第四章 謀議はどこにでも転がっているー1


 火星の首都、ネオ・マーズの中心は、中央政府、州立政府の庁舎と、関連機関で占められた政府機関エリアだった。

 政府機関エリアの外側に、政府関係者の居住区が、整えられた緑地の中に点在していた。これを、中央官区と呼ぶ。見た目は、閑静な保養地のような景観で、広い整備された道路が、整然と縦横に伸びていた。

 中心地の北側は、火星に拠点を持つ、企業のオフィスと居住区が建ち並ぶ。そして、政府エリアと民間エリアの境界線上に、星立劇場がその偉容を見せている。劇場を中心として、劇場の広場から広がる大通りが、ネオ・マーズのメインストリートである。そこには、ホテル、ショッピングモール、レストラン、バーが建ち並び、ささやかな火星社交界のサロンも、この通り沿いにあった。

 中央官区の外は、調整緑地が広がっている。ここは、緑地保全区であり、中央官区に住む人々の、憩いの場所ともなっていた。このエリアの外周は、丹精された樹木でかこまれている。何故なら、その外側に、軍の駐屯基地があるからだ。中央官区は、常に、常駐軍によって守備されている。

 その先に、南部農場と呼ばれる、手入れが行き届いた、農場と果樹園、放牧場が広がっていた。緑地は今も外へ向かって広がり続けている。

 太陽系内を航行する宇宙船が離着陸する宙港は、政府エリアの東側に。火星内を航行する飛行船空港は、民間エリアの西側にそれぞれ建設された。

 ネオ・マーズの北端は、海岸に面した、居住特区である。火星の首都を機能させる為に必要な労働力と物資の殆どが、ここに集結されている。尤も、農場作業員を除く、と言う但し書きがつくのだが。

 つまり、物流、サービス、様々の技術サービスとエンジニア、各施設での下働き、管理、設備保全を行う人々が住んでいる。そして、居住特区の人々の暮らしを支える人々も、共にここに住んでいた。

 商店、食堂、酒場、安ホテル、風呂屋など、雑多な店がひしめき、製造業、修理屋、様々の材料と部品を扱う店。当然、その片隅には、夜の街を彩る女達と男達。得体の知れない者達の影も、ちらほら見かけられる。

 ネオ・マーズは、それら全部をひっくるめて、必要悪として黙認している。だが、農場や放牧場のグリーンベルトを間に挟んで、ふたつは全く別の世界だった。権力と富を持つ者と、彼等の生活を支える、いや、それに仕える者との街だった。

 特筆すべきは、火星移民局は、この仕える者のエリアに在ると言うことである。最も古く、最も権威ある機関、それが、火星移民局である。ここにも、但し書きがつく。その昔、火星に最初の移民団が降り立った頃、と言う但し書きが。


 ホテル、マーズパシフィック。火星最高級ホテル。

 最上階インペリアルルームの応接室では、五人の男が顔を揃えていた。

 左右に二人の男を従えた男が、この部屋の主人らしい。葉巻をくわえ、柔和な微笑を浮かべて、三人のゲスト達を眺めていた。向かい合って座る三人も、それぞれに部下を連れている。少し離れて、もう一人の男が、二人のガードを従えて座っていた。

「火星の最高級ホテルが、八階建てとは驚いた」

 葉巻を、ゲスト達にも勧めながら、その男が言った。政府専用機の貴賓室から、降りて来た男だ。

「ミスター・セルノン、火星では、建造物の高さにまで、制限がつけられていますからね。なべて、全てがこんな調子ですよ。地球や月では考えられないことだがね」

 三人の内、向かって右端の男が言った。エデイスン・ハガード。欧州州立政府連合、副議長を務める男だ。

「それも、すぐになくなるでしょうね」

 その男、ハワード・セルノンは、自信ありげに応えた。

「その為には、ターナーズ&ハックマクロメディアの力を、どうしても借りなければならんのだよ。セルノン」

 真ん中の男が、椅子の背に躰を預けながら言った。

「勿論ですよ。サミュエル・ゴードン副大統領。私が来たのは、それが目的ですからね。これは、私の為でもあるが、皆さんの為でもある。変革の為には、皆さんの力が必要です。その事もお忘れなく」

 セルノンの言葉に、ゴードン副大統領は、苦笑いした。

「だが、間違っても、我々が北半球まで、足を運ぶことなどないだろうね?」

 左端の男、ズワンデ・アキシバが不安げに尋ねた。

「そんな事は、まず有り得ないことですよ、アキシバ理事。この件に関しては、私は全権を委任されている。何方にも、そんなことはさせませんし、何方にも、火星に来たことを後悔させはしませんよ。北で動く人間は既に手配してある。我々は南で、その成果を待てば良い」

「それを聞いて、安心しましたよ。ミスター・セルノン」

 セルノンは鷹揚に頷き返し、心の中で、相手を確認した。この男は、東アフリカ州立連邦理事。未だに、アフリカは貧しく、後進地域だ。彼が一番、火星での今回の計画の成功を願っているかもしれない。

「それで、現地責任者は、信頼に足りる人物なのかね?」

 サミュエル・ゴードンが訊ねた。

 セルノンは、彼にも余裕の肯きを返した。この男は、お堅いオーストラリア州立政府の中では、変り種だと言えそうだ。オーストラリアとカナダの州立政府は、中道派と認識されている。南米アメリカや、欧州の州立政府とは一線を画し、独自の路線を進めつつある。そんな中で、ゴードンは中々の野心家らしかった。

「その点は、私に任せていただいて間違いない。名前は、明かせませんがね」

「と、言うと?」アキシバが、不安げに口をはさんだ。

「私も、是非、伺いたいですな」

 ハガード副議長も、身を乗り出してきた。引かない態度を露骨に見せたが、その奥の不安を、セルノンは見逃さなかった。

「極秘事項です」セルノンは、素っ気ない態度で応えた。

 部屋の中に、冷やりとした空気が入り込んだ。

「我々には、知る権利がある。そうじゃないかね、セルノン」

 ゴードン副大統領が座り直し、鋭い眼をセルノンに向けて来た。

 やはり、この男か。セルノンは表情を変えずに、ゴードンを見た。必ず、三人の中で主導権を握ろうとする人物が現れる筈だと、セルノンは睨んでいた。セルノンとしては、誰にも、主導権を渡す心算つもりはない。ゴードンを自分の下風に置けば、これから先の仕事は、やり易くなるだろう。既に、ゴードンによって、他の二人は抑制されているからだ。

 火星で初めての、具体的な会談である。こう言う状態を作り出すには、ちょっとした秘密の素振りを見せれば、大概の政治家は食いついてくる。セルノンはこれまでの経験で、充分に承知していた。後は、こちらが折れた風に見せ、張っておいた罠に誘い込むだけだ。

「困りましたな」セルノンは、額に皺を寄せて、迷う顔をして見せた。

「ターナーズ&ハックの、内部的極秘事項かね。それとも、我々に対しての、極秘事項かね?」ゴードンが追い討ちをかけて来る。

「我々は、今回の計画にかなりのリスクを背負っている。そう言った中で、極秘事項とは、私も納得出来かねるが」ハガードが身を乗り出してきた。

 同調して、アキシバも頷く。ふむ、と唸りながら、セルノンは、こうも容易く罠に掛かってくれると、逆に心許ない連中だと思っている。そして、セルノンは困惑した目付きで三人のゲストの顔を見回し、仕方ないと言う顔で頷いて見せた。

「判りました。お話しましょう。但し、これは、我々だけが知っていれば良いことです。皆さん以外は、一度この部屋を出て頂くことにしましょう。そうでなければ、幾ら私でも、喋るわけにはいきませんよ」

 セルノンは、この一線だけは譲らないという態度に出た。

 三人は、互いの思惑を探るように顔を見合わせ、暗黙に了解しあった。

「良かろう。君の条件を飲むとしようか」

 ゴードンが、余裕を見せて答える。セルノンは、参りましたねと言う代わりに、両手を広げた。やれやれ、茶番にも程がある。こんな子供だましの手に引っ掛かるとは。

 少し離れて座っていた男が、二人のガードを促して立ち上がった。一人は扉の方へ行くと、扉を開き、廊下へ出て、大丈夫と頷いた。もう一人は、ゲストが連れて来た男達を先導する形で、部屋の外へ出た。最後に、無言のまま座っていたもう一人の男が外へ出て、静かに扉を閉めた。扉が閉じられる寸前、男は、三人の客の背中へ、まるで出来損ないの機械部品でも見るような一瞥を投げた。

「さて、これでいいかね?」と、ゴードン。彼は、高圧的な眼で、セルノンを見た。

「結構です」これが、この男の遣り口か。セルノンは内心、少々うんざりしている。こう言った手合いの、権力幻想というものには、彼はすっかりお馴染みだった。セルノンは椅子の中で、ゆっくりと姿勢を変えた。

「皆さんの中で、ゾンニ・ラボと言う名称を、お聞きになった方は?」

 ゴードンとアキシバは、思い当たらなかったが、一人ハガードだけは、小さく声をあげた。

「何です、そのゾンニ・ラボと言うのは?」アキシバが、疑問を率直に顔に出して訊ねた。

「おや、てっきり、皆さんご存知だと思っていましたが……」

 セルノンは、ゴードンとだけは眼を合わせず、他の二人に向いて、驚いた表情を見せた。

「遺伝子に関する研究で、遺伝子操作、組み換え、結合などでは、世界的なラボだ。創立者は、ライフメーカーと呼ばれた男だよ」

 ハガードが、セルノンに代わって説明した。漸く、他の二人も思い出したようだ。

「そう。たしか、同種のウイルスを変容させ、全く別の属性を持たせたり、遺伝子の結合実験で、禁止されていた人体クローンを使ったことを追求され、それが追放の要因となった。私はそう記憶しているが」

 アキシバが言うと、

「それだけじゃない。属性変容ウイルスは、人体内に入り込んで、自然発生するウイルスを簡単に変容させ、人体を内側から蝕む悪性のものに変えるとか、細菌兵器としての危険性もあると、糾弾されたよ。表には出なかったが、それ以外にも、バイオ技術の方でも、何かもっと別の、危険な研究を進めていたと言われたが」ハガードが付け足した。

 だが、ゴードンは、セルノンの弱味を握ったぞと言う表情を見せた。勿論、それは他の二人には感知出来ないほどの、かすかなものだったが、セルノンは精確に、ゴードンの思惑を捉えた。この男は、それ以上の何かを知っている。おそらく、セルノンを試すつもりのようだ。

「あの男は、そうやって、遺伝子工学の世界から追放された筈だ。その、自分が創立した研究組織からもね。君は、ライフメーカーを見つけ出したとでもいうのかね? まあ、たしかに、あのライフメーカーなら、今回の研究にはうってつけだが……」

 ゴードンが、期待をこめた口調で言った。

「彼は死にましたよ。八年前にね」

 セルノンは、ゴードンの期待に応えるつもりはなかったし、彼が仕掛けた罠にはまる程のお人好しでもない。その証拠に、ゴードンは苦い顔をした。

「死んだ? それは、本当か?」ハガードは、本当に驚いている。

「ええ。あの男なら、うってつけだったでしょうがね」

 セルノンはさも残念そうに頷いた。

「じゃあ、誰なんです。この計画の現場責任者は?」とアキシバ。

「彼以上の才能と、冷酷な狂気を持った人物です」

 自分の言葉が、三人にどんな反応を起こさせるか、セルノンは密かに見守った。ライフメーカーの死など、セルノンにとって唯の情報にしか過ぎない。切り札は別にある。それも、かなり上質なものが。見ろ、あのゴードンでさえ、兜を脱ぎそうじゃないか。ゴードンが、焦れったそうに瞬きし、アキシバが唇を舐めた。機は熟したと見て、セルノンはおもむろに口を開いた。

「一般には知られていないが、ライフメーカーには、二人の娘がいた。その娘達ですよ」

 目の前の三人の男達から、一様に驚きの声があがった。

「父親以上の天才であり、父親以上の狂気を持つ、と言われる姉妹」

「そんな話、初めて聞くよ。間違いはないんだろうね?」

 ハガードが、誰へともなく呟いた。

「行方不明だと、言われ続けて来ましたがね。その筋では。だが、そうじゃない。現実に、彼女等は、この火星に居る。但し……」

 セルノンは、もう一度、男達を見回した。

「今も行方不明だし、これからも行方不明のままだ。些細な情報を、修正する必要など何処にもない。少なくとも我々にとっては、その方が、都合が良い」

「いや、その通り。あなたが仰るとおりだ」

 アキシバは、感に堪えないと言う風に、何度も頷き、ゴードンは鼻を鳴らし、ハガードは、興奮した調子で、こう言った。

「そうか。なるほど、これは、成功の可能性が高いね、全く」

「これで、皆さん、安心して戴けましたか?」

 セルノンは、わずかに眉をあげて見せた。三人は頷いた。さて、ここまでは、よし。そろそろ、仕上げと行こうか。あやふやなままで、行動を起こす訳にはいかないのだ。セルノンは、ゆったりと椅子に座り直し、こう言った。

「近々、生きたサンプルを、お見せしましょう」

 今度こそ、三人は心から驚きの声をあげた。

「もう、そこまで進んでいるのか?」ゴードンの声が上擦っている。

「私が、何もせずに、皆さんのおいでをお待ちしていたとでもお思いですかな? 私は、怠け者じゃない。時間の大切さも知っている。打つべき手は、きちんと打ち、遣るべきことは、躊躇しない。これが、私の遣り方ですよ」

 これで、互いの力関係は、明瞭なものとなった。セルノンが、主導権を握ったのだ。まあ、まずまずの所だ。セルノンは、柔和な笑顔を、目の前の男達に向けた。


 ターナーズ&ハックマクロメディア社は、世界にグループ企業を網羅する、巨大企業組織だ。地球のみならず、月面都市、公転軌道上コロニー、小惑星農場、系内宇宙航空会社など、あらゆる場処、あらゆる産業と企業に手を伸ばして、成長してきた。

 系外航路への進出へも、早くから眼をつけ、いち早く航路新設申請を終え、超光速度航行宇宙船の更なる開発にも力を入れている。この計画が実現すれば、T&H社は、飛躍的な成長を遂げることは確実だった。

 今回、ハワード・セルノンが担当するのは、宇宙港、系外中継港開発全般に関する先行開発の足場を、火星に建設することだった。

 これから一斉に動き出す、系外進出への、恒常的企業権利に、眼に見える形で、楔を打ち込む重要なプロジェクトなのだ。既得権が発揮する権利と、競争相手の排除は、常に自身を有利な立場に立たせてくれる。既得権が発揮する力は、年月と共に強大なものとなることを、二百年前、この火星で、T&H社は誰よりも身をもって痛感していた。

 火星へ投資するわずかな資金を惜しんだことで、二百年経った現在も、T&H社は、火星への進出を阻まれている。火星に対する権利を、持っていないのだ。この二百年に亘る汚名を払拭する為に、セルノンは手段を選ばない覚悟だった。目の前で、T&H社よりも小規模の組織企業が、既得権が故に、火星に散らばる新規産業を片端から自分達のものにするのを、T&H社はただ手を拱いて見ているしかないのが現状だ。特に火星は、これからの系外航路の宇宙港として、最も重要な系内惑星であり、最大の隆盛をみせるだろう。

 現在、火星に既得権を持つ最大の企業は、ファルエメェット社である。地球では、五本の指に入る企業組織だが、火星ではその殆どの民間企業に、何らかの関連を持っている。T&H社は、火星に既得権を持つ小企業の買収吸収を試みたが、全てが失敗に終わった。政治的圧力さえが、対抗する政治勢力の前では無力だった。セルノンは、思い切った非常手段も辞さないことでこの苦境を乗り切り、闘いに勝利するつもりだ。充分に、勝算はある。次期T&Hマクロメディア総帥の座を勝ち取るには、今回のプロジェクトを成功させることが、最大の近道だった。

 いつまでも、地球北半球責任者の椅子を温めていることはない。火星の成功は、社内の競争者との間に、大きく差をつける筈だ。セルノンは眼を細め、自分の興奮を隠した。

「では、我々も安心して、自分達の仕事を遣り遂げようじゃないか」

 サミュエル・ゴードンが、晴々とした笑いを浮かべた。

「いや、その通り」

 ハガードとアキシバも、賛同の笑いを浮かべる。

「そうだ。皆さんに紹介して措こう」

 セルノンは傍らの電話を取り、低い声で一言二言話して、電話を置いた。

 間を置かず入って来たのは、最後に部屋を出た男だった。男は部屋に入ると、最初に座っていた場所に戻った。

「彼は、ブラン・ミュウ・クレオン。保安の総責任者だ。今回のプロジェクトの安全を図り、且つ、我々も護ってくれる、心強い味方だ」

「ほう、保安責任者ね」ゴードンが、再び、高圧的な眼をした。

「火星に居る限り、安心して頂いて結構です。保安責任者として、私が皆さんを部下と共に護衛します。安全は、私が保証します」

 クレオンは、落ち着いた響きの良い声で言い、頭を下げた。目立たない、静かな、守護役の態度を崩さなかった。三人は、それを見て納得したのか、微笑と会釈を返した。

「さて、後は目的達成へ向けて動くだけですな。進捗状況に合わせて、皆さんの力を発揮して頂きましょう。今日は、集まっていただいて、感謝しますよ」

 セルノンは、潮時と見て立ち上がった。

 合わせて、三人の男達も立ち上がる。

 これで、舞台は整った。セルノンは上機嫌で、三人の客を送り出した。


「どう思う、クレオン?」

 ゲストを送り出して、二人だけになると、セルノンはふたつのグラスにスコッチを注ぎながら聞いた。

「マリオネットとしては、上出来でしょうな。手始めのモルモットとしてはちょうど良い具合の品質でしょう。唯、あの先生方には、こちらで御守りを付けておくべきですよ」

 クレオンが、何の表情も見せずに答える。

「やはりな。私も聊か、不安を感じていたところだよ。すぐに手配してくれ」

「もう、付けてあります。いずれにしろ、慣れない火星で破目を外されたんじゃ、元も子も有りませんからね」

 クレオンにグラスを渡しながら、セルノンは満足げに頷いた。

「仕事ってのは、こう言う具合に進めないとな。これからも、頼りにしてるよ、ブラン」

「報酬と信頼に見合う仕事をするのが、私の若い頃からの信条ですからね」

 二人はグラスを軽く合わせ、口辺に笑いを浮かべた。唯の保安責任者と、その雇い主と言う関係には見えない。

「長い付き合いだ。判っているよ」

 利益だけで結ばれたものだけではない何かが、二人の間に流れていた。

「後は、堅物の火星総督府だ。こちらは、今の連中よりは少々、骨が折れそうだが。中央政府軍閥ってのは、どうしてああまで頑固に古色蒼然の遣り方を変えたがらないんだろうな」

「裏から、それとなく手を打って措きましたよ。ご心配なく」

「そうか」セルノンは薄く笑い、グラスを上げて見せた。

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