第十三話 週末

正直、8月の引っ越しが待ち遠しい。

逆を言うと日々の暮らしが苦痛だ。


楽しいことが待っているはずなのに、未確定な要素が多すぎるこの状態がとても苦しく感じる。新居のこともそうだし、実家のこともそうだ。最近、実家や親のことでよく下の姉と通話をするようになった。今までこんなことはなかったが、毎回1時間を超える長電話だ。


とはいえ、そんな鬱々とした状況で日々を過ごすわけにはいかないので、週末に『楽しみ』を作ることにした。つまり小刻みにちょっとした報酬を設けることで、5営業日ずつ確実にクリアしていこうという試みだ。


またそれとは別で、ゲームのマルチプレイにも手を出してみた。これは自主的なものではなく、嬉しいお誘いを頂いたわけだが、久々にマルチをするととても楽しく、時間を忘れてゲームに没頭できた。そうだ、思い出した。ゲームは楽しいコンテンツなのだと。



このように日々の生活にアクセントをつけて、どうにかこうにか週末を迎えているのだ。そして家を買うと決心してから、卓上カレンダーは1日が終わるごとに×印で潰している。まるで出所日を待ちわびる囚人のような心境だが、確実に『楽しみ』が近づいてくる感じが得られるため、きっと秋が来るまで×印を付け続けると思う。



今週末の『楽しみ』は、サプライズだ。

日々を労うためにプレゼント交換を計画している。


わたしは贈り物の達人、略して「贈達(そうたつ)」の称号に恥じないよう、とても素敵なモノを用意した。あとは日付指定の発送さえ済ませてしまえばミッションコンプリートだ。



このように考えを色々と散らすことで、『実家問題』から少しだけ離れることができる。もちろん、自分なんかよりも真の当事者たちが一番大変なことに違いはないが。





つづく

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