第四話 回想
時間を少し戻そう。
なぜ、住宅ローンなどに手を出そうと思ったか、その経緯を振り返る。
2022年は正月から何かとツイておらず、3月に発覚した『実家問題』と併せて夜な夜な飽きるほどに自問自答を繰り返した。
古い時代の人は「男には城が要る」と云う。
そんなことを考えながら、ふと自分の家賃について計算をしてみた。
仮に5年暮らしたとしてX万円、10年暮らしたらその倍……。スゴイ額だ。
今まで意識してなかったが、これほど積みあがるものだとは思わなかった。
慌ててブラウザを立ち上げ、SUUMOで検索をかけてみた。
するとどうだろうか? なんと家賃を10年払い続けた額で、普通に戸建てが買えるのだ。さすが住みたい県ランキングでワースト入りするだけはある……。
わたしは条件を少し上げ、より現実的な落とし所を探しつつ我が居城とすべき『それ』を探した。結果として、最初に見つけた所は申し込みのバッティングというオチがついたが。
NURO光を引き込めて、車通勤問題もクリアし、毎月の支払い額が今の家賃+αの範囲に収まる……。これまでの人生でこれほどスマホの電卓を活用した日は無い。
玄関を開ければ車が目の前にある。
なんならバイクも横に置いちゃう。
自宅には(お迎え予定の)犬がわたしの帰りを待っている。
……戸建てだ。
戸建てが現実的かつ、確かな感触として目の前に存在するのだ。
わたしは今夜も家具配置という妄想の夢を見る。
つづく
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