第46話 作戦会議②
「ではこれより緊急作戦会議を開く。」
というか思ったのだが、時間に余裕が無いように思える。
あと15分したら魔物の大群が押し寄せてくるなら、無駄に時間を浪費している暇がないはずだ。
しかし俺はコミュ力皆無......!誰か言ってくれ!頼む!
そう心の中で祈ってたら願いが叶ったのか隣の席の人が手を挙げた。
「もう時間が無いでしょう。さっさと進行場所を特定して行くべきよ。」
すると団長兼司会役は落ち着いた口調で
「だからこそだ。この危機的状況に少ない戦力で対応するには綿密に計画を練る必要がある。
かといって時間をあまり割く訳にはいかねぇ。3分全部終わらせて即出発だ。」
確かにその方が絶対いい。ごつくて脳筋に見えるけど、この人頭いいな。絶対俺より頭のいいわ。間違いない。
「分かったわ。そして、作戦と言うのは?」
とクレアが発言し終わってから座った。
「そうだな。では状況を、偵察に行ったアレスに説明してもらおうか。」
するとさっき見た人が立ち上がった。
爽やかナイスボーイだ!同じパーティーとか言ってたな。
「この目で見たところ魔物の数は約300体。多すぎて正確な数が掴めなかったけど、ゴブリンやオーガが多く見られたよ。
進行方向はカディアの森東側からだ。群れを率いているのは、先日襲撃予告をして来た魔族だと考えられるかも。」
魔族……!魔族ってあの、喋る魔物みたいなやつで、結構強い魔物的なものだ。たぶん。
「そう、そこが1番大事なんだ。指揮してる魔族を失えば群れは瓦解する。」
「つまり、魔族をピンポイントに狙えばいいって訳ね!」
クレアが立ち上がって言った。こいつの度胸すげぇよ。他の人沢山いるのに、なんで発言できるの???
他の人も「やってやろうじゃねえか!」と一気に活気立った。なんだか希望が見えてきて、嬉々としているんだな。
「だが問題は複数ある。魔族が何処にいるのかも分からない。集団の中央にいれば手出しが出来ないからな......。」
そうだな。魔族に近づく前に見つかったらヤバいし。こっち人数少ないから捌ききれないだろうし。なんなら火炎魔法で爆破しようかな?
「なら、更に少数精鋭で魔族に集中して攻撃するのはどうでしょう。他の冒険者は、正面から群れを引きつけて時間稼ぎをするんです。」
何とかAランクパーティーの優しそうな方の女の人が喋った。
「なるほど!時間を稼いだ隙に魔族を倒すという事か。俺はこの案が最良だと思うんだが、みんなはどう思う?」
何とかAランクパーティーの団長さんがそう言うと「いいね!」「そうしよう!」とたちまち賛成の声が上がった。俺も小声で「賛成です」と言ったけど多分誰にも聞こえてない。
そして、全ての冒険者が首肯した。
「よし、そうと決まれば直ぐに出発しよう。それと、魔族に向かうのは俺達のパーティーと、あと数人欲しいな。」
俺はやめろ俺はやめろ俺は……
「私も行かせてくれないかしら?実力や実戦経験もそれなりにあるわよ。」
いや俺ら、冒険者になったばっかりやろ。
まあ俺が巻き込まれなければそれで大丈夫……
「そうしよう!俺達とクレアと、そしてユウキ。この6人で魔族討伐を目指す。それ以外の奴らは足止めをしろ。」
何で俺???
「お前たち、足引っ張るなよ!」
「頑張りましょう!」
「はぁー。めんどくさぁー。」
この人達と一緒に行くのか。でも、優しそうな雰囲気でいいな。
「よし!武器は持ったか!出発だ!」
快活な声がギルド内に響いた。こうしていきなり襲撃して来た魔物を奇襲するため、ギルドから冒険者が出て、城門を抜けた。
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