第5話   到着

そして、次の日。


俺の目が覚めると彼女はもう起きていた。


 「おはよう。」

 「おはようございます。あの、私はなんでここに?」

 「…男女が一緒の毛布に潜るのはちょっと…。」

 「…これはどっちなのかしら?」

 「えっ?」

 「何でもないわ。」


彼女はなんて言ったのだろうか?

少しモヤモヤしつつ、朝食を軽く食べ、歩き、魔物にあったら倒し、副産物を回収する、それを数日繰り返した。


そして、数日後。


 「ここだ。」

 「…初めて見たわ。こんなに大きいなんて。」


彼女は街を囲む壁を見て驚いていた。

俺らは列に並び、街に入ろうとしたが、あまりの人の多さに驚かされた。


 「西から逃げるように人が集まってるんだな。」


これでは日が暮れてしまう。さぁ、どうするか。

あの手を使うか。


 「ちょっと付いてきてくれ。」

 「えっ?」 


俺は脇にそれ、街の壁にある衛兵の小屋に向かい、身分証明書を見せる。昔とは変わらなかった。

特別に先に通してもらえた。

彼女は目をぱちくりさせていた。

街の中に入ると、彼女は矢継ぎ早に質問をしてくる。


 「何をしたの?一体。どういうこと?なんで通してもらえたの?」

 「…今は言えない。後でいう。」


彼女はそれで黙ってくれた。

そして俺たちはとりあえず冒険者ギルドに向かった。

俺の知り合いに会うために。


俺が冒険者ギルドに入ると一斉に視線が向く。

そうして、何か騒ぎ出した。昔ほどではないが、まだ覚えている人もいたんだなぁと思う。

俺はまっすぐ受け付けに向かい、受付嬢に身分証明書を見せながら言う。


 「ギルマスに会わせてくれ。」

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