第11話   衝突

俺らが飛ばされた先は森林だった。


 「ここに魔王軍幹部が?」


ユーカが呟くのと同時に気味の悪い声が聞こえてくる。


 「イヒヒヒヒ、イヒヒヒヒヒ。」

 「どこだ!どこにいる!」


ブルーが叫ぶ。

敵の姿は見えず、ただ気味の悪い声はする薄暗い森林。

後ろにいるユーカは縮こまってキョロキョロしている。


 「白霊か?」

 「ええ。」


俺が尋ねると答えてくれた。

魔王軍の幹部であり、実態のないゴーストであるため物理打撃が当たらず、精神攻撃を得意とする戦いにくい相手だ。

ただ、白霊とは名前の通り白色であり、目視できるはずなのだが…。


 「奴は魔王の置き土産で強化されている!透明だ!」


俺の疑問を打ち消すようにブルーが答える。


さて、どうするか。

とりあえず、俺は奴の弱点であるものを唱える。


 「ライトニング!」


一気に森が明るくなる。

ゴーストは光に弱いが、強化されたこいつに効くか…。


 「グワァァァァ!貴様か!」


白霊が正体を表す。

目視ができるようになった。


 「我の森林に侵入しておいて光を出すとは…。貴様ら死にたいようだな。お望み通り呪い殺してやる。」


白霊はにやけて青白い光を出す。


俺らは各自技を放ち、それを防ぐ。

ブルーが指示を出す。


 「ローズは近づいて攻撃を当てにいって、カレンは後方から妨害魔法でそれを援護。ソーマは自分の判断で。行くわよ!」

 「了解!ソーマは何もしなくてもいいわよ。」


カレンはそう返答し、ローズは無言で頷く。


そうして戦うこと30分。

膝をついたのは… 人数の足りない勇者パであった。

勇者の攻撃が無くなったため攻撃力にどうしても欠けていた。


 「はぁはぁ、どうして…。」

 「イヒヒヒヒヒ!人間は弱いなぁ。イヒヒヒヒヒ。さぁ、最後はアンタだな。覚悟しろよ。」


俺はひたすら防御に徹していたため無傷であった。


 「はぁ、行くか…。」


軽くジャンプをして剣を構える。


 「ライトニングソード。」


俺はそう唱え全力で突進し剣を振り抜く。

その攻撃は奴を捉えた。


 「「「えっ?」」」


その場の俺以外の全員が凍りついた。


 「ぐ、グワァァァァ。何故、俺がこんな奴に…。」

 「…。」


俺は死にかけの奴を見下して剣を振る。


 「じゃあな。」

 「や、やめろぉぉ!」


そうして白霊は死んだ。

俺らの勝ちだ。

そのとき、後ろに衝撃を感じた。

俺が後ろを振り向くとユーカがローズに刺され、そのユーカの背中が俺にぶつかっていた。


 「はっ?」

 「はぁはぁ、邪魔が入ったか…。まぁ、いい。お前には死んでもらう!」


ローズはそう言い捨て俺に剣を振り下ろす…。

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