第12話   取り戻したものと失ったもの

俺は倒れているユーカを見て何かが切れた。

何かはわからない。ただ、俺はその瞬間頭に血が上った。

ローズに向かい剣を振る。

ローズは血飛沫をあげ倒れる。


 「アユ!大丈夫か?」


俺はそう叫びユーカの元に行く。


 「な、何故あなたが母の名を?」

 「そんなことはどうでもいい、また俺に失わせてくれるな。」

 「…これで死ぬなら本望です…。あなたを守って死ねるなら…。」


そう言って彼女は笑う。


 「おい、やめろ縁起でもないことは。ブルー、何とかできないか?」


俺は立ち尽くしているブルーに聞く。

彼女は黙って首を振る。


 「くそッ!」


俺は地面を叩きつける。


 「最後に、一つだけ、聞かせてください…。ローズさん、なんで、あなたはこんなことを、しようと、思ったのですか?」


ユーカは息も絶え絶えにローズに尋ねる。


 「…こいつがおかしいからよ…。勇者を追放された実力のない奴に私が負けるはずがない!なんでこんな奴に、こんな奴に…。」

 「そう、ですか…。ふざけてますよね、ソーマ、さん…。」


そうユーカは言い残し、倒れた。


 「ユーカ!」


もう息をしていなかった。

また俺は守れなかった。俺は目の前が真っ暗になった。


 「ふっ、ざまぁないわね。」

 「ローズ!」


カレンが叫ぶ。


 「あなたは人を殺したのよ。仮にも仲間よ。あなたも知っているでしょ。勇者がこいつを追放した理由は。」

 「あんな、の、嘘に決まってる、じゃない…、カレン。あなたは、おかしいと思わないの?」

 「私は思わない。」

 「そう。」


ローズは空を見上げて自分の剣で首を刺す。

そして、無言で倒れる。


 「ローズ!」


ブルーが叫ぶ。ブルーが駆け寄り。首を振る。

カレンは下を向き俯く。


そして無言のまま俺らはテレポーターで帰還する。


そうして俺らの壮絶な戦いが幕を閉じた…。

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