第10話   嫌な空気…

その日、ローズは起きてくることなく翌日になった。

ドアがいきなり叩かれる。


 「はい、どうぞ。」


俺はドアを開けるのを促す。

勢いよくドアが開き、ローズが出てくる。


 「戦いなさい。」

 「…えっ?」

 「私と戦いなさいって。実力チェックよ。」

 「はぁ。」

 「私に触れられたらあなたの勝ち。」

 「おい、なんで俺がやらなきゃ…。」

 「ぐちゃぐちゃ言わないの。やる気がないなら帰って。」

 「別にどっちでも…。」

 「いいから早く。」


俺はローズに引っ張られ、朝の闘技場で戦うことになる。


 「いつでもいいわよ。」

 「…はぁ。いくぞ。」

 

俺は彼女に向けて軽く剣を振る。

風の刃が出る。

彼女は苦労もせずに消す。


 「こんなモンなの?弱すぎるわよw」

 「はぁ。」


俺はため息をつき、地面を蹴り、彼女の首に剣を振る。

そして、寸止めをする。

彼女は一歩も動けなかった。


 「なによ!どういうことよ!」


彼女はヒステリックに叫ぶ。


 「アンタずるしたわね!」

 「…いや…。」

 「そんなはずはないわ!勇者パを追放された負け犬如きに私が負けるはずがないわ!」

 「…。」


彼女は小さく呟く。


 「そうよ。私が負けるはずはない。これはおかしいのよ。」


そして、俺を放って闘技場から出ていく。


 「はぁ…。」


俺はため息をつき、ギルドの部屋に戻る。


そして、俺たちが朝ごはんを食べている途中に急に今度はカレンがやってくる。


 「今日の午後行くわよ。」

 「…いきなりだな…。」

 「ごちゃごちゃ言わないで行くの。」

 「ああ、分かった。行き方は?」

 「テレポートが使える魔術師に送ってもらうの、いいわね。あと、その子も連れて行きなさいよ。」

 「…なんでだ?」

 「助手なんでしょ。聞いたわよ。」

 「…はぁ。あのな、助手とは言ったが、」

 「ぐちゃぐちゃうるさいわね。いいわね!」

 「いや、」

 「大丈夫です、ソーマさん。」

 「ユーカ…。」

 「いいんだな。」

 「ええ。」

 「決まったみたいね。じゃあ、くれぐれも足を引っ張らないようにねw」


彼女はニヤリと笑い、奥に引っ込んでしまう。


 「あの、カレンとかいう女!ふざけてますね、ソーマさん。」

 「別に俺は気にしてないが?それより大丈夫か?」

 「ええ、足を引っ張らないように頑張ります!…全く変わった人ですね…。」

 「何か言った?」

 「いえ。お願いします。ついていかせてください!」

 

彼女は椅子から降りて地べたで土下座をし始める。


 「…おい、やめろって…。」


俺はどう対応すればいいか分からなくて困ってしまった。


 「連れていってくださるなら頭を上げます。」


ユーカは土下座しながら言う。


 「いや、危ないんだって…。」

 「関係ありません。」


俺はもう打つてがなかった。

また、さっきみたいに着いて来られる方が困るので仕方なく許可をする。


 「はぁ、分かったよ。いいよ。」

 「本当ですか!ありがとうございます!」


彼女は椅子に座り、朝食の続きを食べる。

俺は静かにため息をついた。


朝食の後、武器の準備をしてギルドの前に行く。

すでに三人は揃っていた。


 「遅い。」

 「すまない。」

 「いい加減にしてよね、はぁ、なんでこんなやつと…」

 「あの、よろしいでしょうか?」


男はカレンのセリフの間をぬい、尋ねる。


 「ええ。お願い。」

 「それでは行きますよ。テレポート!」


俺らの周りが光り出し、空間が歪み、飛ばされる。


そして、不安ばかりの魔王軍幹部との戦いが幕を開ける…。

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