第3話 SM

今日の相手はSNSで出会った女性。

名前は美香ちゃん、美しい顔立ちでスタイルもいいまさに100点満点の女性だった。

ただ、彼女の求めるプレイは相当ハードなものだった。


ふぅ、

ちょっと今日のセックスは相当疲れた。

この前買った缶ピースが身体に染みる。

「椎名くんピースとか吸うんだぁ、

 これ結構強烈なやつじゃん」

美香ちゃんはバスローブ姿でホテルのベランダに出てきた。

 「美香ちゃんは煙草吸うの?」

「ぜーんぜん吸わない、

 あぁ、でも根性焼きはすきだよ?」

美香ちゃんが気が滅入ることを言い出した。

彼女は極度のM体質だった。

俺は煙草を一吸いして空を見上げる。

「椎名くんSMプレイ初めてだったでしょ、

 明らか戸惑ってたし、まあそれはそれで

 かわいかったからおっけーなんだけど」

俺はベッドの上に放置されている縄や蝋燭、

目隠し、鞭をみてため息をついた。

「なんで美香ちゃんはMプレイ好きなの?

 いつか身体壊すよ?もっと自分の身体大事

 にしないと」

美香ちゃんは爪をいじりながら喋りだした。

「椎名くんの言ってることはわかるよ、

 でもさぁ、私はいじめられて始めて快楽を

 感じられるんだよね。

 私は本当にろくでもない人生のろくでもな

 い人間だからさ、いじめられて安心する、

 ある意味自傷行為みたいな感じ?」

その時初めて気づいた、美香ちゃんの腕にはたくさんの切り傷の跡が残っていた。

「美香ちゃんはさ、俺よか全然いい人生して

 るよ、俺なんてほぼ毎日、酒とセックスと

 タバコばっか。美香ちゃんはちゃんと働い

 てるんでしょ、だったら俺より偉いよ」

「じゃあ、なんで両親は私を認めてくれない

 の、ちゃんとお金も納めてるのに両親は実家

 の門をくぐらせてくれないの」

美香ちゃんはぽろぽろと静かに涙を流していた。

俺はこういう時、どう声をかければいいか分からなかった、だから、最低な一言を放ったんだと思う。

「じゃあ、もう一回SMプレイしよう。

 っていうか、めっちゃセックスしよ、

 俺、そんくらいしかできないわ」

美香ちゃんは静かに頷いた。

ホテルの時間を延長して、

その夜は一晩中セックスをした。


別れ際、美香ちゃんは一言言い残した。

「椎名くんありがとね、ちょっと元気出た、

 またセックスしようね」

俺は心の中で、

(亀甲縛りの結び方くらいは勉強しておこう)

そう思った。

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