第44話 ニート生活、満喫しよう!

「これが冒険者カードかぁ。」


見てみると名前とか顔とかが登録されている。どうやら俺はC+ランクらしい。


「私がCランクであんたがC+ランクなのは気に食わ無いわね。まあいいわ、通常ならEランクスタートだから。」


「ふーん。なら俺たちはなんでCランクとかから始まってるんだ?」


さっきから俺が質問攻めばっかしてるなぁ。質問ばっかだと会話は弾まないと聞いたことがある。ま、いっか。


「それは、私の実力が認められたからね。」


「俺が体張ってダメージ与えたんだろうが!」


「うるさいわね!自爆して負傷したのは誰かしら!」


こんな感じで口論が続いた。でも楽しいな。会話は互いに罵倒しまくっているだけなのに、無限に話せそうだ。


「まあ良いわ。私はやる事があるから。また今度、会えると良いわね。」


彼女がドアノブに手を掛けた。


「あぁ。あと、助けてくれてありがとう。本当に助かったよ。お陰で無事だし、協力して冒険者になれたし。」


一瞬立ち止まった後、ドアを開けて言った。


「別に。大した事じゃないわ。」


表情は見えなかった。前の方を向いていたせいで。そして、ドアがゆっくりと閉じられた。


あと、ここはギルドの隣の宿屋なんだとか。ベット広いし、ここで生活しよっかな。


「ふう......。二度寝するか!!!」


再びベットに横たわった。


『マスター。会話が終わったようなので話します。これからの方針はどうなさるのですか?』


これからの方針とな?どういう意味ですか?


『はい。当面の目標だった冒険者登録を達成した結果、ここアルダート王国ではに生きる事が出来ます。』


ふむふむ。確かにな。今まで無職だったし。


『その為、早急に解決すべき問題は全て無くなりました。これからはどのように、どこで、何をして生活するのかを決めた方が良いのかと。』


なるほどね。鑑定の言いたい事はよく分かる。


要するにこの国で職に就けて、生活出来るようになったから、次はどうすんのってことか。


『その通りです。』


「俺は、俺はなぁ……」


部屋が沈黙する。


「ニート生活を満喫するんじゃぁぁぁ!!!」


誰もいないのに大声で叫んだ。やべぇ、ちょっと恥ずい。ただの変人やん。


『……意味不明です。』


まあまあ聞けよ鑑定!現在の所持金は銀貨19枚銅貨3枚!


そしてこの異世界で、1食あたり銅貨5枚だと仮定する。そしたら……


『1日あたり朝昼晩の3食で銅貨15枚。現在の所持金は全て銅貨に換算して193枚なので、約12日と2食分の食費という訳ですね。』


そう!そう言う事だ!俺には売り付けた薬草の金がまだ残っている。これはつまり、12日は引き篭ってても大丈夫という事だ!


『宿代も差し引かれますよ。宿1泊で銅貨10枚なので、正確には約7日分ですかね。』


1週間……!1週間ニート生活出来るのか!


これはもう、やるしかないでしょ!異世界ニート生活!!!


『はぁ……。マスターは本当に自堕落ですね。』


うっせぇだまれ!俺は2度寝するんじゃあ!起こすんじゃねぇぞ!



こうして、俺の異世界ニート生活が始まるのであ……


「大変よユウキ!魔物の大群がこの街に攻めてくるわ!」


「まじで!?」


さっきの女がドアをぶち破って、息を切らながら言ってきた。どうやら俺のニート生活はもう終わってしまったらしい。

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