですか? うふふ」


★★★


 ねぇ、知ってる、あの寝たキャラアリシアさんの小説。


 発禁になったあれ?


 そうそう、裏ルートの小説があるんだって、アリシアさんが、あるアイテムをつかうとね。


★★★


「わたし、まさか、このままだと死んじゃうの、いやだ、いやだよ」


「お嬢様、どうしました?」


「あなたはだれ? 新しいメイドさん? あのね、わたし、このままだとね」


「そうですか、お嬢様はヤられてしまうのですか」


「えっ? そ、そうだね。う、うん、ヤられるの」


「お嬢様は、この状況からヤり返したいですか?」


「ざまぁのこと? うん、やりたい、やり返したい」


「そうですか、そうですか、ヤりたいのですね」


「やりたい、やりたい」


「なら、これをどうぞ、お嬢様」


「猫の穴の招待状? これは血塗られた冒険の書? あれ、メイドさんは、どこ? 」


 END

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