第三十三話

 それから私と里美は結婚式を、どうするか話し合った。私と優子の時は、優子が『私、目立つのは苦手なの』と言うので、写真館で記念撮影きねんさつえいをして、身内みうちで食事会をしただけだった。


 今回は、どうするかなと考えていたら、里美が言ってきた。

「ねえ、ちょっと調べてみたんだけど今は、『小さな結婚式』っていうのが流行はやっているみたい」

「『小さな結婚式』?」

「そう。小さなチャペルで、家族と友人だけで式をげるの」


 私は少し、興味を持った。

「ふーん、なるほど」

「基本プランで挙式料きょしきりょうはもちろん、衣装いしょうのレンタル、ヘアメイク、写真撮影まで、かなり安くできるらしいの。取りあえず、チャペルの見学だけでも行ってみない?」

「そうだな。それなら行ってみるか」

 と、私たちは見学に行った。


 チャペルに入ってみると三角形の屋根は白く、椅子いすは黒かった。奥には祭壇さいだんがあり、おごそかな雰囲気ふんいきがした。


 すると里美は、すっかり気に入ったようだった。

「ここ、すてき! ねえ、信吾、ここで式を挙げようよ!」


 私は里美が良いなら、それで良いと思ったので、さっそくスタッフと打ち合わせをした。


 黒いスーツにこんの短いネクタイをした女性スタッフは、告げた。

「まず、挙式までの期間は、どうなさいますか? ほとんどの方が三カ月以内ですが、最短では一週間後の挙式も可能です」


 里美は、感心していた。

「いえ、そんなに早くなくてもいいですけど。でも、すごいわね信吾。大きな披露宴ひろうえんを含めた結婚式だったら、準備に半年から一年位かかるのに」

「そうだな。まあ、三か月後の挙式で、いいんじゃないか?」

「そうね、それでいいと思うわ」


 するとスタッフは、確認をしてきた。

「それでは三か月後の挙式の打ち合わせ、ということでよろしいでしょうか?」


 私たちは、答えた。

「はい。それで、お願いします」


 するとスタッフは、パンフレットを取り出し説明を始めた。

「まず基本プランに含まれるものですが、それは挙式料、司祭者しさいしゃ音響おんきょう・照明、衣装レンタル、新郎・新婦の着付け、小物一式、新婦のヘアメイク、写真、式場装花しきじょうそうか、結婚証明になります。さらに個別に説明を、させていただきます。


 まず挙式のスタイルですが、基本プランの挙式スタイルは人前式じんぜんしきになります。両親や親しい人の前で、結婚をちかうスタイルです。形式けいしきや、しきたりにとらわれず、自由なプランを組み立てることができることが、人気の秘密です。お二人だけの、オリジナルな挙式が可能です。


 次に司祭ですが、これは新郎新婦の入場から、誓いの言葉や指輪の交換、署名しょめいなどの式進行を行います。お二人の挙式を、全力でサポートいたします。


 音響・照明は入退場にゅうたいじょうだけでなく、挙式の途中も場を盛り上げます。思い出の曲を使ったり泣ける演出、笑える演出など様々なリクエストに、おこたえします。


 衣装レンタルですが、ウェディングドレスは豊富ほうふな二千のラインナップから、ご自由にお選びいただけます。


 新郎新婦の着付けは衣装レンタルだけでなく着付きつけも、しっかりとお手伝いさせていただきます。当日の、お二人の緊張を少しでも和らげられるようリラックスした雰囲気の中で、お支度していただけます。


 小物一式は挙式に必要なベールやティアラ、ネックレスなどを、ご用意しております。


 新婦のヘアメイクは専属のヘアメイクアーティストがナチュラル系メイクを基本に、ゴージャス系からメリハリ系まで、あらゆる、ご要望にカウンセリングスタイルで、ご対応いたします。


 写真はウェディングフォト業界の、パイオニアのカメラマンが写真撮影を担当します。あらゆるリクエストに、お応えします。


 式場装花は会場にはなやかさを添えてくれる、名脇役めいわきやくです。ブーケとのコーディネートなど、細やかな対応で挙式を彩ります。


 最後に結婚証明書ですが、人前式では欠かせないものです。挙式の演出としてだけでなく思い出の品として、ずっと大切にしていただけるようシンプルなデザインの物を、ご用意しています。


 弊社へいしゃでは写真撮影、ドレス、インテリアまで、すべて自社で手掛てがけているからこそ細部まで、こだわったサービスを低価格で、ご提供しています」


 話を聞いた私と里美は、結婚式が待ち遠しくなった。

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