陰キャ配信者は恋をする。

nemuhachi

第1話


キーンコーンカーンコーン

今日も授業終了のチャイムがなった。

…帰るか

俺の名前は祐希(ゆうき)。陰キャ高校生だ。

え?名前のくせに勇気ない?

…うるせぇよ。

ほんとは別に陰キャじゃない。

大人数で話したり遊ぶのが嫌いなだけだ。


今日も今日とていつも歩いてる帰り道を1人で歩く。

俺には誰にも言ってない秘密がある。

そう。配信だ。


家に着き、服を脱いで部屋着に着替える。

そしてスマホを持ち、配信アプリを起動させる。配信でやってる事はFPSゲーム配信だ。

俺には1人だけ仲良い女子がいる。

俺がまだ配信してまもない頃、配信に来てくれたやつで、そいつは俺に配信のたのしさを教えてくれた。今では俺の相方だ。そいつの名前は萌香(もえか)。萌香はネット名で本名は優花(ゆうか)と言うらしい。俺の配信は人が来ないため、萌香が来ることを待つのも1つの楽しみになっている。さぁ。今日もやるか。

―――配信開始―――

「暁斗くん!!」

暁斗。それは俺のネット名だ。適当につけた名前だから由来とかはない。

「お、萌香いらっしゃい。よかったらゆっくりしてってね。今日もやる?」

「もちろん!」

俺が配信始めた瞬間に萌香が来て、コラボしながらゲームするってのが俺たちルーティーンだった。


俺は遠距離戦を得意としている。

俺が得意なのはもちろんSR。

俺は遠距離でもし抜けなかった時用に近砂も出来るようにしている。

そんな俺のSRのスキルは一流で、プロも注目するくらいだ。

一方、萌香が得意としているのは状況把握だ。ARも一応使えるがまだ打ち勝てることが少ない。萌香が敵の位置などを俺に教え、聞いた俺がSRで抜く。それが俺たちの戦い方だった。

「暁斗くん、右の駅の左出口から敵1枚いるよ!住宅街の方向に向かってる!」

「おっけ、報告ありがと」

俺は萌香の言った通りの方向に銃口を向けた。

「ねぇ、暁斗くん。たまには私にもやらせて欲しい。暁斗くんばっかに任せてばっかで私何も出来てない。私も役に立ちたいんだよ。だめ、かな?」

萌香がこんなこと言うのは初めてだった。

いつもは「私がやってることが暁斗くんの力になれてるなら私はそれで満足だよ!」って言っていたので、俺は少しびっくりしてしまった。

「…ミスってもいい。別にただのゲームなんだ、俺はミスっても何も言わないよ」

「暁斗くん…。うん、ありがとう」

そう言って萌香はSRを持った

「ふぅ…大丈夫。暁斗くん見ててね?」

「もちろん」

萌香は深呼吸をし、敵に向けて撃った。

萌香から発射された1つの弾丸が銃声と共に敵の頭に当たった。

「暁斗くん!!やった!!ヘッショだよ!?萌香SRの才能あるのかな!?!?」

「うん、あると思うよ、ヘッショはすごいと思う」

俺は素直に褒めてやった。

「えへへ、やったぁ暁斗くんに褒められた…///」

やっぱりこいつかわいいな…

その後しっかり俺たちは1位を取り、配信を締めようとしていた。

「ねぇ暁斗くん、この後配信外で少し話したいことがあるんだけど、いいかな?」

「え?うん、大丈夫だけど…どうした?」

萌香がこんなこと言うのは今までになかった。

俺は少し心配になりながら配信を締めた。


配信が終わり、チャットを見ると萌香からメッセージが来ていた。

「ねぇゆーくん、いきなりなんだけどLINE交換しない?嫌なら別にいいんだけどね、配信外でもゆーくんと遊びたいなって思って…だめ、かな?」

配信外では萌香は俺の事をゆーくんと呼んでいる。俺は恥ずかしくて優花、なんて言えないが。

「いいよ?俺も萌香と交換したかったし」

「ほんと!?!?やった!!!いっぱい遊ぼうね!じゃあまた明日!!」

「うん、おやすみ!」

こいつ今日めっちゃ可愛くないか…?

気づけば俺の胸の鼓動はものすごく早くなり、顔も赤くなっていた。

なんでだ…?今までこんなこと無かったのに。

俺は気を紛らわすためにゲームの練習をした。


「祐希、起きなさい。もう遅刻するわよ?」

母の声が聞こえ、目が覚めた

「え!?!?今何時!?!?」

「もう8時よ?あんた学校30分からでしょ?急ぎなさい」

「わかった!朝ごはんいらないから、服着替えて行ってくる!」

急いで俺は服を着替えダッシュで家を出た。

しかし、もう時間は8時10分。どう頑張っても遅刻だ。

はぁ…どーせ遅刻ならゆっくり行くか…

そう思い俺はゆっくりと学校に向かったのだった。


「あれ?祐希か?」

俺は名前を呼ばれ振り向くた。

「やっぱり祐希じゃねぇか!!久しぶりだな!!」

「和真!!!久しぶり!!お前も学校遅刻か?」

和真は俺の中学生の時の親友だ。

こいつは俺と違い頭がいいためほかの頭のいい学校に行っている。

「あぁ、少し寝坊しちまってな。おかげで遅刻だわ…」

こいつはよく寝坊して先生に怒られていた。

相変わらず変わってないみたいだ

「…祐希。お前目にクマ出来てんぞ、昨日ちゃんと寝たか?」

「いや、それがさ。ちょっと気になってることがあって、それで寝れなかったんだよな。」

昨日の胸の鼓動が早くなったりしてたことが気になって俺は何回か起きたりしていた。

「なんだ?学校付くまでなら相談乗るぞ?」

こいつは頼りがいがあり、いいことを言えるやつだから俺はいつも頼っていた。

「実はさ、昨日女子と話してる時に胸の鼓動が早くなったり、顔が熱くなったりしてたんだ。今までこんなこと無かったからそれで…」

俺は和真に昨日のことを話した。

「ぷっ…ははは!!お前面白いな!!まじか!!」

笑われた。なんだこいつ。

「祐希。お前そいつに恋してんだよ。多分な。」

「はぁ!?!?俺が恋!?!?そんなわけ…」

俺は今まで恋なんてしたこと無かった。

女子なんて興味なかったし、彼女なんて作ろうともしなかった。

「お前にも好きな人が出来るとは…俺は泣きそうだよ…」

何故か泣きそうになっている和真はほっといて

俺が…恋…?そんなわけ…

俺は和真の言うことを信じれなかった。

「んじゃ、俺こっちだから。じゃーな」

和真はそのまま学校に行ってしまった


キーンコーンカーンコーン

今日も授業が終わった。帰るか。

萌香のことがすき…か。

うーん…そーなのか…?

いやいやいやいやそんなわけない。

今まで恋したことなかったこの俺が恋なんてするわけない。

とりあえず家帰って配信するか…


―――配信開始―――

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┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

来ない。萌香が来ない。

さみしい…

LINEしようかな…

…え?

え?え?え?え?

えええええええ?

すき…だからこう思うって聞いたことある

あー…うん。好きなんだ。そうなんだ。

うん。和真。お前あってたよ

好きだわ、萌香のこと。

とりあえず萌香にLINEしよう。

「萌香今日配信こない?」

送って数秒で既読がついた。早いな。

「どしたの?さみしい?w」

「え、あ、いや、べつに…」

「へぇ…寂しそうに配信してたのに?」

…え?こ…こいつ…見てたのか。

「え、見てたのか…?」

「ふっふっふー!かわいいとこあるじゃーん」

こ…こいつうううううううううう

「はぁ…配信締めてくる…」

俺はそう言い配信を締めた。

…話したいな。

電話…誘うか。

「なぁ萌香。ちょっと電話しないか?」

「え?うん。いいよ?」

萌香から確認を取り、俺は萌香に電話をかけた。

「どしたのいきなり電話なんて誘って。もしかして…寂しかったりしたの?かわいいねぇ」

「ち…違う。ただ…ちょっと話したかっただけだ」

「ふーん…?素直じゃないなぁ…。ほら、おねーちゃんに甘えていいんだぞー?」

「だから違うって…。しかも萌香は同い年だろ…何がおねーちゃんだよ」

「…ねぇ、ゆーくん。会いたい。だめ、かな?」

萌香は寂しそうにそう言ってきた。

俺も萌香と会ってみたいとは思っていたためこの誘いは嬉しかった。

「うん、いいよ。どこ集合にする?」

「13時に市の図書館でどう??」

「あぁ、わかった。」

俺も萌香も学校は今昼までなため昼から遊ぶことになった。

萌香と会うのか…楽しみだな。


俺は時間ギリギリに約束の場所に着いた。

萌香に着いたらLINEしてほしいって言われていたため、萌香にLINEした。」

「着いた。どこにいる??」

「時計台に座ってるよ!」

俺は言われた通り時計台の方向を見た。

そこには高校生くらいの女子が座っていた。

「萌香で合ってるよな?」

「うん。萌香だよ。ゆーくん」

…こいつファッションセンスいいな。

萌香が着ているのは麦わら帽子にワンピース。

すごく似合っててかわいい。

それに対して俺は適当に選んだためファッションセンスの欠けらも無い。

「…悪いな。時間ギリギリで服適当に選んだんだ。」

「んぇ?大丈夫だよ?すごくかっこいい!」

「はぁ!?かっこいい!?やめろ恥ずかしい」

俺は萌香にかっこいいと言われ顔を真っ赤にしていた。

「照れてんの〜?かわいいねぇ?」

「かわいくない!ばか」

「かわいいよ?」

「…萌香の方がかわいい」

「…え?今私のこと…かわいいって」

「だーーーー!!!早く行くぞ!」

「ちょ、ゆーくん待ってよ!!」

俺は恥ずかしくなり、萌香をほって先にレストランに向かった。


「好きなの頼んでいいぞ。俺が奢ってやる。俺はもう昼食べたからな」

女子と出かけた時は男が奢るって聞いたことがあったためそれに従ってみる。

「え!いいの?やったぁ!ゆーくんありがと!」

…かわいい。

「いっただっきまーす!」

萌香はそう言うと頼んだハンバーグを食べ始めた。

「美味しいか?」

「うん!おいしい!ゆーくんも1口食べる??」

「あぁ、いいのか?じゃあお言葉に甘えて」

「はい、あーん」

「!?!?ちょ、ばか!外だ外!人が見てる!やめろ!恥ずかしい」

萌香はフォークでハンバーグを1口サイズ刺し、そのまま俺に突き出してきた。

「ふーん…じゃあ2人のときならいいんだ…?」

萌香はにやりと言わんばかりに聞いてきた。

「いや、その…それは…な?」

俺はそんなこと言われるとは思ってもなかったため動揺していた。

「あっはは!動揺してるゆーくんかっわいー!」

「…やられた」

俺が動揺するの楽しんでやがる…こいつ

…やり返してやる。

「なぁ萌香。ちょっとこっち顔出してくれ」

「んぇ?いいけど…」

「んぇ!?!?ゆーくん!?恥ずかしい…みんな見てるよ…」

「…仕返しだ。ばか。」

俺は萌香の口周りに着いているハンバーグのソースを吹いてやった。

萌香は顔を真っ赤にし、顔を埋めていた。

…やっぱこいつかわいいな。


「ふぅ…いっぱい食べた…お腹いっぱいだよ…」

あの後萌香は顔を真っ赤にしながらも、ご飯は食べていた。

「この後どうする?どっか行くか?」

まだ別れるには早い時間なため、俺は萌香にそう聞いた。

「…あちゃー。ちょっと学校に呼ばれちゃった…学校の門の外待っててくれる?」

「ん?あぁ、別にいいぞ」

学校に呼ばれるってなんかあったのか?

俺はそんな事を思いながら萌香の後ろを着いていった


「よし、ここで待ってて。すぐ戻ってくる!」

そう言い萌香は学校の門に入っていった。

…俺の学校に。

え?なんでだ?なんで萌香が俺の学校に?

…まさか。同じ学校…?

「おまたせゆーくん。あれ、どしたの?そんなびっくりして」

「萌香…もしかしてここの生徒なのか…?」

俺は恐る恐る萌香に聞いた。

「うん、そうだけど…どうかした?」

…まじか。奇跡すぎんだろ。

「俺もここの生徒なんだよな…」

「え!?!?そうなの!?!?」

「あぁ、俺は2年のB組だ。」

「私は…2年のC組…隣のクラスだね…」

…これは現実なのか?配信で会った人が同じ学校なんて…


まさか俺と萌香が同じ学校だったとは…

「な…なぁ萌香。あの…さ、よかったらこれから一緒に登下校しないか…?」

俺は正直1人が嫌いだ。

学校では寝てるからいいのだが、登下校では1人は好きじゃない。

「え、あ、うん。いいよ?毎日一緒に行こうね!」

よっしゃ!!やったぜ!萌香と一緒に学校行ける!

俺は心の中でガッツポーズをしていた。


そんなこんなでもう時刻は18時を回っている。

そろそろ別れるか。

「んじゃ、時間も時間だしそろそろ帰るか。」

「うん!そうだね、またねゆーくん!」

俺と萌香はその場で解散した。

…明日から楽しみだな。


今日から萌香と毎日登下校か。正直わくわくして昨日は寝れなかった。

俺は制服に着替え、朝食を取り萌香との待ち合わせの場所に向かった。

「あ、ゆーくん!!おはよ!!」

「おはよ、萌香」

萌香は俺の学校の制服を着ている。

この事がほんとに萌香は俺の学校なんだなってことを実感させた。

「ねぇねぇゆーくん、今日配信外でゲームしない??」

「ん、いいよ。いつものゲームでいい?」

「うん!」

萌香からゲームを誘うのはいつもの事だが、配信外でゲームをしようというのは珍しいため俺は少しびっくりしていた。


放課後になり俺たちは一緒に帰っていた。

萌香の方を見るとスマホを真剣な眼差しでつついていた。

「萌香?何見てんの?」

「ん、これこれ!今度SRonlyの大会があるらしいんだけど、出てみたいなぁって」

萌香が見してくれたお知らせを見ると学生限定のSRonly大会があるみたいだ。

「1ヶ月後…か。それまでにSRを極めないといけないけど自信は?」

「ないなら言ってないよ。あるからこうやって言ってる。それに、ゆーくんもいるしね」

萌香の目は真剣だった。こんな目されてだめだ、なんて言えないよな。

「…わかった。俺も本気で教える。やるからには優勝するぞ」

「うん。当たり前だよ。」


こうして俺たちは大会に向けて練習をするのだった。

萌香はほとんどSRを使ったことがないため白紙からの練習だ。

しかし萌香には俺がいる。

俺のソロの時の立ち回りや撃ち方、色んなことを教えながら練習をしていく。

しかし、萌香が家の事情で練習時間が思うように取れず、なかなか上達しない。

時には諦めようと言った時もあったが、萌香は諦めない。と言ったのでその意見を尊重した。

そんなある日の事だった。

「ゆーくん。ゆーくんの家に少しの間お邪魔出来ないかな…?ゆーくんの家に行けることが出来たら練習もいっぱい出来るようになるから…だめ、かな?」

まさかのお願いだった。もちろん俺は男で萌香は女。さらに俺と萌香は付き合ってもない。

そんな男女が同じ屋根の下で過ごしていいのだろうか。

しかし、萌香は本気で大会で優勝したいと思っている。そんな気持ちを無下にしていいのだろうか。いいわけない。

「俺はいいけどいいのか?俺は男だぞ」

「ゆーくんなら…いい」

なんだそれ…そんなのまるで…

「…わかった。親はそゆの気にしないから大丈夫。とりあえず着替えとかだけ持ってきて欲しい」

「…!!ありがと!!絶対優勝する!!この恩絶対忘れない!!」


大会前日の日になった。大会の運営が練習試合の場を作ってくれ、もちろん俺たちもそれに参加した。

萌香のエイム力は練習前に比べると天と地の差ぐらいあった。ヘッド率も高くなり、ヘッショがどんどん増えていた。

この試合でも俺も萌香もお互い10キル以上し、1位になっていた。このまま行けば勝てる。


大会当日。今の時刻は9時30分。大会開催時間は13時。あと3時間30分ある。俺は1人で練習する事にした。

「ん…ゆーくんおはよ。朝から頑張ってるね…」

「あぁ、起きたのか。おはよ、まぁ大会だしな。しっかり練習しとかないと」

「私も後でする…」

萌香は眠たそうに洗面台に行き、顔を洗い、部屋に戻り服を着替えてるみたいだ。

しばらくすると萌香が戻ってきた。

「よし…っと。じゃあゆーくんやろっか!」

「あぁ、最後の仕上げだ」


大会開始まであと5分。俺たちは立ち回りや作戦などを確認していた。

そうこうしているうちに大会用のルームIDとパスワードが発表された。

俺たちは急いで入り、どんな人がいるのか確認していた。そこにはもちろんプロもいた。

「ゆーくん…この人って…」

「あぁ、日本1のSR使いの人だ」

…やっぱりこいつもいるか。

その人は過去3大会全部優勝している。

「勝てるかな…」

「勝てるさ。なんせあんだけ練習したんだからな」

「うん…そうだよね」

「あぁ」


大会が始まって5分くらい経過した。

俺は2キル、萌香は3キルしていた。

残り人数は俺たちを入れて10だ。萌香にアドバイスをしていた時だった。

「ゆーくん住宅街からこっちの方2枚向かってる。カバー行こうか?」

「おっけ。こっちの場所バレてたりは?」

「してないね、してたら銃構えてるだろうし」

「おっけ、バレてないならカバー大丈夫。そっちの方向頼んだ。」

「おっけー」

敵の位置はアンチ外で場所バレてないなら無理に手出す必要はない。大人しく自分が1番当てやすい射程圏内に入ってから狙えばいい。変に手出して抜かれたら終わる。これは萌香にも教えたことだ。

敵が射程圏内に入ってくるまで。

3。

2。

1…

近くから銃弾が頭に当たった音がした。

俺には当たってない。

萌香のHPバーを見るとそれは赤くなっていた。

「ごめんゆーくん。抜かれちゃった」

「大丈夫。俺に任せろ」

キルログを見るとあの日本1のSR使いの名前が書かれていた。

まじか…こいつ残ってんのかよ…

萌香の位置と俺の位置はそう離れてない。

つまり、萌香の位置がバレたなら俺の位置もすぐバレる。なら早めに移動した方がいい。

俺は今いる場所から離れ、萌香の蘇生に向かおうとした。しかし俺のいる場所付近に弾丸が1つ

着弾音とともに当たった。

まずい…場所バレしてる…

俺が慌てて身を隠してる間に萌香は確入れされていた。

「ゆーくん。大丈夫だよ。ゆーくんなら勝てる」

「あぁ、任せろ…」

俺ならできる。落ち着け…深呼吸だ…

よし。とりあえず場面把握をしないと。

俺の周りには今分かっているので3人の敵がいる。1人は右、もう2人は左、アンチ外…か

右側の敵が例のSR使い。

さっき撃たれたのは左からだった。つまりまだあいつにはバレてないはずだ。

場所バレしてる以上スモークグレネードを使う…か?

しかしスモークグレネードを使うとあいつにもバレてしまう可能性が高い。ここは使わずに逃げるしかない。見つかったら見つかった時だ。

俺は隠密しながらあいつの方向に向かった。

幸い、左側の敵はアンチダメでリアイアした。

しかしここからが問題だ。相手は日本1のSR使い。1発でも外したらすぐ気づかれ、抜かれる可能性が高い。

…きつい。俺には大会経験がない。この緊張感に勝てる自信がない。もう諦めようと思った時だった。

「ゆうきくん。大丈夫。1番自分が当てやすい場所に来たら、引き金を引くんだよ。」

「萌香…あぁ。ありがとう。助かった。」

この場合敵はアンチ外じゃない。しかも相手は日本一のSR使い。イモったりはしないはず。

つまり索敵で動きが激しくない時だってあるはずだ。その瞬間を狙う。チャンスは1度きり。

俺は相手の動きが落ち着くのをずっと待っていた。


敵が止まるのを待ってからどれくらい経っただろうか。その時は急にくる。

距離は遠いが相手が全く違う方向を向き、俺を探すために動きが激しくない。

今だ。

俺は全神経を落ち着かせ、腕に集中させた。

1発で成功しなかったら、ゲームセットだ。

銃口を相手の頭に向けスコープを覗き、俺は引き金を引いた。

ゲームセットだ。

辺りにSRにしか出ない音が響き渡った。


迷いのない一撃だった。しかし、キルログには俺の名前が出ることは無かった。

…外した。

俺が発射した弾丸は相手の胴体に当たったらしい。

相手に場所がバレた。

終わ…った。相手は日本1のSR使い。俺みたいにこんなとこでミスるわけがない。

萌香…ごめん。負けた。


全滅BGMが流れない。

俺は不思議に思い相手の方向を見た。

…弾切れだった。

俺は相手にもう一度銃口を向ける。俺は深呼吸をし、スコープを覗いた。

今度こそ外さない。俺は相手の頭を狙い引き金を引いた。

この瞬間だけ、時がすごく遅く感じた。

数秒後、キルログに俺の名前が出た。

「よっしゃ…勝った…」

「ゆーくん!!!おめでとう!!!」


大会終了後、優勝者インタビューがあった。

「日本1のSR使いを倒せた理由は?」

「俺の相方のおかげです。相方がいなければおそらく今日ここに立ってないです。相方にはすごく感謝してます」

ほんとに萌香のおかげだった。萌香が俺を落ち着かせてくれたからこの結果が生まれた。

「最後に、相方さんに感謝の気持ちをどうぞ!」

「萌香。お前のおかげで優勝出来た。ほんとにありがとう」


俺はインタビューを終え、萌香と話していた。

「ゆーくん改めておめでとう!!かっこよかったよ!!」

「あぁ、ありがとう」

…ここしかない。俺は深呼吸をした。

「優花。お前のことが好きだ。俺と付き合って欲しい。」

「遅いよ…ばか…。私なんかでよければこれからもよろしくお願いします」

俺たちはこうして付き合うことに成功した。


「ゆうきくん、起きて?」

次の日の朝、俺は優花の声で目が覚める。

「ん…おはよ、優花」

「ねぇねぇゆうきくん、おはようのキスは?」

「はぁ!?!?そんなのするわけないだろ!ばか!」

「えー…付き合ったからそれくらいいいじゃーん」

「…1回だけな?」

俺はそう言い優花の唇にキスをした。

「えへへ、ゆうきくんがキスしてくれた…」

俺たちのカップル生活はまだまだ始まったばっかりだが、これからも仲良く、楽しくやっていきたい。

〈終〉










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陰キャ配信者は恋をする。 nemuhachi @nemuhachi

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