第十一話 本音

ここまで順調に進んでいるかのように思える契約状況だが、実はひとつだけクリティカルになりうる自分自身の問題を隠し持っている。この備忘録に残すかどうか十一話まで悩んで引っ張ってしまったがやはり書くことにした。


その問題とは少し前でも軽く触れたとおり、ローンを組むに際して掛けられる生命保険だ。団体信用生命保険、通称「団信」に関わるものと言ってもいい。


わたしは長らく……そう、20年間ほど睡眠障害のため薬を常用している。

もちろん現在進行形でだ。

どうやらこの種の投薬がなされていると、保険など一部の審査が厳しくなるのだ。


数年前に民間保険を検討/加入した際、この事実を突きつけられた苦い経験が蘇る。

だからと言って、虚偽申請ではすべてがふいになってしまう。


もちろん不動産の担当はこのような事実を知らない。にも関わらず、わたしは1階リビングと2階仕事場にLANケーブルが通せるような隠し配管と、ウッドデッキやカーポートなどのオプションエクステリアをすでに追加で依頼している。

担当のFさん本当にスマン。



来月頭に銀行員を交えた本審査が執り行われる。

わたしは身を置く会社のネームバリューと影響力に賭けている。

ちょっとくらいアレなわたくしでも、きっとなんとかなると信じている。



「お犬様とか猫とか言っている場合じゃないだろう」


そう仰りたいのですね? わかります。


早く7月が来てほしいが、本審査が怖くもある。

これまで書き残すのを迷っていたが、これが今現在の正直な気持ちです。





つづく

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