第23話 侵略者の影。犯人はお前だ!

「…レディー、侵略者の詳細データを。」

俺が指示すると、3Dホログラムが空中に表示される。

「敵、宇宙海賊バイパー。エリダヌス座イプシロン星系を劫掠ごうりゃくし、地球方面へ進軍中」

奴らの戦力配置が表示される。進軍速度、物量、…ヤバくね?ってか、イプシロン星ってあのモグラ星人のアレだよな。破壊されたイプシロン星系の様子も映し出される。…あのモグラども殺されたのか。こいつらが地球に?転移ゲートを利用した兵力集結…亜空間移動中なら叩ける…ああ、うん。そういう…。

俺はお立ち台に登り、マイクを掴み、皆に言う。

「俺の巨大ロボで、宇宙海賊を叩く。皆、協力してくれ。各種ロボ、戦闘準備!」

メンテナンスドローンたちと黒子忍者たちが、マシンのスタンバイのため散る。

俺は足早にお立ち台を降り、幼馴染たちに告げる。

「急ぎの仕事ができた。すまんが、二人の命を借りる。」

作戦会議用のホワイトボードを引き出し、書きなぐる。

①戦力把握

②人員増強

③整備訓練

④補給

「緊急の作戦会議を始める。現有戦力をモニター表示してくれ!」

影執事たちが、慌ただしく会議室の設営を始める。

ヒューマノイド・レディーがデータを空間モニターに表示。

俺はテーブルの上のエンカイの残骸を肘で弾いて片付け、そのテーブルに登ってモニターを睨む。ヒュー。これはこれは。

「こいつはすっかりやられたな…見事なトラップに引っかかった…ってやつだ。くやしいがな…」

ケンちゃんが暗い顔でつぶやく。「どういうことだってばよ…」

俺はここで、気づいた事を皆に話す。

「ああ、これな。簡単に言うと、俺たちは【20年越しの、壮大なトラップに引っかかった】んだよ。」

俺は髪の毛をガシガシ搔きむしりながら、答え合わせを始める。

「『記憶を封印して地球に潜伏していた銀河刑事ギルドのエージェントが星の危機を察知して目覚めた』っていう『設定』なわけよ、俺ら。」

俺は爪をガシガシ噛みながら、続ける。

「『俺たち自身が、宇宙海賊を斃すためのブービートラップだった』ってわけさ。」

ホラ、ここ…俺は空間モニターを指さして、さらに説明する。

「ここから・・ココ。ホラ、宇宙海賊どもは誘導されてるんだよ。んで、戦士も戦力も配備されていない地球に集結して…宇宙海賊側も、綿密な偵察をして地球が無防備だと事前に確認しているわけだ。」

幼馴染たちは呆然と話を聞いている。

「転移ゲートの配置から、地球に追い込まれればどん詰まり。無抵抗なエモノかと思って近づいたら、トラップがバーン!海賊は死ぬ!って寸法さ。」

影執事たちは会議室の設営を完了したようだ。仕事が早い。

「おかしいと思ったんだよ。呼んでもないのに勝手に降下してくる巨大ロボ。そのロボを勝手に操縦している、やたらフリーダムなアンドロイドのパートナー。」

宇宙人に出会った、なんて、強烈な思い出を完全に忘れてるなんて、普通じゃない。


笑顔で手を振るヒューマノイド・レディー。彼女が犯人だ。


「レディーは、宇宙海賊を斃すために、20年間、待ってたのさ。『俺たち』というトラップのスイッチを握って、な。」


***

脚注 作者もビックリ

ヒューマノイド・レディーの鎮静剤注射シーンが伏線だったとは…作者もビックリの伏線回収!


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