週末の予定

「ただいま〜」

「あ、叶!ちょっとちょっと!」

多少勉強で疲れましたよ、みたいな顔をして帰るとお母さんが待ってましたと言わんばかりに出てきた。

「何?」

「おじいちゃんがねちょっと腰痛めちゃったの。」

「おじいちゃんが?何したの?」

おじいちゃんの趣味は囲碁だし隠居生活を謳歌してる生活だから腰痛めることはないと思う。

「来週くるみが1歳半検診受けるから電気いるでしょ。」

「何、くるみの分の電気作ったの?」

「そう。くるみの電気は必要な分作ったんだけど、おじいちゃんが病院にかかる分の電気が…ちょっと…」

「へー、私寝…」

「ごめん!叶、助けて!お父さん出張行っちゃったし悟も大会近いし、お母さんも頑張ったんだけど半分が限界なの…」

「…うん…じゃあご飯食べたら作る…」

お鉢が私に回るのは仕方ないよね。おじいちゃんのためだ…。私は覚悟を決めてペダルに足を掛けた。クレープのカロリーを消費するんだ…

「…おばあちゃん…はいこれ…おじいちゃんの電気…」

1時間後、一仕事終えた私は必要な分の電気が入ったカードを手によろよろ祖父母の部屋に行く。

「あらら、叶が作ってくれたの!ごめんね、疲れたでしょ。ありがとね。」

「疲れた…おじいちゃんは?」

「ちょっと横になってるよ。お父さん、叶が電気作ってくれたよ。」

おばあちゃんは布団で横になるおじいちゃんに声を掛けた。

「えっ、ごめんなあ。若いっぷりしてダメだねえ。」

おじいちゃんはゆっくり起き上がって言った。

「こんくらい軽いもんだよ〜。またいる時言ってよね〜」

おじいちゃんを前にすると疲れたとは言えなかった。


「ねえねえ、さとちゃんの試合今度の土曜日でいいんだよな!」

「おう!今度の試合はダブルスもシングルスも出るから〜」

自室に戻る時聞こえた悟と葵の会話に私はちょっとめまいを覚えた。

 悟の試合に行くために電車乗るならその分の電気も量産しなきゃじゃん…あ、でもお父さん帰ってきてるから車で行ける!大丈夫!お父さんが無理でもお母さんが車出してくれるよ!多分!

 

 この時は漠然とそう思っていた。土曜日には家族と悟の試合を見に行くのだと。そして帰りにファミレスでも寄って外食するのだと。

 その後は宿題をしてお風呂に入って最近流行ってるらしいストレッチをして寝た。明日もまた薄暗いんだろうと思いながら。

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