ちょっと長い、後日談
第三十六話
あれから一年が
私と
「はあ……」
「はあ……」
私は朝からため息をつくとは、せっかくの朝食の場を、暗くしてしまったかな? と思いつつ、どうしたんだろうと気になって里美に聞いてみた。
すると里美は何でもないと答えて、提案してきた。
「ねえ、
里美は自分は一人っ子で、少し
実は私も一人っ子で、子供のころ兄弟がいる友達がうらやましいと思った記憶があるし、政府の政策で子供が作りやすくなってきたと考えていたので賛成した。
すると里美は、右手を高々と上げて宣言した。
「よーし! がんばってもう一人、子供を作るぞー!」
私は、ちょっと
「あ、ああ。そうだな……」
その日、会社に行き営業二課の課長の席に座ると
まず係長で責任者の平井が、頭を下げた。
「申し訳ありません、課長。昨日の
続いて昨日プレゼンをした、桐山も頭を下げた。
「大変、申し訳ありませんでした!」
大結スーパーは一係の得意先だったので、プレゼンを失敗した二人はショックを受けているようだった。
しかし私は
ただ、海外と専門的に取引をしている営業一課によると中国にだけはまだ、『ゴールドスィーツ・シリーズ』の第一弾と第二弾は売れているようだった。
SSデパートでのプレゼンがうまく行かなかった理由は、『ゴールドスィーツ・シリーズ』の売り上げが落ちているから、とのことだった。SSデパートでも、今まで売れていた『ゴールドスィーツ・シリーズ』の売り上げが落ちたので不思議に思い客に調べてみると、『スィーツを食べ過ぎて、太ってしまったから』だったそうだ。
一応、平井にも理由を聞いてみると、やはり同じだった。『ゴールドスィーツ・シリーズ』のスイーツは美味しい、でも食べ過ぎて太ってしまったという理由で大結スーパーでも売り上げが落ちてしまったから、というのが理由だった。
『ゴールドスィーツ・シリーズ』は特別な日に食べる、ちょっと高価で
第一弾、第二弾が好評だったので第三弾としてドーナツ、タルト、ワッフル、大福もち、ゼリーの五つを開発した。
しかし、まさか食べ過ぎて太ったから売れなくなるとは……、これは私にも予想できなかった。早急に対策を考える必要があった。
取りあえず私は、平井と桐山に声をかけた。
「まさか、こんなことになるとは誰にも予想できませんでした。君たちの責任ではありません。
これは『ゴールドスィーツ・シリーズ』のコンセプトをもう一度、考えなくてはならないことです」
すると両脇を
「あの、
「うん? 何だい?」
「あ、いえ……。やっぱり考えがまとまってから、お話します……」
「そうですか。それじゃあ、そうしてください」
桐山は、私の目を真っすぐに見て返事をした。
「はい!」
●
同時刻、商品開発課。二係の係長、里美も頭を
佐野は猫なで声で、神崎に甘えた。
「えーん、神崎さーん! 実は私、また彼氏と別れちゃったんですー!」
神崎は両手で、佐野の両手を
「あー! なんて
「ありがとうございますー! 神崎さーん!」
佐野は、いわゆる小悪魔系で男にモテた。髪は肩までのユルフワで、
一方、神崎は結婚して三人の子供がいるが、
そんな二人を見て里美は、ダ、ダメだ、こいつら……、放っておいたら、ただれた関係になるのは時間の問題だわ……、という表情をした。不倫や浮気等の
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