第四十話
桐山の感想を聞いた里美は、一気に
「じゃあさあ、付き合っちゃいなよ?」
すると桐山は、すぐに答えた。
「いや、それはちょっと……」
里美が、どうしてと聞くと、桐山は女性は
携帯電話に一時間おきにメールがきたり、毎週日曜日は必ずデートしてと言ってきたり、桐山が他の女子と話をすると必ず
里美は、うーむ、これは困ったわね、という表情になった。でも、何とかしようと思った。
そこで焼鳥屋での食事が終わると、カラオケに行った。
佐野は福山雅治の『
カラオケで一時間、歌い終わると里美は桐山を
「すっかり、
すると桐山は、明日も仕事があるからと断った。また、お世話になりましたと二人に告げた。
なのでバーには、里美と佐野の二人きりで行くことになった。
カクテルを飲みながら、里美は
「どうやら桐山君と付き合うのは、無理そうね……」
しかし佐野は、くだをまいた。
「でも好きなんですよ、私! あんな人、今まで出会ったことが無いんですよ!」
里美は、聞いてみた。
「そんなに好きなの? そんなに付き合いたいの?」
すると佐野は、コクリと
里美は右手で胸を
「だったら私に、
●
その日の夜、レモンティーを飲みながら里美は私に、ある提案をしてきた。
少し考えて、私は答えた。
「ふーむ、なるほど……。うん。それも、ありだな」
次の日の朝。課長の席に着いた私は
「桐山君、ちょっときてくれるかな?」
不思議そうな表情をしている桐山に、私は告げた。
「商品開発課の係長から聞いたよ。カロリーがゼロの砂糖を、ちゃんと見つけたそうだね。ありがとう。ところで……」
と私は、説明を始めた。『ゴールドスィーツ・シリーズ』の第三弾はドーナツ、タルト、ワッフル、大福もち、ゼリーの五つだ。当然、砂糖も使う。だが砂糖だけカロリーがゼロでも、不十分だ。
例えばドーナツは砂糖の他に卵、牛乳、バター、
桐山は、小さなため息をついた後に聞いてきた。
「商品開発課の係長って、里美さんのことですよね?」
私は、頷いた。
すると桐山は、自分の意見を言った。
「でも僕の仕事は、営業ですよ? そう何度も商品開発課に行くのは、どうかと思うんですが……」
私は、説明した。今のままでは『ゴールドスィーツ・シリーズ』の第三弾の商品は売れない。第三弾の商品を売るためには、カロリーを半分にする必要があると思う。
だから他の材料の、低カロリーの物を探して欲しい。それにこれは人材交流にもなる、と。
すると桐山は、ううむと
「確かに、そうですね……。分かりました。もう一度、商品開発課に行って材料を探します。今から行けば、いいんでしょうか?」
私は再び、頷いた。
桐山は、
「それでは、行ってきます!」
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