creation of the century

私桂木乃愛と、今や愛すべき相方辰宮克己は、遠くベルギーのブリュッセルに移住して、日本国復興の生活圏復興計画に邁進していた。国際連合の支援もあるが、規模百年のアジア全域復興は欧州の支援がままならず、自助努力で成し遂げてくれと、人材だけは豊富に配置して貰った。重点復興地域をまず繁栄させては、そこから丁寧に復興範囲を広げてくれとだ。

一つだけの救いを上げると、日本発電所全域は東関東非常事態停滞前線に常に警戒しており、稼働は瞬時に止めたものの浸水ほぼの全損で、新たなエネルギープランの準備も並行して進められた。


どう言う因果なのか私の勤める大手片隅の芝浜建築株式会社は、膨大な都市計画構想を持っていた。太陽光採取再利用のバベルプラン。海面上昇に備えた海上都市アトランティスプラン。多植樹育成を念頭においた耕地エデンプランの数々。どれもそんな案が通るかだったが、各国政府大口契約を何としても奪取せよで、私も克己さんも日々叱咤されて来たので、まさかここで生きるとは思わなかった。


そんなこんなで、今日も朝から書類を眺めていたら、ラファエルさんが近寄り、まさかとは思うが忘れてないでしょうと。私と克己さんは目を瞬かせた。何のことか分からず聞き返せば、あの時の、生きて行く上で大事な約束よと。


そう9月18日は、克己さんが何故か持っていた指輪を、私に差し出した日で、三大天使ガブリエル・ミカエル・ラファエルの立会いの元、無理矢理、いや照れくさいながらも略式結婚をした日だった。大天使は仕事が早いのが相場らしい。


あれから8年経ち、また同じ日に結婚記念日を迎えるのだが、この日の私は、いや私たちはとにかく忙しかった。大型復興事業の世界銀行のりん議が降りて、どこから資材をで、やっとオーストラリアから帰って来たからだ。そして、私と克己さんは、お腹に子供がいることを知り、もうすぐ三ヶ月になるそうだ。

その懐妊を聞かされた時、私は思わず涙ぐみ、克己さんに抱きついた。私の顔を見た瞬間、彼は全てを察したらしく、優しく抱きしめてくれた。5億の方々が行方不明で多くの生命を失ったままで、たった一つの生命が私の中で育まれている事を深く知ると、生命の重さをやっと理解出来た。


ラファエルさんはその思いを知ってか切り出した。男子か女子を知りたければ、ガブリエルに聞けば良いと。何なら聖母マリアも事務局関係者にいるから赤子の面倒を一緒に見て貰おうかになったが、大変恐れ多いのでごめんなさいをした。長らくもイエスの御学友ともなると、まあ大変しかないだろう。


そして、我が家族の事を思うと自然に笑みが溢れる。やや手持ち無沙汰に、通り過ぎて行く事務局職員達の背中に手を伸ばしては、そっと純白の1羽抜き取った。どの職員も仰け反り、私にお小言の姿勢になるが、私と、いや私のお腹を見るや、困り顔で小さくグッドサインを送る。それと、これしかないだろうのGod bless you。

そう事務局に確かに優秀な人材は送られて来た、その中の大凡200人は地上に降り立った天使だった。私の生まれて来る子供も、天使にあやかろうと、産着にはオプションとして天使の羽を繕う予定だ。

不意に、天使の純白の1羽が私の課長机に置かれた。見上げると、事務局で一体何の仕事をしているのかのミカエルさんだった。自らの天使の羽を差し出し、そしてこんな優しい顔もするのかと、あのーの顔になったが、ミカエルさんは笑みを湛えてただ座を進み、皆を和ませている。まあ係長としてはごく優秀には違いない。


この日々の貴重の天使の純白の1羽づつの集まりで、あと1/5で素敵な産着は完成はしそうかと。何を、天使の純白の羽は天界の身印だろうが、神々の集会のお歴々なら大目に見てくれる事だろう。

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神々の集会 判家悠久 @hanke-yuukyu

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