第2話・逃げて!戦って!今日の友は明日の敵

 男は機械人の友と逃げ続けた。

 時には獣人から逃げ、時には赤い半球体の機械人からも逃げた。

(容姿だけで、敵と味方の判別はできないのか? この世界では) 

 逃げながら男は、あるコトに気づく──青い半球は『戦いながら、逃げるグループ』

 赤い半球は、青い半球グループを『襲って、追うグループ』だと。

 

 長時間、逃げていた男は単眼モノアイに映る△型の光点が現れたコトに気づく、赤い光点とも青い光点とも違う光り……男は一緒に逃げている、機械人の仲間に聞いてみた。

「わたしの目には映っていない、それはあんたが扱える専用アイテムボックスの位置だ……他の者は扱えない、その場所に行ってみよう」


 男と機械人の仲間は、△印が示されている迷宮に到着した。

 並んだ二つのボックスの上部には、青い六角形と赤い六角形がそれぞれ付いていた。

 機械人の仲間が言った。

「青い輝きを放っている六角形が付いているボックスの中身が、あんたが現段階で使えるアイテムだ……ボックスを開けてみろ」

 男がボックスを開けると、中に円形の回転ノコギリが付いた剣のような武器が入っていた。

 剣の柄に近い部分は円形の盾になっている。

 機械人の仲間が呟く。

「ほうっ、接近戦用の武器と防具か」


 ボックスの中から回転ノコギリ剣を取り出すと、ボックスの六角形は白くなり、ボックスは開かなくなった。

 機械人の仲間が言った。

「行くぞ、もうこの場所には用が無い」

 男と機械人は、また逃げる旅を続ける。

 どうやら、手にした武器や防具類は、相手を殺傷するだけの威力は無く。 

 敵を追い払う程度の性能しか無かった。 


 逃げ続けている、男と機械人の前に別の機械人が現れた、その機械人の半球は赤色をしていた。

 敵の機械人体が所持している武器は、機体をグルッと取り巻く、二重環のような刃物の武器で、刃の数ヶ所には銃口も付いている。

 接近戦では環の刃物を回転させ、中距離戦では銃口から光弾を撃ち出して攻撃してきた。


「気を付けろ! 今まで見たことがない大型武具だ!」

 三連ショットガンに強化された武器を手にした機械人と共に、男は二枚刃強化された回転ノコギリ剣で追撃者を、辛うじて撃退して追い払った。


 男が言った。

「ふぅ……なんとか、追い払ったな……どうした? 沈黙して」

 今まで仲間だった、機械人の胸の半球の色が赤色に変わる。

「∴?£§〓!」

 会話ができなくなった機械人が、銃口を男に向ける。

(敵!)


 男が仲間だった者を攻撃して、自分の身を守るべきか? 躊躇ちゅうちょしていると、鎖が繋がった巨大な戦斧が飛んできて。

 数分前まで友だった、機械人の足元の地面をえぐる。

 敵になった機械人は、慌てて去っていった。

 直後に聞こえてきた声。

「大丈夫か君? 我が友よ」

 胸の半球が青い、毛むくじゃらの獣人が現れた。

 獣人は、男の新たな仲間だった。

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