第九話 光明

犬を迎えるに際して、散歩や運動はむしろ好ましい新習慣ではあるが、不在時のお留守番こそ最大の難関であった。


ほとほと困り果てたわたしが有識者の方々に意見を乞うと、「猫はどうか」と薦められた。


カール・ラガーフェルド、巨匠、そして神絵師たち。

尊敬するあらゆる人がこぞって猫と暮らしている(あるいは暮らしていた)。


(個体差もあるだろうが)人間と程よく距離を置き、犬よりもお留守番耐性があるという猫。こんな自分でも育てることができるのだろうか?



ある人は猫と暮らすようになって、部屋がものすごく片付いたという。

理由は猫との生活を最優先にするためだ。モノが散乱していては猫も危ない。


わたしは片付けができない。

否、できようとしてこなかった。

これを機に変われるかもしれない。



またある人は、猫をお迎えして自分の健康を気遣うようになったという。

理由は猫の面倒をしっかり見るためだ。己が不健康では猫もいろいろと危ない。


わたしは不健康だ。

否、健康になる努力を怠っていた。

これを機に変われるかもしれない。





つづく

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