サンタよ

 やることがなく、ただただ勉強をしている。外では雪が舞う。その光景に恋人たちは浮かれ、街に繰り出し、子供たちは今しかできない遊びに夢中になり、一つ上の先輩たちはひたすら机に向かうこの季節。僕にも欲しかった。元映画制作部のみんなはどうしているだろうか。能ある鷹は爪を隠さないと社会から引っこ抜かれてしまうこの世界は残酷だ。

 サンタに願っても帰らぬものは帰らない。


 あの夏から度々頬をつたる水はしょっぱいままだ。あの夏、またつばめは僕に何も言わぬまま裏切った。


 気がつけば読んでいる彼女からの最初で最後の手紙。インターネットがこんなにも普及しているこの時代に彼女は手紙をくれた。紙一面に広がる丸みを帯びた可愛らしい文字は僕の涙腺の機械油となってしまう。

 身体的な苦しみから逃げた先には精神的な苦しみが待ち構えていた。

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